概要
自動制御技術は,産業界の生産システムにはなくてはならないものです。自動制御を学ぶには,電気・電子工学や制御工学といった幅広い分野の知識と,数学をベースにした理論の学習が不可欠になります。そのため,初心者には難易度が高く,効率のよい学習を困難にしています。そこで本書は,自動化制御技術の習得を目指す人たちのために,なっとくしにくい問題や分かりにくい問題を精選し,その問題解決を腑に落ちるようにわかりやすく解説しました。著者の長年の経験の中から得たヒントやアイデアを用い,これまでの参考書にはない独自の解説方法を導入することで,初心者にやさしく理解できるよう工夫してあります。
こんな方におすすめ
- 電気・機械関係の従事者で,電気の理論と制御の基礎を学びたい人,いままで理解できなかったことをもう一度学習したい人。わかりにくいところ重要ななところを重点的に学びたい人。社員研修・新人教育に。教える立場の人の参考書に。
目次
第1章 電気の基礎にかかわる原理・法則
1-1 キルヒホッフの法則/電気回路計算法を整理した常識の法則
1-2 重ね合わせの理/三角関数に重ね合わせの理は成り立たない
- 重ね合わせの理を用いた計算法
- キルヒホッフの法則による計算の結果との比較
1-3 ジュールの法則/発熱はなぜ電流のみに関係するのか
- ジュールの法則
- 熱と仕事と電気
- 電気機器の発熱計算はI^2R
1-4 レンツの法則/誘導起電力は常に逆らうあまのじゃく
- ファラデーとレンツ
- 電気と制御回路におけるレンツ現象
1-5 フレミングの法則/電流と磁気とによる働きの方向に関する法則
1-6 実効値の理論/見過ごされやすい実効値
- 実効値とは何か
- 実効値の理論
- 平均値
- 実効値と平均値の関係
1-7 ブール代数/論理を数式で考える手法
- ブール代数の演算法
- ブール代数の公理・定理
- ブール代数をやさしく考える方法
- 3つの基本論理とその論理回路
- わからない論理演算
- 電気(子)回路に置き換えてもわからない論理演算
- ブール代数のチェックルーチン
第2章 電気・電子回路
2-1 交流回路の電圧・電流・電力/交流理論は電気工学入門の最初の難関
- インピーダンスと電流
- 電流の進み遅れはなぜ故発生するか
- RとLの回路の電圧・電流・電力
- 力率と無効電力
2-2 三相電力とその測定法/2個の単相電力計で三相電力を測る2電力計法の不思議
- 三相電力の計算法の基礎
- 2電力計法による三相電力の測定
- 無効電力の測定法
2-3 インピーダンスマッチング
2-4 スイッチングレギュレータの秘密
- ドロッパー方式定電圧電源
- スイッチング方式定電圧電源
- ドロッパー方式とスイッチング方式の比較
2-5 記憶回路の基礎と応用/デジタルシステム入門の第1歩
2-6 オペアンプ/理想的な増幅器
- オペアンプは差動増幅器
- オペアンプの考え方
- オペアンプの使い方1
- オペアンプの使い方2
第3章 電気機器
3-1 アクチュエータの種類
3-2 電動機制御の基礎
- 直流電動機
- ブラッシレスDCモータ
- インバータ制御三相誘導電動機
- ベクトル制御
3-3 電気機器の定格と選定
- 定格とは
- 可変速制御電動機の定格出力
- 三相誘導電動機のインバータ制御の定格
3-4 開閉素子接点の定格
- 接点の種類
- 接点をもつ制御器具の種類
- 接点の電流容量
3-5 電磁石とその使い方
3-6 アクチュエータの間歇運転
- 三相誘導電動機の間歇運転
- サーボモータ(電動機)の間歇運転
- 電動機の選定
3-7 慣性モーメントの不思議
- 電動機による慣性負荷の加速性
- 慣性モーメントの不思議
- 慣性モーメントを最小とするギア比の不思議
第4章 制御
4-1 シーケンス制御
- シーケンス制御システムの信号の流れ
- シーケンス制御回路の原点は記憶回路
- シーケンス制御はフィードバック制御
4-2 フィードバック制御
4-3 伝達関数とラプラス変換
4-4 sと1/sで微分方程式が代数方程式に変わる不思議
- 手掛かりはe^Xという関数
- Ae^atで表せる信号
- sと1/sの働きの検証
巻末付録
- 電気と制御のためにとくに知っておきたい重要公式
- (1)三角関数 (2)指数関数 (3)対数関数 (4)複素数 (5)微分・積分
一口メモ
- 重ねあわせの理
- 自己誘導係数
- 逆起電力が速度を決める
- 接点の動作時間
- JISの図記号による2つの接点
- 乗法標準型
- 順序回路
- インバータ
- ドットとクロス
- ベクトル制御
- ラプラス変換
- E_me^jωt
Column
- ブール代数の起源
Denさんのエンジニア魂
- 「天才と努力」
- 「送配電方式は,なぜ3相交流方式か」
- 「理系離れに歯止めを」
- 「シンドラーエレベータとエンジニア」
サポート
正誤表
本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
(2014年2月3日更新)
P.54の下から3行目 「この回路では、押しボタンスイッチの接点はB接点ですから」のところ
誤 |
「押しボタンスイッチの」 |
正 |
「電磁リレーRの」へ |
P.172の下の脚注のところ
誤 |
「データ表の作成等については225ページを参照してください。」 |
正 |
「データに関しては、「定格」の理解が重要であり、157ページを参照してください。」 |
P.191の下の脚注のところ
誤 |
「論理回路については ページ」 |
正 |
「論理回路については44ページ」 |
P.205の下から8行目のところ
誤 |
「これは図7(b)に」 |
正 |
「これは図8(b)に」 |
P.208下から3行目の式(14)のところ
イコールの位置がずれていました。
誤 |
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正 |
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P.209の9行目の式
1/sのあとに「Δ」(デルタ)を入れてください
誤 |
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正 |
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P.221の5行目の式
誤 |
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正 |
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