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江戸時代の数学最前線

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数と式がない時代,関孝和が成した偉大な業績

江戸時代後期に日本でブームになった数学,和算は,鶴亀算や円陣など遊び感覚のものから,利息計算など生活に密着したものまで扱う問題の種類は多岐にわたりました。和算の中でも行列式は,みなさんが中学校で学ぶ連立方程式の解法に大きく影響していることをご存じでしょうか。行列式によって和算が大成されたといっても過言ではありません。

解法を編み出したのは和算家 関孝和(1642頃-1708)です。微分積分で有名なライプニッツが第一人者と言われることがありますが,実は彼よりも先に関孝和が「行列式」による連立方程式の解き方を確立していたのです。現代数学において重要な役割を果たす行列式が和算で発見され,研究されていたというのは意外な発見ではないでしょうか。

関孝和らによる百科事典的な数学書『大成算経』⁠1711頃)には行列式に関する記述があります。江戸時代,行列式はアルファベットの代わりに漢字が使われているというのは今から見ると新鮮です。

江戸の数学のルーツを知ろう

関孝和は1674年に『発微算法』を刊行します。30代前半のころです。連立方程式を解くときに今では一般的な"変数を消去する"というやり方は当時未完成でした。みなさんならどう解きますか?

本書では,江戸時代の数学書を紐解きながら,行列式が連立代数方程式の解法になっていった過程を追っていきます。みなさん,江戸時代の数学にタイムスリップしてみませんか?