詳説Microsoft Windows Server 2008 Hyper-V ――仮想化技術活用ガイド
- 遠山藤乃 著
- 定価
- 3,520円(本体3,200円+税10%)
- 発売日
- 2009.3.6[在庫なし]
- 判型
- B5変形
- 頁数
- 384ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3777-3
サポート情報
概要
本書で解説している仮想化技術とは、OS(Windows Server)の上に複数のOSを稼動させる技術です。グリッド、仮想化、SaaS、ASP等、サービスの展開の方法次第ではクラウドコンピューティングを支える技術の一つといえます。マイクロソフトが提供する仮想化技術を可能にする製品が「Hyper-V」です。本書は、仮想化を導入したときのメリットとデメリットを解説し、Windows ServerへのHyper-Vのインストールを行います。その上でHyper-Vを活用する上での注意点や、実際に使うときの問題点、既存のシステムとの親和性、などなど本書でしか知りえないアンドキュメンテドなノウハウをたくさん掲載しました。
こんな方にオススメ
- システムエンジニア
- ネットワーク管理者
- ITアーキテクト
- CIO
目次
第1章 仮想化技術とは何か、そしてその可能性とは何か
- 1.1 身近になってきた仮想化技術を体験してみませんか?
- 1.2 仮想化の一般的なメリットとは何か
- 1.3 マイクロソフト社の仮想化技術――Hyper-Vの概要
- 1.4 Hyper-Vの基本仕様
第2章 サーバー仮想化の実践(初級編)
- 2.1 Hyper-Vを使ってみませんか
- 2.2 仮想環境を快適に体験するための物理マシンの準備
- 2.3 Hyper-V環境を準備する
- 2.4 無償版Hyper-V Serverを利用してHyper-V環境を準備する
- 2.5 Hyper-V環境を試してみよう
- 2.6 より快適にHyper-Vを稼働させるための工夫
第3章 サーバー仮想化の実践(上級編)
- 3.1 SCVMMとは何か
- 3.2 業務での利用はSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)2008が必須
- 3.3 SCVMM 2008のインストール
- 3.4 SCVMM環境の準備
- 3.5 SCVMMを利用した運用
- 3.6 SCVMMを利用した既存環境との共存と移行
- 3.7 二世代以上前のWindows Server OSへの対応
- 3.8 仮想環境下での可用性の確保
- 3.9 パフォーマンスについて
第4章 仮想化されたデータセンターの運用
- 4.1 Microsoft System Center製品とデータセンター構成
- 4.2 System Center Data Protection Manager(SCDPM)2007 SP1
- 4.3 System Center Operations Manager(SCOM)2007 SP1
- 4.4 System Center Configuration Manager(SCCM)2007 R2
- 5.1 Virtual Desktop Infrastructure
- 5.2 OSの互換性問題の解決――Microsoft Enterprise Desktop Virtualization
- 5.3 アプリケーション間の競合の解決――Microsoft Application Virtualization
- 5.4 デスクトップの仮想化技術の全体像とターミナルサービスの位置づけ
- 6.1 Hyper-V環境下でサポートされる製品
- 6.2 Hyper-Vの仮想環境下でのマイクロソフト製品のサポートについて
- 6.3 Hyper-Vの仮想環境下でのマイクロソフト社製以外の製品のサポートについて
- 6.4 Hyper-V以外の仮想環境下でのマイクロソフト製品のサポート
- 7.1 仮想環境におけるライセンス上の課題
- 7.2 ライセンスの基本
- 7.3 仮想化で得するライセンスは?
- 7.4 これまで物理マシン単位に課金されていた製品は?
- 8.1 Hyper-VとVMwareの違い
- 8.2 運用管理製品の比較
- 8.3 デスクトップ用仮想化(VDI)製品の比較
第5章 デスクトップにおける仮想化技術の応用
第6章 Hyper-Vの各種サポートについて
第7章 仮想環境におけるライセンス上の問題
第8章 Hyper-Vと他の仮想化ソフトウェアとの比較
プロフィール
遠山藤乃
1969年大阪生まれ。小学生の頃、父親から買い与えられたパソコンでアセンブラを独学で学ぶ。その後はコンピュータとは無縁の生活を送る。某国立大学工学研究科博士課程前期にてアミノ酸配列とタンパク質の立体構造の関係を研究。当時は、アミノ酸やたんぱく質の研究はあまり注目されておらず、将来に不安を感じたために、大学院修了後、某大手SIベンダーでソフトウェア開発支援ツールの販売という、大学時代の専門とはかけ離れた仕事を始める。以来10年以上、企業ユーザーに対してソフトウェアの訴求、販売を行っている。現在は某ソフトウェアベンダーへ転職し、セキュリティおよび運用管理製品の訴求、販売を行っている。趣味は演劇で、今もアマチュア劇団で年2回の公演活動を続けている。
著者の一言
「Hyper-Vが出荷されたら、すぐに書籍が出版できるようにしましょう」
というお話をしていたのが、2008年前半でした。結局その約束は守れずに、原稿の執筆を始めたのは、2008年11月でした。言いわけではないのですが、執筆を始めた時期としては良かったと考えています。
Hyper-V出荷後から原稿執筆開始までの間、SIベンダーの皆様やエンドユーザーの皆様の声を直接聴くことができました。また、Hyper-Vに関する数多くの情報も出てきました。その結果、仮想環境を使いこなすための入り口としては、満足のいく書籍が出来上がったと考えています。
さて、現在はHyper-Vの出荷時点では想像もできなかったような経済状況になっています。米国発の金融危機以降、百年に一度という不況に突入しています。私の勤める会社も、お客様の投資凍結のあおりを受けています。その一方で、仮想化ソフトウェアであるHyper-Vの普及にとっては、この不況が追い風になっています。
日本のIT技術者の中には、無意味な技術論を展開する方が少なくありません。具体的には、「VMwareにはVMotionがあるけど、それに比べてHyper-VのQuick Migrationは劣っている。だから、VMwareが一番だ」といった議論を展開する方です。しかし、この不況を契機に、こういった無意味な論調は急速に影を潜めました。逆に、細かい機能比較などは行わずに、「安価なHyper-V前提で、どう使えば弊社の業務要件を満たせるかに時間を費やしたい」という方が増えています。業務上必要な要件を、必要最低限のコストで実現するという当たり前の考え方です。これは、Hyper-Vの出荷直後には考えられなかった反応で、不況による追い風といっていいでしょう。近い将来、IT業界に携わる人間にとって、仮想化技術に関する知識は必須となるでしょう。
本書は、今後必須となる仮想化技術を使いこなすための情報を提供したつもりです。情報は、原稿執筆時点の最新のものです。しかし、IT業界には、次々に新しい有用な技術や情報が提供され続けます。本書では、できるだけ外部の参考情報を提示していますので、これらの参考情報を元に、常に最新の情報を入手することを忘れないでください。本書で仮想環境のベースの知識を身につけ、常に最新の情報を入手する好奇心さえあれば、不況をチャンスに変えることもできると、私は信じています。