知りたい!サイエンスシリーズ宇宙論の飽くなき野望
―それでも96%は未だ謎、だから面白い

[表紙]宇宙論の飽くなき野望―それでも96%は未だ謎、だから面白い

紙版発売

四六判/248ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 978-4-7741-3301-0

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書籍の概要

この本の概要

本書の著者である佐藤勝彦さんは,「インフレーション宇宙論」を提唱した,世界的な宇宙物理学者である。本書は,彼の功績である「インフレーション宇宙論」にいかにたどりつき,その後どのように探求してきたかを振り返りながら,宇宙の歴史と姿を分かりやすく解説する。

宇宙はどうやって生まれ,どう拡大したのか?宇宙に溢れるエネルギーはどこからやってきたのか?人間が分かっている宇宙の物質がたった4%とはどういうことなのか?

“インフレーション”をキーワードに解き明かされる宇宙の姿は,とても奇妙で不思議だが,しかし普遍的なものだった。

こんな方におすすめ

  • 宇宙の始まりに興味のある方
  • 物理学好きな方
  • 遠くに思いをはせる方

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宇宙はどこから生まれて,どこへ行くのだろう?
<私たちの住んでいる宇宙は,今から137億年の昔,熱い火の玉として生まれた。この火の玉が膨張したあと冷えていくうちにガスが固まり,銀河がつくられ,その中で星が誕生し,豊かな構造を持った宇宙がつくられた>

目次

第1章/ニールス・ボーア研究所,NORDITAでの2年間

  • 理論物理のメッカ「ニールス・ボーア研究所」
  • 100億年後,地球は太陽に飲み込まれる
  • 天の川銀河の運動と,私たちの行く末 など

第2章/私はなぜ,宇宙論研究者になったのか

  • 超新星で確かめられた「ニュートリノ閉じ込め理論」
  • 中性子星はどのように生まれたか
  • 地下1000mの“天文台” など

第3章/私の人生を変えた「ワインバーグ=サラム理論」との出会い

  • あなたは天体物理屋で,素粒子では素人だ
  • 「人生最大の不覚だった」アインシュタインの宇宙定数
  • 「標準ビッグバン宇宙論」で解けなかった疑問 など

第4章/こうして私は「インフレーション宇宙論」を生み出した

  • なぜ宇宙は火の玉宇宙として始まった?
  • 宇宙で起きた「真空の相転移」
  • 宇宙の「平坦性問題」
  • 宇宙はなぜ物質でできているのか? など

第5章/私とアラン・グース,スティーブン・ホーキング

  • 「インフレーション」で解けた四つの問題
  • ブラックホールとワームホールの出現
  • 宇宙は無限に増殖する
  • ホーキング流でも宇宙は多重発生 など

第6章/今,わかっている宇宙論パラメータ

  • 今,何がどこまでわかっているか
  • 宇宙の年齢は若すぎても困る!
  • 気球で宇宙背景放射を精密観測
  • 観測でわかった「宇宙は平坦」という事実 など

第7章/宇宙論はどこに向うのか

  • 宇宙の96%は正体不明!
  • 暗黒物質の“怪しい候補”
  • 第2のインフレーションが始まった!?
  • 観測と理論の矛盾から「新しい真理」が生まれる など

著者プロフィール

佐藤勝彦(さとうかつひこ)

東京大学大学院理学系研究科教授,理学博士。

1945年香川県生まれ。68年京都大学理学部卒業後,北欧理論理学研究所客員教授などを経て,90年から東京大学大学院理学系研究科教授。専門は宇宙論と宇宙物理学で,特に宇宙の創生と初期宇宙の研究をしている。インフレーション理論の提唱者の一人。国際天文学連合の宇宙論委員会の委員長を務めるなど,宇宙論研究を世界的にリードする。90年仁科記念賞を受賞。おもな著書に『宇宙96%の謎』『アインシュタインが考えた宇宙』(実業之日本社),『岩波基礎物理シリーズ⑨相対性理論』(岩波書店),『宇宙はこうして誕生した』(ウェッジ)などがある。