業務を改善する情報共有の仕掛け~DevOpsの実現、RPAの導入に向けて~

第6回すばやく届けてフィードバックで改善するサイクルを作ろう(後編)

前編では、ビルド・デプロイの自動化と開発・実行環境自体を作り替えやすくすることで、ユーザにすばやくサービスが届けられることを説明しました。そして、そのあとのユーザフィードバックを管理・対応を効率良く行うためのツール活用も紹介しました。

さらなる価値を見つける

フィードバックを分析する

サービスやプロダクトの価値をより高めていくには、ユーザが何を必要としているかを知らなければなりせん。それには、実際に利用しているユーザの声を集めるのが有効です。

JSDで要望や質問を受け付けることで現在抱えている問題点を知ることができます。Jiraのフィルタ機能やダッシュボードを活用すれば、⁠どんな要望が多いのか」⁠要望の重要度は高いのか」などの傾向を把握できます。

ログから潜在的な課題が見つかることもあります。⁠どんな機能が多く利用されているのか」⁠操作の動線にムダはないか」などを調べることで、機能の改善点や新機能につながる何かが発見できるかもしれません。TableauなどのBIツールでこのようなデータを集計し、グラフで可視化すれば、分析や経営判断に役立ちます。

企画をまとめる

新機能や既存機能の改善の企画では、Confluenceのような情報共有ツールを使い、チームや組織のさまざまな立場のメンバーから意見や情報を集め、一元管理するとよいでしょう。

企画は新たな「ユーザストーリー」としてJiraのバックログに追加しましょう。Confluenceなら、入力したユーザストーリーからJiraの課題をシームレスに作成できます。

コミュニケーションを活性化する

これまで紹介したプロセスを円滑に進めるためには、プロセスにかかわるすべての人たちによるコミュニケーションが必要不可欠です。

チャットツールを活用する

メールや電話による従来のコミュニケーションはクローズドになりがちで、当事者以外には情報が正確に伝わらないことがよくあります。さらには認識違いによるミスコミュニケーションが起きたりもします。

Slackのようなコミュニケーションツールはこのような問題を改善し、メンバー全員と情報を共有することができます。コミュニケーションの履歴も残るので、ミスコミュニケーションが減り、あとから参加したメンバーが過去の経緯を把握することもできます。また、さまざまなアプリケーションと連携できるので、イベントや障害などの通知をSlackに送信したり、Slackからアプリケーションを操作したりといったハブとしての役割も持ちます。

チームのナレッジを共有する

開発や運用で発生した課題とその解決策といったナレッジや、さまざまな打ち合わせの議事録などをファイルで管理していると、検索が難しく必要なときに情報を活用できなかったり、履歴管理がしづらく変更点が確認できなかったりといった問題が発生します。

Confluenceでナレッジ作成やファイル添付を行えば、強力な検索機能でナレッジやファイルの内容まで素早く検索できます。また、ファイルの版管理やページの更新履歴の確認もできます。コメント欄を使ってナレッジやファイルの内容について議論や相談ができるので、情報の正確性や鮮度を保つのに役立ちます。全員が閲覧できるナレッジは会社の財産となり、チーム内の作業の属人化を防ぎ、メンバー全員のスキルアップにつながります。

文化を変えるためにツールやプロセスが力になる

今回はシステムやサービスの運用を自動化して効率を上げる方法、運用で得られた情報をフィードバックし、より価値のあるサービスに変えていく流れを説明しました。

紹介したような技術やツールを利用することで運用担当の方々は、従来の業務負担を減らして個人のスキルアップや開発に携わる機会を増やし、従来の開発・運用といった組織や役割ごとの壁をなくして1つのチームとしてサービスの価値向上に取り組んでいけるのではないでしょうか?

ユーザに価値を提供し続けるには、⁠失敗を許容し挑戦を奨励する』文化が必要不可欠だと考えます。失敗や挑戦なくして成功は得られないのではないでしょうか?

システム開発やサービス運用で以前利用されていたツールや環境では、失敗が許されず、そのために挑戦することも敬遠されがちだったかもしれません。ですがツールや技術は進化しました。今回ご紹介したツールを活用すれば、たとえ失敗してもすぐに元に戻したり、すばやくなおしたりすることが可能だと感じていただけるのではないでしょうか? もしくは提供した機能が仮に失敗だと感じても、そこから得られたデータやナレッジによって改善の方向性を見極めることができるのではないでしょうか?

『失敗を許容し挑戦を奨励する』文化をチームや組織に浸透させたいと考えていただけたなら、これまでの連載で紹介したプロセスや技術を取り入れることをご検討ください。その中でツールの力が必要だと感じたときにはリックソフトにご相談ください。今回紹介したツールの使い方だけでなく、みなさんの考えにあったツールの使い方をご提案します。

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