まずはひと区切り
計11回にわたり「SNSクライアントとしてのAndroidケータイを検証する」のテーマで、潮流のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とAndroidケータイ向けのクライアントアプリを取り上げました。長きに渡り、同じテーマが続いたので、取り上げたサービスとアプリを簡単に振り返ります。
初回から直近の回まで、3ヵ月程度の時間が経過しているので、いくつかの変化がありました。
国内で利用されているSNSは網羅しましたが、LinkedInを取り上げていませんでした。理由は、サービスが英語のままだったからですが、最近、日本語化が行われたので、機会を見て取り上げたいと思います。また、Google+の公式アプリは、意欲的にバージョンアップが行われており、最近のバージョンでは、ナビへージョン周りにAndroid 4.0の要素が取り入れられ、より分かり易く使い易くなりました。Facebookも、Facebookメッセンジャーというチャット専用のアプリを日本語化してリリースしています。公式アプリでも、メッセージのやりとりが行えますが、専用のアプリを使う方が良い簡単に使えます。
Androidケータイらしいクライアントは?
「お気に入りのSNSは?」と質問項目を読み替えることもできますが、筆者は「Google+の公式クライアント」をあげます。
Googleが立ち上げたSNSのために作られたアプリなので、Androidらしいと感じるのは当然とも言えますが、積極的にバージョンアップを行い、アプリごしのサービス体験を良好なものにしようと努力する姿勢は評価できます。
本テーマの中で、Windows Phone 7との比較を何度か行いました。
Windows Phone 7は、OSにSNSを統合したことで、手段ではなく人を糸口にSNSを見ることができます。このお陰で、多様化したコミュケーション手段を分け隔てなく取り扱えるようになっています。
Googleがこれを黙って見ているワケはなく、Android 4.0には、似たような機能が取り入れられています。ただ、後追いなので、もう少し工夫が欲しいところです。たとえば、Android OSには、アプリ間通信の仕組みがあるので、OSに統合されたSNS機能でカバーしていないサービス機能を使う場合は、公式アプリに情報を引き渡して、シームレスに使える工夫があっても良いはずです。
Androidケータイらしくないクライアントは?
「……らしいクライアントは?」とは逆で、「あまり使っていないSNSは?」と読み替えることができますが、筆者は「mixiの公式クライアント」をあげます。
機能に、不満があるワケではないのですが、一部、ネイティブアプリとして造られておらず、モバイル向けのmixiサイトをアプリから使うようになっています。この2つの操作感が同じであれば良いのですが、異なるのが始末の悪い部分です。他のクライアントがスマートフォンでも良いユーザ体験を提供すべく、ブラッシュアップし続けているのを見てしまうと、どうしても物足りなく感じます。
SNSと新たな関係が出来上がりつつある
モバイル市場は急成長しており、多くのユーザがスマートフォンでSNSにアクセスするようになったので、クライアントアプリの仕上がりがサービスの良し悪しを決める重要な要素となっています。GoogleやFacebookなどは、「モバイルファースト」をコンセプトにして、モバイル(スマートフォン)を第一に考えて開発に注力しています。近い将来、パソコンの時代は終焉を迎え、スマートフォンが主役になるはずです。
この流れが続けば、スマートフォンでSNSを使うユーザがさらに増えるはずで、スマートフォンとSNSの関係がより密なものとなっていくはずです。OSにSNSを統合したWindows Phone 7は、この流れの先駆けとも言えますが、Android 4.0もそれを追うように、SNSとの新たな関係を模索し造り上げようとしています。この先の展開がどのようなものか非常に気になるので、また機会をみて取り上げたいと考えています。