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第732回大人気ベアボーンASRock DeskMeetとUbuntuでNASを組む[ハードウェア選定編]

ASRock DeskMeetシリーズは3.5インチHDDが2台入るベアボーンです。ということはNASを組むのにちょうどいいということです。そこで、このベアボーンとUbuntuと使ってNASを構築してみましょう。今回はこのベアボーンをNASとして使ううえで最適なハードウェアを選定します。

DeskMeetの選定

DeskMeet B660(以下B660)については第721回第724回で紹介しています。最も後者はおおむねCPUの話ですが。

第721回でも言及しているとおり、DeskMeet X300(以下X300)もあります。違いは搭載できるCPUがIntel製かAMD製かで、採用するチップセットのグレードにより搭載できるストレージが異なり、価格も異なります。

NASにするのであれば、どちらを選択するのがいいのでしょうか。

普通に考えればB660です。B660だと選択できるCPUの種類が多いです。NASということでCPUパワーはさほど必要ありませんので、CeleronやPentiumクラスで充分です。一方AMDは低価格なCPUのラインナップが弱く、Athlon 3000Gは入手困難(うちにはある⁠⁠、Ryzen 5 4600Gは発売の目処が立たずといったところです。入手の容易性を鑑みるとRyzen 5 5600Gになってしまいます。NAS用のCPUとしてはオーバースペックですし、B660+Celeron/Pentiumよりも価格が高くなってしまいます。もちろんNAS以外の用途もあればいい選択肢です。またB660だと、M.2スロットが2つあるというのもいいです。

ではX300はNASに向かないのかといわれると、そうともいいきれません。IntelのCPUでECCメモリーに対応しているのは原則としてサーバー/ワークステーション向けですが、AMDはRyzen ProであればECCメモリーに対応しているからです。

今度はNASにECCメモリーは必要なのか、ということになりますが、正直なところ不要であろうと考えています。というのも、世の中にはNAS専用機がたくさんありますが、ハイエンドモデルでもIntelのSoCを搭載しており、ECCメモリーに対応しているはずがありません。

今回はせっかくなのでECCメモリーを使うことにします。よってX300を選択しました。

NAS vs 汎用PC

いやちょっと待て、そもそもNAS専用機があればDeskMeetをNASにしなくてもいいのでは、という考えは当然あることでしょう。これは正しいです。

NAS専用機だとNASメーカーがOSからよしなにしてくれます。一方DeskMeetなど汎用PCであれば何もかも自分でしなくてはいけません。これは面倒です。

単なるファイルサーバーとして使用するのであればNAS専用機にすればいいのですが、自由度は汎用PCのほうが高いです。NAS専用機でやりたいことを増やしていくと結局買い替えが必要になり、だったら最初から汎用PCにしておいたほうが安上がりになります。

筆者自身現在は汎用PCをNASにしていますが、その前は第593回で取り上げていたとおりSynologyのNASを使用していました(さらにその前は汎用PCでした⁠⁠。よって、またいずれNAS専用機に戻る日が来るのかもしれません。

ほかのパーツの選定

使用するDeskMeetのモデルを選択したところで、ほかのパーツも考えていきましょう。

CPU

ECCに対応したRyzen Proで購入できるのはRyzen 3 Pro 4350G、Ryzen 5 4650G、Ryzen 7 4750Gの3モデルです。今はRyzen 5000シリーズが主力で、今月末には7000シリーズも発売になるということで入手困難ですが、先日大阪日本橋の電気街にある某店で確認したところでは、4650Gと4750Gは在庫ありになっていました。4350Gは代理店がマザーボードとセットにして安価で販売したため、入手困難なのかもしれません。そんなわけで筆者宅にはかなり安価で入手した4350Gが2つあり、うち1つが第703回で紹介した録画サーバー兼NASで使用しています。

もう1つの4350GはWindows 11用PCで使用していましたが、これを引き剥がして使用することにします。

CPUファン

DeskMeetに取り付けられるCPUファンは58mmまでであり、わりと選択肢が広いです。Ryzen Proは3つともCPUファンなしで販売されているため[1]、いずれにせよCPUファンを調達しなければいけません。

4350Gであれば第721回で紹介しているIS-40X-V2でいいでしょう。筆者はその前のバージョンであるIS-40Xで4350Gを冷やしていましたが、全く問題ありませんでした。

ただし今回は機材手配の都合上手裏剣2にしましたが、はっきりいってオーバースペックです。この手裏剣2は58mmのCPUクーラーでDeskMiniの上限サイズと同じです。装着感を確認したいところです。

Socket AM4のCPUは、CPUクーラーを外すときにCPUも一緒に抜けてしまう事故が起こりがちですが、それを防止するIFE2があります。少なくとも手裏剣2では使用できますが、IS-40Xでは使用できません。

メモリー

ECCメモリーは高いです。幸いにもあまり大容量でなくていいため、4GBや8GBくらいのモデルであればなんとか買えます。今回はKSM32ES8/8HDを選択しました。速度を考えると同容量のものを2枚にするのがいいのですが、今回は1枚のみにします。

NVMe SSD

マザーボードにあるM.2スロットにはNVMe SSDを接続し、OSのブート用とします。容量は128GBでも多すぎるくらいですが、今回は機材手配の都合上WDS100T2B0Cにしました。旧モデルとはいえどうしてこんなSSDが余っているのかわかりませんが……。

ちなみに選択するSSDはそれほど高価なものでなくていいです。なお、GPU内蔵RyzenはPCIe 3.0までの対応です。またM.2スロットに取り付けるヒートシンクは付属しておらず、あまり熱くないモデルか、あらかじめヒートシンクがついているものにしましょう。

HDD

HDDは機材手配の都合上、IronWolfの8TBモデルを2台使用します。

2台のHDDをどのように使用するのかも頭を悩ませるところです。普通に考えればRAID1での冗長化ですが、その場合はどうやってRAIDを組むかを考えなくてはなりません。

また1台をメインで使用し、もう1台はバックアップという手もあります。2台を用途によって使い分ける方法も考えられますが、個人的な経験からあまりおすすめしません。充分に容量が大きなHDDを用意し、1つにまとめるのが得策です。

今回はLVMでRAIDを組みますが、ZFSやBtrfsを使用するのもいいでしょう。

HDDの増設はUbuntu Serverのセットアップ後に行います。深い理由はなく好みによるものですが、まずはセットアップを行って基本的な動作確認を行うのがおすすめです。

NICをどうするか

DeskMeetシリーズはどちらもGbEで、今となっては速度的に充分とはいえません。PCIeスロットにも空きがあり、またUSBポートもあるので、第693回を参考に2.5GbEを導入します。第693回で取り上げたGPE-2500TまたはAS-U2.5G2の片方(または両方)を選択してください。

以上でハードウェアを選定できました。次回は実際に組み立ててUbuntu Serverをインストールなどをおこない、NASを構築します。

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