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2.関数の機能追加と新関数の定義<その1>

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機能や書式の変更がある関数や,新たに定義された関数を,順に説明していきます。

「母標準偏差関数」「標本標準偏差関数」
『19データ群の特徴を求める「標準偏差関数」p.94~97』←関数名変更・新関数追加

「提示されているデータ群がサンプルのすべて」として計算するのが「母標準偏差」⁠MS ExcelではSTDEVP⁠⁠,⁠提示されているデータ群はサンプルの一部」として計算するのが「標本標準偏差」⁠MS ExcelではSTDEV)です。

旧仕様の「標準偏差関数」は,新仕様の「母標準偏差関数」になります。

「母標準偏差」「標本標準偏差」の具体的な計算式は次のようになります。⁠標本標準偏差」では,分母が⁠データ数-1⁠となることに注意しましょう。

96ページの例題のデータで,⁠母標準偏差」「標本標準偏差」を求めた場合は,次のようになります。

例:母標準偏差(B1~K1)    結果は13.13
標本標準偏差(B1~K1)  結果は13.84

      (結果の値は,小数点第3位以下を切捨ててある)

『条件に合うセルを数える「条件付個数関数」p.112~113』←書式変更

旧仕様では,引数2の論理式を ' '(一重引用符)で囲んで表記していました。新仕様では,⁠文字列は一重引用符⁠ ' ⁠で囲って表す」と明確に定義されています。そのため,引数2に論理式を記述する場合は,論理式に一重引用符を付けてはいけません(一重引用符で囲むと,論理式ではなく文字列として解釈される⁠⁠。

例:条件付個数(A1~A3,>50)

  「セルA1からA3のセル範囲のうち,値が50より大きいセルの個数を求める」

例:条件付個数(A1~A3,='>50')

  「セルA1からA3のセル範囲のうち,文字列'>50'であるセルの個数を求める」

「条件付合計関数」
『結果の値を合計する「照合合計関数」p.158~159』←関数名変更・書式変更

新仕様で新たに定義された関数です。本書で解説している「照合合計関数」と機能が全く同じであるため,今後は「条件付合計関数」に統一されます。ただし,「条件付合計関数」は,「照合合計関数」とは引数1(照合範囲)と引数2(照合値)の記述順序が逆なので注意!

「条件付合計関数」は,⁠照合範囲(引数1⁠⁠」の中で,⁠照合値(引数2⁠⁠」に一致する値を持つセルを探します。さらに,合致した値が入ったセルと同じ位置関係にある,⁠対応範囲(引数3⁠⁠」内のセルの値をすべて合計します。

また,⁠照合範囲」「対応範囲」は,同じ行数・列数のセル範囲しか指定できないことも覚えておきましょう。

例:条件付合計(A1~B3,>60,C1~D3)  結果は26

『35いろんな場面で出現する「切上げ関数」p.162~165』←機能追加

「切上げ関数」は,問題文中で定義される臨時の関数でしたが,仕様として定義されました。また,新機能も追加されています。

旧仕様では引数はひとつのみで,⁠引数の小数点以下を切り上げる」と定義されていました。新仕様では引数2の「桁位置」が追加され,⁠小数点以下何桁」で切り上げるのかを指定できるようになりました。

例:切上げ(134.2684,2)    結果は134.27

切上げ(-134.2684,3)  結果は-134.269

切上げ(134.2684,0)    結果は135

切上げ(134.2684,-2)  結果は200

なお,「切上げ関数」とは,負の値を切り上げたときの値の処理が異なるので,注意しましょう。

旧「切上げ関数」  切上げ(-100.5)    結果は-100

新「切上げ関数」  切上げ(-100.5,0)  結果は-101

「切捨て関数」←新関数追加

「切捨て関数」は,新仕様で新たに定義された関数です。⁠切上げ関数」と同じく,引数2の「桁位置」で切り捨てる桁を指定することができます。

例:切捨て(134.2684,2)    結果は134.26

切捨て(-134.2684,3)  結果は-134.268

切捨て(134.2684,0)    結果は134

切捨て(134.2684,-2)  結果は100

「四捨五入関数」←新関数追加

「四捨五入関数」も新仕様で新たに定義された関数です。前述の「切上げ関数」「切捨て関数」と同じく,引数2の「桁位置」で四捨五入する桁を指定することができます。

例:四捨五入(134.2684,2)    結果は134.27

四捨五入(-134.2684,3)  結果は-134.268

四捨五入(134.2684,0)    結果は134

四捨五入(134.2684,-2)  結果は100

「結合関数」←新関数追加

新仕様で新たに定義された関数です。⁠結合関数」は,各引数の値をすべて文字列として扱い,引数1から順につないで,ひとつながりの文字列にする機能を持ちます。

例:結合('yama','湖',2156)  結果は文字列「yama湖2156」

「乱数関数」←新関数追加

「乱数関数」は,⁠0以上,1未満」の範囲で,どれも同じ確率になるように乱数(実数値)を発生させる関数です。新仕様で新たに定義されました。