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“数学ができる”人の頭の中はどうなっているの?
難しそうな数学の問題をスラスラ解いている人を目の当たりにして,そう思ったことはありませんか?「なんでそんなに簡単そうに解けるの?」「一体どんな頭をしているの?」と解ける人を別世界の人のようにとらえる人もいれば,「数学はパターンをこなしてとにかく暗記しなくちゃやっぱり解けるようにはならないの?」「たくさん公式や定理を覚えたけど,問題が解けるようになんて全然ならない!」とどうして自分には解けないのかと頭を抱えてしまう人もいるようです。
“数学ができる”ってどういうこと?
そもそも,数学ができるとはどういうことなのでしょうか。難問と言われる問題がとにかく解ければよいのでしょうか。もちろんそれはそれで周りから一目置かれる存在になるかもしれません。でも肝心なのは“問題をどう解くか”です。難問が解けたといってもどう解いたのか,とりあえず時間をかけて知っている公式や定理をかたっぱしから闇雲に使ってみて,うまくいくかどうかを試していきながら最終的に答えが得られたというのでは,“数学ができる”とはちょっと言い難いかもしれません(もちろんそのように問題に地道に取り組む姿勢は数学を解くためにはとても大切です)。
本書では,問題を解くことを「普遍性の網で包み,特殊性の槍で突き刺す」と表現しています。問題の中に普遍性と特殊性を見出し,双方を使い分け,ときには両方を生かしながら解いていくということです。それこそ,“数学ができる”人がやっている問題を解くときの思考プロセスなのです。
目の前にある問題との向き合い方~問題の弱点を探る!~
できる人は問題を見たときに,まず何を考え,頭の中で解法のストーリーをどうやって組み立てていくのでしょうか。それはずばり「問題の弱点を探る」です。「問題の攻めどころを見つける」と言い換えることもできます。
たとえば,「自然数Nの各位の数の和に2004をかけると,Nと等しくなるという。このような自然数Nのうち最小のものを求めよ。」という問題があったとき,みなさんはまず何に着目しますか?これを解くには“各位の数の和が3の倍数になる⇔3で割り切れる”といった知識が必要になりますが,それよりも問題文中の“最小のものを”という表現にひっかかるかどうかがポイントです。Nすべてを求める必要はないのです。そこが問題の弱点でもあり,攻めどころでもあります。数学ができる人は,問題文の中の少ない情報の中から弱点を見つけるのです。この問題の思考プロセス,解説詳細は本書をご覧ください。
“数学勘”を養って“数学ができる”人になれる!
数学を解くには,どう考えるか,考えたものの中から何を取捨選択し,組み立てていくかという論理的思考力が必要となります。本書では,問題の思考プロセス,解法の流れをしっかり書くことにより,論理的思考力が身に付くようにも配慮しています。
まずは問題をじっくり眺めてみてください。ちょっと手ごわいと思ったらヒントがありますので,それを頼りにぜひ試行錯誤してみてください。問題文の一言一句を丁寧に読み解いてみると,ヒントで示したことも納得してもらえるのではないでしょうか。そして,解法のストーリーがイメージできたら,解答・解説・思考の流れへと読み進めてください。そこでは,問題文で着目すべきところ,つい見過ごしそうなところ,注意すべきところなどを記しています。
トレーニングを積む必要はありますが,それ次第で,だれもが“数学ができる”人になれるのです。ぜひチャレンジしてみてください。