Ubuntu Weekly Topics

2016年4月22日号Ubuntu 16.04 LTS “Xenial Xerus”リリース

Ubuntu 16.04 LTS “Xenial Xerus”のリリース

2016年4月21日、Ubuntu 16.04 LTS ⁠Xenial Xerus⁠がリリースされました。Ubuntuにとって6番目の、そして最初のLTS(6.06 LTS)をリリースしてから10年の節目にあたるLTSです。Desktop・Serverのサポート期間は5年です。

リリースノートを確認し、既知の問題が致命的な事態を引き起こさないことを確認してからインストールやアップグレードを行ってください。

ただし、Ubuntuのリリースでは毎回のことですが、⁠実際にリリースされる前後に、手の空いた開発者からリリースノートを書き始める」という文化が採用されているため、日本語版リリースノートは現在作業中です[1]⁠。

この関係でオリジナルのリリースノートも実情が反映されていない可能性もあるため、よほど腕に自信がある場合を除いて、今週末ぐらいまでは様子を見てからアップグレードするのが良いでしょう。もちろん、テスト機に新規にインストールする・テストのためにバックアップを取ってからアップグレードし、問題があれば嬉々としてバグ報告する、といったアプローチは歓迎されます。

16.04への更新で特に気をつけるべきは、AMD製のGPUをプロプライエタリドライバ(fglrx)で利用している場合と、Webサーバとして利用していて、かつPHPを利用している場合です。

fglrxは16.04では提供されませんので、amdgpuかradeonドライバを利用する必要があります。fglrxを利用している環境の場合、16.04へのアップグレードの前に絶対にバックアップを取得し、以前の環境を取り戻せるようにしておいてください(もちろんどのような場合でもバックアップは必須ではあるのですが、fglrx環境からamdgpuへの切り替えは最新のGPUでなければ非常に高い確率でやっかいな問題を呼び込みます⁠⁠。

16.04ではPHP7が提供されますので、PHP7で動作しないWebアプリケーションはアップグレードによって動作しなくなります。こうした場合には14.04環境をLXDで作成しそこへリバースプロキシを向ける、といった回避策を採る必要があるでしょう。

また、14.04からのアップグレードの場合はUpstartからsystemdへの変更を伴います。このこと自体による致命的な問題は今のところ報告されていませんが、カスタムしたnative job等は自分で移植する必要があることに注意してください。

姉妹連載「Ubuntu Weekly Recipe」では16.04に関しての次の記事がすでに掲載されています。あわせて参考にしてください。

編注
4月18日に発売されたSoftware Design 2016年5月号の第2特集では「2年ぶりのLTS 安定のUbuntu 16.04の新機能」と題して、Ubuntu Weekly Recipe/Topics執筆陣が寄稿しています。ぜひ書店で手に取ってみてください。

UWN#461

Ubuntu Weekly Newsletter #462がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-2950-1:Sambaのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-April/003382.html
  • Ubuntu 15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-5370, CVE-2016-2110, CVE-2016-2111, CVE-2016-2112, CVE-2016-2113, CVE-2016-2114, CVE-2016-2115, CVE-2016-2118を修正します。
  • ⁠Badlock⁠を含む脆弱性への対応です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
  • 重要:14.04 LTSと15.10ではSamba 4.3.8へ、12.04 LTSは3.6.25へ更新されます。4.1系から4.3系へのジャンプとなるため、非常に多くの(非互換を含むかもしれない)修正が行われます。
usn-2951-1:OptiPNGのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-April/003383.html
  • Ubuntu 15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-7801, CVE-2015-7802, CVE-2016-2191, CVE-2016-3981, CVE-2016-3982を修正します。
  • 悪意ある加工を施したファイルを開かせることで、メモリ破壊を伴うクラッシュが生じることがありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2917-3:Firefoxの再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-April/003384.html
  • Ubuntu 15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • Firefox 45.0.2のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、Firefoxを再起動してください。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧