債券と国債のしくみがわかる本
- 久保田博幸 著
- 定価
- 1,848円(本体1,680円+税10%)
- 発売日
- 2011.7.21[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 224ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4731-4
サポート情報
概要
「今年度の国債発行額は○×兆円にのぼり……」と、国の予算を伝えるニュースで毎年のように流れます。日本はこのまま借金を増やしていいのか、国債の先行きを心配する人が増えています。国債は債券の1つです。債券は国債を筆頭にさまざまな種類のものが発行されています。日本国債の行方、債券の価格と景気の関係、利率と利回りの違い、価格ではなく利回りで価値を測るところなど、債券を理解するのに「ここは必ず!」という点をやさしく解説。「牛」「熊」「猫」、3人のキャラの会話を読んでいるうちに債券&国債のポイントがわかります。
こんな方にオススメ
- 金融関係で働きたいと考えている学生の方
- 債券に関わる業務に携わることになった方
- 日本国債に関心のある方
目次
第1章 「債券」の世界へようこそ
1-1 ひとことで言うと債券って何?
- 新人さんが債券部にやってきた
- たくさんの人からお金を集めるのが債券
- 三つの大切な役割
- 債券と長期金利
1-2 まずは債券の基本を知ろう
- お金の世界で債券はマストのアイテム
- 債券部のお仕事
- 債券にも売り買いするための市場がある
- 債券は価格ではなく、利回りで取引される
1-3 少しずつ知識を増やして債券を身近にしていこう
- 株や為替に比べて影が薄い債券
- 債券市場は個人にとってハードルが高い
- 債券は「よくないこと」が起きると買われる
1-4 債券の独特の用語を整理しよう
- 利回りと利率は別のもの
- 額面金額と支払金額も別のもの
- 償還日までの期間が残存期間
第2章 債券と金利、ここは必ず押さえよう
2-1 知ってそうで知らない金利の考え方
- そもそも金利って?
- 世界に古くからあった金利の仕組み
- 王様の借金の金利は高かった
- 議会の信用をバックに国債の発行が始まる
- 金利があるから、お金はスムーズに流れる
2-2 金利の種類を一つひとつ見ていこう
- 1年以下の短期金利、1年超の長期金利
- 短期金利の代表はどの金利?
- 債券にも固定金利と変動金利がある
- 複利の欧米と、単利が多い日本
- 利子が付く債券と、利子が付かない債券
2-3 簡単な金利の計算をやってみよう
- まずは単利による割引債の計算から
- 利子を含めて考える利付債の計算
- 複利は基本的な考え方でOK
2-4 債券の利回りと価格が反対に動く理由
- 計算式を見れば一目瞭然
- 債券の関係者は景気が悪いと喜ぶ!?
- デュレーションって何?
2-5 「利回りで売買」は債券の大きな特徴
- なぜ、価格ではなく利回りで取引される?
- 「小数点以下第三位まで」が基本
- 利回りの数字には独特の言い回しがある
- その他の用語も見ておこう
2-6 債券の利回りの動きをチェックする方法
- 利回りはどうやって調べる?
- 債券の情報は誰でもアクセスできるわけではない
第3章 地方、会社、国際機関も債券を発行している
3-1 なぜ、債券は発行される?
- たくさんの貸し手から長期間お金を借りられる
- お金を安全に運用したい投資家が買っている
- 投資家と発行側にとっての債券の魅力
3-2 借金だけじゃない! 国債の役割
- 金融資産の中心にいるのは国債
- 日本の国債が抱える心配事
- 指標という国債の大切な役割
3-3 自治体や政府系機関の債券
- 地方の町も債券を発行している
- 地方債のバックには国がいる
- 高い信用力を持つセイホサイ
3-4 社債にはいろいろな種類がある
- 企業の信用力で条件が変わる
- 支払いの順位が劣る社債、株と交換できる社債
3-5 国際機関が発行する債券の特徴
- 信用力が抜群に高い
3-6 格付会社は債券の鑑定人
- お金を出していいかどうかの判断材料になる格付け
- 日本国債はシビアな目を向けられている
第4章 さらに踏み込んで債券市場を見てみよう
4-1 債券の発行・入札の仕組み
- ほとんどの債券が公募で発行される
- 金融機関が間に入る引受募集とシンジケート団
- 政府お墨つきの国債市場特別参加者制度
- 国債の入札を詳しく見てみよう
- もう債券は見られない!?
4-2 日本の債券市場はこんなに大きい
- 日本の債券市場の規模は世界トップクラス
- 債券の売り買いはどこでしている?
- 債券の決済の仕組み
4-3 日本以外も! 注目される世界の債券
- リーマン・ショックを振り返ってみよう
- 日本の借金の不安を呼び起こしたギリシャ・ショック
- 危機を受けて中央銀行はこぞって国債を買うことに
第5章 金利を動かすものは何?
5-1 短期金利と長期金利の違いを知ろう
- 短期金利の代表選手、長期金利の代表選手
- 短期金融市場はどういう市場?
- 日銀にお金を預ける制度
- 短期金融市場には二つの市場がある
5-2 金利の舵取りをするのは日銀
- 日銀は短期金融市場の重要なプレイヤー
- 日銀が動かすのは無担保コール翌日物金利
- 政策金利を動かして長期金利にアプローチ
- 政策金利がゼロ近辺になったらどうする?
5-3 経済や物価の動きと金利の関係
- 好景気のときの金利と債券のメカニズム
- 景気が悪いときの金利と債券のメカニズム
- 景気・物価・金利の関係には例外もある
5-4 株式市場・外為市場と債券の関係は意外に複雑
- 債券価格と株価はいつも正反対?
- 「これ!」という答えのない債券と為替
第6章 債券を動かすのは誰?
6-1 誰が債券を持っている?
- 日本の債券は国内のお金で賄われている
- 保有状況には投資家ごとのカラーがある
6-2 誰が債券を売り買いしている?
- 売買の中心にいるのは国内投資家
- 手口情報は極秘情報
- 業者も大切なプレイヤー
6-3 「オオカミ少年」を侮るなかれ
- デリバティブに積極的な海外勢
- 債券先物は債券市場の大切な道しるべ
- 海外投資家の日本国債売りは、これまでは失敗している
第7章 債券投資の基本を学ぼう
7-1 債券投資で失敗しないためには
- まずは債券投資の性質を知ること
7-2 債券投資のリスクを知ろう
- 信用リスクは条件に反映される
- 売却時に重荷になることがある流動性リスク
- 債券には時価=価格変動リスクがある
- 債券価格を調べるには?
- 一見有利な仕組み債のカラクリ
7-3 買ってもいい? 個人向けの債券
- 個人向け債券で注意したいこと
- 今は元気がない個人向け国債
- 地域貢献型のミニ公募債
- 人気になった個人向け社債
7-4 日本国債は本当に大丈夫?
- やはり深刻な財政事情
- 自前のお金で国債を賄えなくなると
- 何よりも重要な「信認維持」
- 国債は日本の金融資産の中心だからこそ
プロフィール
久保田博幸
1958年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。
証券会社の債券部で約14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事する傍ら、1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。
現在、金融アナリストとしてQUICKなどにコラムやレポートを配信している。また、「牛さん熊さんの本日の債券」と「牛熊ウイークリー」という有料メルマガを配信中。日本証券アナリスト協会検定会員。