書籍案内 » 書籍案内 » 定期刊行物一覧 » WEB+DB PRESS » WEB+DB PRESS plusシリーズ » クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法入門 » 本書について[クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法]

書籍関連記事

クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法入門

本書について(Abstract)

『クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法入門』前書きより転載

コンピューティングがクラウド(Cloud)に移行するにつれて,インターネットで使用されるコンピュータプラットフォームは宅配ピザの箱や冷蔵庫のような格好ではなく,倉庫(Warehouse)いっぱいのコンピュータ群になってきています。これらの新しい大規模データセンター(Data center)は伝統的なWebホスティング施設とはまったく異なり,単純にサーバを1ヵ所にまとめて設置した単なる集合と考えることはできません。

パフォーマンスの良いインターネットサービスを提供するためには,このような施設の大部分のハードウェア資源とソフトウェア資源は協調して動作することが必要です。そのためには,施設の設計や運用に一体的なアプローチをとらなければなりません。言い換えると,データセンター全体を1つの巨大な「倉庫サイズのコンピュータ」(Warehouse-Scale Computer,WSC)として考える必要があります。

本書はWSCのアーキテクチャ,その設計で考慮すべき主要な要素,運用,コスト構造,そして運用するソフトウェアの特性などを説明しています。本書が今日のWSCのアーキテクトやプログラマの役に立つだけでなく,今のWSCが1枚のボードに入ってしまうような,これから先のメニーコア(Many-core)プラットフォーム時代の人々にも役立つことを望んでいます。

著者プロフィール

ルイス・アンドレ・バロッソ(Luiz André Barroso)

ソフトウェアインフラストラクチャ,ストレージの可用性,エネルギー効率,ハードウェアの設計などを含む各種の技術分野で働いた経験を持つ。Googleのコンピューティングプラットフォームを設計するPlatform Engineeringチームの初代のマネージャである。Googleに移る前は,DEC(Digital Equipment Corporation,後にCompaqに買収された)の研究員を務めており,彼のグループは企業向けワークロードに対するプロセッサとメモリに関する開拓者的な業績を残している。この研究は,シングルチップのマルチプロセッサのPiranha(ピラニア)の設計に繋がり,現在は主流となっている,その後のマルチコアプロセッサの開発に影響を与えた。
ブラジルのリオデジャネイロのPontifícia Universidade Católica(PUC)とStanford Universityで講師を務め,University of Southern Californiaからコンピュータ工学の博士号,PUCから電気工学の学士と修士号を取得している。また,GoogleのFellow(フェロー),ACMとAmerican Association for Advancement of ScienceのFellowでもある。


ジミー・クライダラス(Jimmy Clidaras)

2004年から複数の世代のGoogleのデータセンターの技術開発プログラムを率いており,エネルギー効率とコスト効率に関する専門家。電力,冷却,組み込みソフトウェアとデータセンターのR&D技術を担当するGoogleのPlatform Infrastructure Engineeringチームの初代のディレクタである。元々は航空工学分野を学び,Harris CorporationやE-Systemsで通信や研究用の衛星搭載機器の開発を行っていた。
1984年に音響工学,1994年には機械工学(Florida Atlantic University,FAU)の学位を得ている。現在は,GoogleのデータセンターエンジニアリングのDistinguished Engineerであり,FAUのDistinguished Alumnus(優秀卒業生)でもある。彼は現在もデータセンターの研究に携わり,現状を飛躍的に変えるテクノロジーの研究を続けている。


ウルス・ヘルツル(Urs Hölzle)

Googleの初代のVice president of engineering(技術担当副社長)で,Googleの技術的な基盤の開発を率いている。現在は,Googleを動かしているサーバ,ネットワーク,データセンターとソフトウェアインフラストラクチャの設計と運用の責任者。いつも赤いソックスを履き,愛犬の放し飼いのレオンベルガー犬の(Googleの最初の支配犬/Top dogである)Yoshkaを伴っていることで知られている。
スイスで育ち,Eidgenössische Technische Hochschule Zürich(ETHZ,チューリッヒ工科大学)からコンピュータサイエンスの修士号を取得している。また,Fulbright scholar(フルブライト留学生)で,Stanford Universityで博士号を取得している。Stanford University(と後にSun Microsystemsに買収されたスタートアップの会社)の時代に,現在の多くの主要なJavaコンパイラで使われている基本的なテクニックを発明した。Googleに入社する前は,University of California, Santa Barbaraのコンピュータサイエンスの教授を務めていた。ACMのFellow,Swiss Academy of Technical Scienceのメンバー,US World Wildlife FundとOpen Networking Foundationの役員を務めている。


Hisa Ando

訳者
先端プロセッサの開発に40年間従事。シリコンバレーでSPARC64プロセッサの開発に従事。現在は,テクニカルライターとしてプロセッサやスーパーコンピュータ関係の報道や解説を中心に活動しており,『プロセッサを支える技術』(技術評論社,2011)などコンピュータアーキテクチャ関係の4冊の著書がある。また,ブログでプロセッサ関係の話題を紹介している。博士(工学)。

トラックバック

コメント

コメントの記入