概要
エンジニア向け, プレゼン/資料作成の入門書。手順例には, 幅広い方々にとって手軽に試しやすいOpenOffice/Impress 3.2系を使用。
本書では, エンジニアにとって身近な技術提案/説明を想定し, プレゼンテーションスライド/資料作成の基本をやさしく解説。アウトラインの効率的なまとめ方, 情報系ならではのデータの提示テクニック&図解のコツ, 資料の省力作成/再利用術など実例満載で紹介します。プレゼン/資料作成に役立つ考え方, これから先へと長く役立つ基本が身に付く1冊です。
こんな方におすすめ
エンジニア向け, 技術を"説明"するプレゼン資料の作成をお考えの方 理数系向けのスライド準備の基本から知りたい方 OpenOfficeでプレゼン資料作成を効率的に行いたい方
本書の構成
第1章 スライド作成の基本 ? 準備が大事
スライドを作成するにあたっての, 基本的な心構えや考え方を解説します。
資料を作成する前に, まず自分の頭の中を整理することが大事です。つまり, 情報を整理するのです。本章では, 具体的な情報整理の方法と, どのようにしてプレゼンテーション全体の方向付けを決めるのか, といった基本的な考え方を説明していきます。
第2章 伝わるスライド作り
スライド作成の具体的な手順を, ソフトウェア開発で使われる「フェーズ」という考え方を流用することで, できる限りシステマチックに規定しようという章です。
スライド作成は全部で3つの「フェーズ」, 8つのステップに分けることができます。
スライド作成のケーススタディとして, ある程度の開発経験はあるものの, スライドの作成経験はさほど持っていない, ある女性エンジニアの奮闘を描いています。
本章の内容は重装備すぎて, 来週プレゼンがあるという人には重すぎるかもしれません。そこで, フル装備の手順からエッセンスを抽出した「ライト版」の手順も紹介します。
第3章 見栄えの整え方と図表の効果的な使い方
スライドを作成する場合, 見栄えも重要です。とはいっても, 何も華麗なデザイン性を発揮しなければならないというわけではありません。
見栄えを整えるために必要なのは, 必ずしもセンスではありません。ちょっとした考え方ややり方を知っているだけで, 最低限の見栄えを整えることができます。
図表を作るときに気をつけるべきポイントや, 見栄えを整えるために最低限押さえておくべきポイントなど, 失敗をしないための考え方を説明します。
第4章 OpenOffice.org Impress再入門
本章では, OpenOffice.orgのImpressそのものの操作を今一度復習します。といっても, 本書はImpressの操作入門書ではありません。メニューを見ればわかるような操作や, ごく基本的な操作方法を一つずつ説明するわけではありません。
知っていると便利な機能, 意外とわかりにくい機能, 見落としがちな機能に絞って説明します。基本中の基本であるスライド操作については, リファレンスとしても使えるよう, コンパクトに説明しています。
第5章 スライド作成を楽にする方法
プレゼンテーションを何度も行ううちに, だんだん自分のスタイルというものが固まってくるでしょう。そうなってくると, 以前に作ったスライドを流用したくなるでしょう。
本章では, スライドをテンプレート化して再利用する方法, ほかの人とスライドを共有する方法, さらにImpressをメディアマネージャのように使い, 各種の素材を効率よく管理する方法について説明していきます。
第6章 スライド作成のアンチパターン
ソフトウェア開発の世界では, 「パターン」というものがよく使われます。「パターン」とは「最善のやり方を類型化したもの」ですが, 実は, パターンほど知られてはいないものの, 「アンチパターン」というものもあります。これは「最悪の失敗例を類型化したもの」で, いわば「やってはいけない集」です。
ソフトウェア開発に限ったことではなく, スライド作成にもこうした「アンチパターン」が存在します。本章では「アンチパターン」の実例を示し, 併せて改善例を示すことでスライド作成のノウハウとしたいと思います。
本書の対象読者
本書は, ITエンジニアやプログラマを対象に, プレゼンテーション資料の作成方法を説明する本です。「ITエンジニア向け」と謳っているのは, ビジネス上の説得をするための手法ではなく, 自分の言いたいことをなるべく正確に相手に伝えるための手法に的を絞っているためです。
本書で使用するツール
本書のメインテーマは, プレゼンテーション資料(スライド)の作成方法です。実際にプレゼンテーション資料を作成するためのツールとして, OpenOffice.orgのプレゼンテーションツールであるImpressを利用します。
OpenOffice.orgは, 現在は出資元である米Oracle社の名前を冠した「Oracle Open Office」という名称に変更されています。また, Oracle社の方針に賛同できない開発者がスピンアウトして, OpenOffice.orgから派生したオープンソースオフィススイートである「LibreOffce」をリリースするなど, 本書執筆中にOpenOffice.orgをめぐる動向はめまぐるしく変化しています。残念ながら最新の状況に追随しきれていないところもありますが, 基本的な操作は変わりません。何より, スライド作成の考え方はツールによらず有効なものです。
本書では, OpenOffice.org 3.2.0を使用しています。OpenOffice 3.2.0の動作環境は, Windows XP, Windows Vista, Windows 7(いずれのエディションも可)です。
杵渕聡(きねぶちさとし) ソフトウェア作家, 翻訳家, テクニカルライター。(株)デジタル・ クルー代表取締役。
企画からリリースまでを一貫して手掛けるエンジニアとして活躍。人材サービス最大手の求人Webサイト, 商社の基幹システム, 大手通信事業者の研究プロジェクトなど, 業種・ 業態・ 利用技術を問わず多数のプロジェクトを手がける。「メシも仕事も四人前」と言われる高い生産性を発揮。オバQ並みの大食漢。連絡先はskine@dcrew.jp 。