無関心な現場で始める業務改善

第9回 コンサルティング会社や専門家がやってはいけない業務分析

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前回の連載では,安易な解決策を作らないために,目に見えている現象面に捉われることなく,深く原因を掘り下げ,その因果関係を紐解いていく重要性をお伝えしました。

さぁ,いろいろと原因…らしきものが見えてくるころです。次はどうやって解決するのかとなりますが,それは問題・原因によって一意的に決まるものではありません。

今回は,⁠場面は無関心な現場⁠「解決策を考えること」について書いていきます。

考える材料と考える習慣

第6回で,⁠無関心に与える考える材料」として,業務フローがぴったりと言ったことを覚えていますか?

無関心な現場でなくとも,いきなり「職場の問題点を出せ!」と言われてたいしたものが出てくることはありません。仮に重症な問題が出てくれば,⁠今までなぜ放置しておいたんだ?」と責任を問われ,言いだしっぺが討ち死にすることもあります。 "余計なこと"は言わなくなり,ますます無関心を助長させてしまいます。

考える材料として業務フローを用いることは,考える"材料"を現場に与えることと同義です。業務フローは考えを促進するための"ツール"になり得ます。

第5回では,業務フローを現場自らが書くことで,現場に主体性を持たせました。そして,問題を掘り下げて原因を見出すところまできました。

無関心な現場でも,ちょっとしたキッカケを与えてあげることで,少しずつ「考える習慣」は芽生えてきます。もちろん,トップの腹くくりも重要です!

業務フローを用いて解決策を考える

目に見えている⁠現象”,それを起こしている⁠問題”。問題を引き起こしている⁠原因⁠と原因同士の因果関係は,これまでの記事でお伝えしてきたことです。

原因が見えてきたら,いよいよ,⁠解決策をどうしようか?」という話になります。またしても,考えることが求められますが,すでに「なぜ?」の掘り下げを行っているので,安易な解決策にはならないはずです。

業務フローを見ながら解決策を考える際に,下記のポイントに注意するとよいでしょう。

  • やたら業務フローが長い:ムダの温床(本当にそこまでいるの?)
  • 前工程へのリターンパスが多い:後工程で手直しが発生。前工程のアウトプットの質が低い。チェック機能不全,未完全なものを後工程に流している
  • 似たプロセスが何回も登場する:標準化,シェアードサービスしやすい
  • 部門間のやり取りが1回で終わらない:1つのプロセスで終えるべきことを終えていない。何でもリアルタイム処理ではなく,バッチ処理的な業務はまとめて一気に行うことも必要

そのほか,部門として「何をどこまで行うのか」が明確になるので,組織構造の問題,情報共有,意思決定プロセスの課題なども発見することも少なくありません。

業務フローを用いた問題発見は上流モデリングによる業務改善手法入門に詳しく書いていますので,一度,ご覧になってみてください。

大事なのは,皆さんの目に業務フローからの情報を入れて,皆さんの頭で解決策を考えていくプロセスそのものです。

解決策の着眼点

解決策の着眼ポイントとして,下記が挙げられます。

  • 「早く」⁠ :簡略化できない?短時間にならないか?スピードが上がらないか?誰でも早くできないか?など
  • 「安く」⁠業務をなくす・減らせないか?安いやり方はないのか?
  • 「正しく」⁠精度を上げる,バラつきを減らす
  • 「楽に」⁠判断が楽にするには?標準化できないか?誰でも楽にできるようにならないか?楽しくできないか?

現場への動機づけ

ここまでで,⁠現象⁠⁠問題⁠⁠原因⁠⁠解決策…らしきもの⁠が,一連の関係性のもと,つながってきました。ただ,よほど現場が自信を持っていない限り,⁠これだ!」と言える解決策はなかなか出てこず,積極的に改善行動を起こすまでは至りません。

ここで,どのようにキッカケを与えるかを考えてみましょう。

無関心な現場で業務改善の旗振りを行う「とりまとめ役」だと思ってください。どのように働きかけを行い,現場に動機づけをすればよいでしょうか?

問題・原因を見出したのは誰か?

まず,誰が問題を見つけたかです。自分の業務は自分が一番知っており,ぶつくさ言いながらも自分で書いた業務フローをもとに,問題を見出したはずです第5回)⁠そして,潜む問題が,いつ・どこで起こっているかなどを,業務フローを見ながら「誰が(who)ではなく,(what)が悪いかという観点で考えました第6回)⁠

トップも腹をくくり第7回)⁠安易な解決にならないよう,問題と原因の関係,原因の深堀りを行いました第8回)⁠

今さらですが,これらはいったい誰が行ったのでしょう?無関心な現場だろうがなんだろうが,ほかならぬメンバー自身ですよね?

問題が出てきて,その原因を突き止め,ぼんやりとでも解決の糸口が見えてきた。過去に業務改善に失敗を経験して,⁠二度とやるものか」と思っていた人もいる中で,ようやくここまで漕ぎ着けたわけです。

「やればできるということ」「小さな成功体験の積み重ね」は,個々人の自信につながりますので,もう少し前のことを見据えて進んでいきましょう。

著者プロフィール

世古雅人(せこまさひと)

メーカにて開発エンジニアと半導体基礎研究(国の研究機関出向)の計13年を設計と研究開発の現場で過ごす。企業風土改革,組織・業務コンサルティング会社や上場企業の経営企画責任者などを経て,技術の現場あがりの経験や知識を活かした業務改善やコンサルティングなどに従事。

2009年に株式会社カレンコンサルティングを設立,同社代表取締役。現場と経営を巻き込んだ「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルを推し進めている。

株式会社カレンコンサルティング

URL:http://www.carren.co.jp/

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