Ubuntu Weekly Recipe

第716回 Ubuntuにおけるマイクやスピーカーの切り替えを,システムメニューを使って手早く切り替える

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ご存知のようにオーディオデバイスは勝手に増殖します。よっぽどのことがない限り耳も口も増えることはないはずなのに,なぜかそれを利用するデバイスだけが増えていくのです。今回は聖徳太子になりきれない読者に向けて,複数のオーディオデバイスを活用できるよう,より手早くデバイスを切り替える方法を紹介します。

オーディオデバイスを切り替えるとは

現在のUbuntuはサウンドサーバーとしてPulseAudioを採用しています。PulseAudioはざっくりと説明すると,アプリケーションの音声出力をどのスピーカーやヘッドフォンで再生するのか,マイクから入力された音声をどのアプリケーションに渡すのかといったアプリケーションとサウンドデバイスの橋渡しをする仕組みです注1⁠。

注1
最近はより「低レイテンシー」を売りにしたマルチメディアフレームワークである「PipeWire」が登場しています。Ubuntuでも22.04ではビデオ再生用にPipeWireが最初からインストールされているものの,まだPulseAudioがメインのサウンドサーバーのままです。2022年10月にリリースされる予定の22.10では,オーディオでもPipeWireに置き換わる予定です。

本連載でもサウンド関連の記事は多く存在します。PulseAudioが絡んでくる代表的な記事だけでもリストアップすると,次のとおりです。

内容が古い記事もあるものの,おおよそPulseAudio自体はそこまで大きく変わっていないため,今でも使える情報ばかりでしょう。

さて,Ubuntuの場合,一般的なアプリケーションであればPulseAudioがどのオーディオデバイスに出力するかをコントロールしています。特にGNOMEだとPulseAudioの設定がシステム設定画面でも行えるため,次のような画面を見たことがあるでしょう。

図1 システム設定の「サウンド」でメインの出力先を変更できる

図1

また,ZoomやTeams,OBS Studioのように,アプリケーション側で出力デバイスを指定できるUIを備えているものもあります。これらのアプリケーションはツールキット経由でALSAライブラリを利用していることが多く,Ubuntuの場合は一旦ALSAライブラリからPulseAudioを経由して出力することになります。

図2 アプリケーションによってはALSAライブラリを利用して独自に出力デバイスを変更している

図2

しかしながらFirefoxをはじめとする大抵のアプリケーションは,出力先を選ぶ機能が標準では備わっていません注2⁠。よって何かを再生・録音する際に,普段とは異なるオーディオデバイスを選びたいのであれば,システム設定の「サウンド」から選択する必要がでてきます。

注2
Firefoxなども,上図のようにリモートミーティングのように個別に録音やカメラの利用を許可する必要があるサイトであれば,オーディオデバイスを選択可能です。また拡張機能などを入れればもう少し柔軟に設定できる場合もあります。

もちろんPulseAudioの設定をきちんと書けば,特定のアプリケーションのみ特定のオーディオデバイスに送ることは可能ですし,第177回でも紹介しているようにpavucontrol(PulseAudio Volume Control)のようなPulseAudioの設定ツールを使えば,再生中の特定のアプリケーションごとの出力先を動的に変更できます。

今回はそこまで細かな設定は不要で,単にさっとシステム全体の出力先を変えたい,という用途に便利な「Sound Input & Output Device Chooser」を紹介しましょう。

Sound Input & Output Device Chooser

Sound Input & Output Device ChooserはGNOME Shellの拡張機能です。この拡張機能を導入すると,画面右上のシステムメニューから再生・録音のオーディオデバイスを簡単に変更できます。

図3 システムメニューからオーディオデバイスを変更できる。Bluetoothデバイスのように複数のプロファイルをサポートしていたらプロファイル間の切り替えも可能

図3

他にもデバイス単位の音量や表示・非表示の設定,Bluetooth等のプロファイルの選択なども可能です。

UbuntuにおけるGNOMEの拡張機能は現状,⁠ウェブブラウザーからインストールする」⁠GNOME Shell Extension Managerを使う」⁠CLIからインストールする」の3択です注3⁠。そのうち最初のウェブブラウザーを使う方法では,現状Snap版のFirefoxやChromiumでは対応していません。また,GNOME Shell Extension ManagerはUbuntu 22.04 LTSから利用できるようになりました。よって今回はGNOME Shell Extension ManagerとCLIを使った手順の両方を紹介します。

注3
過去にはGNOME Tweaksでも拡張機能のインストールができましたが,GNOME Tweaks 40からこの機能は削除されています。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。