知りたい!サイエンスシリーズ拡がる宇宙地図
―宇宙の構造はどう解明されてきたか

[表紙]拡がる宇宙地図―宇宙の構造はどう解明されてきたか

紙版発売

四六判/256ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 978-4-7741-3516-8

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書籍の概要

この本の概要

私たちは,多かれ少なかれ,天文学に関する情報を見聞きしています。例えば,地球が丸いこと,太陽の周りを地球,惑星が回って太陽系を構成していること,自ら輝く恒星は惑星など,太陽系天体よりもはるか遠方に存在し,広大な宇宙に様々な距離で分布しているといったこと。本書では,アリストテレスの昔から,ヒッパルコス衛星による観測まで,現在私たちが知っている宇宙の描像がどのように得られたいったかを見ながら,そこで展開される考え方,背後にある物理を解説します。

こんな方におすすめ

  • 天文(物理)・宇宙に興味がある方
  • 星までの距離の測り方(距離天文学)に興味のある方
  • 過去の偉人たちが,いかにして宇宙の姿に迫ってきたかを概観したい方

著者の一言

宇宙,天文のみならず,自然科学に興味をお持ちの方皆様に読んでもらいたい一冊です。

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目次

序章 はじめに

第1章 地面は平らなのか?丸いのか?

  • 1-1.昔の人が考えた宇宙はどんな宇宙なのか?(古代ギリシャの宇宙)
  • 1-2.地球は丸いとどうして分かる?(アリストテレス)
  • 1-3.地球の大きさを実際に測る(エラトステネス)

第2章 回っているのは天球なのか?地球なのか?

  • 2-1.地球は中心で不動である(アリストテレスやプトレマイオス)
  • 2-2.自転する丸い地球を考える人もいた(ヘラクレイデスの宇宙)
  • 2-3.いかにして地球が自転していることを確かめたか

第3章 地球が中心なのか?太陽が中心なのか?(古代)

  • 3-1.天をさまよう星(惑星)
  • 3-2.同心天球説とはどのような考え方なのか(エウドクソス)
  • 3-3.周転円を用いた地球中心説の集大成(プトレマイオスの宇宙)
  • 3-4.太陽中心説と地球中心説はどのように違うのか?
  • 3-5.惑星運動のわずかなずれは離心円,エカントで調整する
  • 3-6.早すぎた太陽中心説(アリスタルコスの宇宙)
  • 3-7.背景の星々も長い年月にはずれていく.歳差の発見(ヒッパルコス)
  • 3-8.歳差運動はどうして起こるのか
  • 3-9.星の明るさを系統的に分類したヒッパルコス
  • 3-10.天体までの距離を実際に測るには?
  • 3-11.三角測量の誤差を小さくするにはどうすればいいか?
  • 3-12.最も近い天体,月までの距離を測定する(ヒッパルコス)
  • 3-13.地球上の場所に応じて天体の見える方向は変化する―地心視差,地平視差
  • 3-14.月食を利用した月までの距離測定(ヒッパルコス)
  • 3-15.プトレマイオス,太陽までの距離を測定する
  • 3-16.プトレマイオスは本当に太陽の距離を測ったのか?

第4章 地球が中心なのか?太陽が中心なのか?(中世)

  • 4-1.地球中心説から太陽中心説へ(コペルニクス)
  • 4-2.星までの距離を測る基本的な方法は?(年周視差)
  • 4-3.地球中心説の復活(ティコ・ブラーエの宇宙)
  • 4-4.太陽を中心に惑星は楕円軌道を描く!(ケプラーの宇宙)
  • 4-5.金星の満ち欠けの観測(ガリレオ・ガリレイ).プトレマイオス宇宙の完全否定.
  • 4-6.地球は確かに自転している!(アイザック・ニュートン)
  • 4-7.ニュートン力学.惑星の楕円運動を証明.
  • 4-8.地球自転の直接的証明(フーコーの振り子)
  • 4-9.地球上では見かけの力が働く(コリオリ力)

第5章 太陽系=宇宙のサイズを決める

  • 5-1.太陽系の大きさを表す基本単位(1天文単位)
  • 5-2.地球自転を利用した火星の距離測定(ジョバンニ・カッシーニ)
  • 5-3.金星の太陽面通過を利用した1天文単位の測定(エレミア・ホロックス)
  • 5-4.その他の方法を利用した1天文単位の測定
  • 5-5.今日の1天文単位測定方法

第6章 年周視差を求めて

  • 6-1.恒星は動いていた!.固有運動の発見(エドモンド・ハレー)
  • 6-2.光速度の測定(オーレ・レーマー)
  • 6-3.光行差の発見(ジェームズ・ブラッドリー)
  • 6-4.太陽自身もまわりの恒星に対して動いている!(ウィリアム・ハーシェル)
  • 6-5.年周視差の検出に初めて成功(フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル)

第7章 より遠くへ

  • 7-1.分光学の発達
  • 7-2.ドップラー効果とは?
  • 7-3.星の色で距離が分かる(分光視差)
  • 7-4.変光星セファイドの発見(距離を求める新しい道具)
  • 7-5.星団の運動から距離を求める(星流視差)
  • 7-6.主系列星あわせによる距離測定
  • 7-7.統計視差による距離測定
  • 7-8.永年視差による距離測定

第8章 天の川銀河の構造を探る

  • 8-1.天の川銀河の構造に初めて挑む(ウィリアム・ハーシェル)
  • 8-2.天の川銀河の構造の定量化(ヤコブス・カプタイン)
  • 8-3.我々の太陽系は天の川銀河の端にある(ハーロー・シャプレー)
  • 8-4.アンドロメダ星雲は天の川銀河の外だった(エドウィン・ハッブル)
  • 8-5.遠方の銀河は遠ざかっている!(エドウィン・ハッブル)
  • 8-6.宇宙のサイズは2倍に.種族の発見.(ウォルター・バーデ)
  • 8-7.天の川銀河はすごいスピードで回転している!(ベルティル・リンドブラッド,ヤン・オールト)
  • 8-8.宇宙の中心の移動

第9章 スペース位置天文学

  • 9-1.地上からスペースへ(ヒッパルコス衛星)
  • 9-2.ヒッパルコス衛星の観測した領域
  • 9-3.絶対年周視差と相対年周視差
  • 9-4.ヒッパルコス衛星の年周視差測定
  • 9-5.プレアデス星団の本当の距離は?
  • 9-6.位置天文観測は分解能より小さい角度を測定する!
  • 9-7.スペース位置天文観測の問題点
  • 9-8.国際天文座標系
  • 9-9.次期衛星計画
  • 9-10.距離はしご
  • 9-11.位置測定精度の推移
  • 9-12.次世代位置天文観測衛星のさらに先

著者プロフィール

矢野太平(やのたいへい)

大阪府豊中市出身。京都大学理学部宇宙物理学科卒業。大阪大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了,博士(理学)。

現在,自然科学研究機構 国立天文台 助教。専門は位置天文学。

世界最高クラスの10万分の 1 秒角精度での星の位置測定を可能にする位置天文観測衛星JASMINEの検討・開発を行っている。