もしも遠隔操作で家族が犯罪者に仕立てられたら
~ネットが生み出すあたらしい冤罪の物語

[表紙]もしも遠隔操作で家族が犯罪者に仕立てられたら ~ネットが生み出すあたらしい冤罪の物語

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四六判/288ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 978-4-7741-6004-7

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書籍の概要

この本の概要

パソコンが外部から操られ,痕跡は残らない。
何が証拠なのかは教えてもらえない。
罪を認めないと,勾留延長,家族対策で自白を促す。
裁判になれば,99パーセント以上が有罪に。
家族の情報はネットでさらされ,瞬く間に拡散していく。
罪を認めず争えば,家族も本人もつらいだけ ――

パソコン遠隔操作事件を題材にした,あなたにも降りかかりうる災厄の物語。

【あらすじ】
父親が,ネットショップのサイトをハッキングして逮捕された ――
システム会社に勤務する石野拓巳が目の当りにした衝撃のニュース。警察に聞いても根拠は教えてもらえず,ソーシャルネットのアカウントが特定され「犯罪者の息子」として囃し立てられ,会社を休職せざるをえなくなった石野は,弁護士やサイバーセキュリティの専門家たちの力を借りながら,無実の人間が犯罪者に仕立てられる仕組みを解明しようとする。

潔白を主張する父親と家族を追い詰める,警察の驚くべきやり方とは?
インターネットの驚くべき実態とは?
真犯人の狙いどこにあるのか?

石野は父親の無実を証明することができるのか?

こんな方におすすめ

  • ネットや社会の知られざる危険性に興味がある方
  • パソコン遠隔操作ウィルス事件,Librahack事件に興味がある方

著者の一言

ネットの普及とともに急速に変化する世界。私たちは自覚なしに時代の曲がり角に向かっています。曲がった先になにがあるのかは,だれにもわかりません。

ひとつだけわかっているのは,そこにあるのは平和や繁栄ではないということです。混沌と破壊が次の時代を支配するテーマとなります。司法は混沌と破壊を食い止めようとしますが,もはやそれは不可能で,傷口を広げるだけです。

本書はフィクションですが,可能な限り現実に起こりうるものとして書いたつもりです。ここに書いてある技術,社会状況,制度は,私たちのリアルとほぼ同じです。だれでも主人公や登場人物と同じ境遇に陥る可能性があります。その現実を感じていただければ幸いです。

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あなたのパソコンは,じつはだれかに乗っ取られて,知らない間に犯罪に加担しているかもしれない
2012年から話題になっている,パソコン遠隔操作事件(遠隔操作ウィルス事件)をご存じでしょうか。

目次

プロローグ 全国中に「犯罪者の息子」として知られた六月二十五日

第1章 だれも教えてくれなかった冤罪の仕組み

  • 逮捕の根拠は教えてもらえない
  • 日本で裁判になると百パーセント近くが有罪
  • 警察は何を根拠に「犯人」と断定したのか
  • ツイッターは罵詈雑言の増幅装置,まとめサイトは陰口の痰壺
  • アンチウイルスソフトでは防げないマルウェア
  • 日本の取り調べは中世なみ

第2章 「人様に迷惑をかけてはいけない」か,「迷惑をかけ合うのが人間」か

  • 休職しなければかえってマイナス
  • 「自白しないとずっと拘留される」という可能性
  • 表沙汰にならない冤罪事件

第3章 遠隔操作マルウェアが見つかっても,無実の決め手にはならない

  • 犯行から時間が経てば経つほど不利に
  • 証拠品をチェックするパソコンが操られていたら
  • 政府系のサイバーセキュリティ組織の機能がよくわからない理由

第4章 情報は知らないうちに“取引”されている

  • マルウェアで儲けるカラクリ
  • アメリカ政府機関は令状なしで個人情報を閲覧できる
  • 自分たちで都合のいいニュースを作り出すサイバーセキュリティ関係者
  • 民主主義と全体主義は紙一重
  • 岡崎市中央図書館(Librahack)事件の先例

第5章 なぜ,犯人を捕まえられないのか

  • 思想家や活動家をうさんくさいと思う“洗脳”
  • 警察はなぜ起訴しないのか
  • サイバー犯罪においては常に犯罪者の方が有利
  • 日本における捜査の限界
  • 「絶縁状」を持ってくる警察
  • だれがリスクをとるか

第6章 デマに踊らされる人々

  • 逮捕される時にマスコミが押し寄せる裏側
  • 警察の監視から少しでも逃れるために
  • 隣人からの苦情
  • 証拠のないことをマスコミにリークする警察
  • 苦情も捏造される
  • プロバイダから得られる手がかり
  • マルウェア,起動

第7章 逆襲の方法

  • 犯人をプロファイリングする
  • 拘禁症状
  • 協同型マルウェアの脅威

第8章 「正義」はどのようにあるべきか

  • 日本の個人情報の多くは,アメリカのサーバにある
  • 司法はすでに崩壊している
  • なぜ,司法崩壊を止めなければならないのか

第9章 ゲームオーバー

エピローグ それぞれの正義

あとがき

  • 謝辞

おまけ

  • 個人情報漏洩の原因と防ぎ方
  • 逮捕入門
  • 逮捕対策
  • 参考サイト

本書に出てくる警察,検察関係のこと

  • 補足説明
  • 架空の事項

著者プロフィール

一田和樹(いちだかずき)

東京生まれ。バンクーバー在住。
コンサルタント会社社長,プロバイダ常務取締役などを歴任後,日本初のサイバーセキュリティ情報サービスを開始。
2010年 島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。翌年同作でデビュー。
サイバーセキュリティミステリを中心に執筆,その他,ファンタジーやマンガ原作などもこなす。筆が速いことと,多彩な芸域が特徴。ネット小説『告白死』はカルト的人気を誇る。
好きなものは,スイーツと,昏い森で迷った天使の後ろ姿。
将来の夢は,捨てた女に殺されること。

【ホームページ】https://www.ichida-kazuki.com/
【Twitter】https://twitter.com/K_Ichida

既刊

  • 『サイバーセキュリティ読本』原書房刊
  • サイバーセキュリティコンサルタント 君島悟シリーズ 原書房刊
    • 『檻の中の少女』
    • 『サイバーテロ 漂流少女』
    • 『サイバークライム 悪意のファネル』
  • 『キリストゲーム CIT内閣官房サイバーインテリジェンスチーム』講談社刊
  • 『式霊の杜』講談社刊(いちだ かずき名義)
  • 『式霊の杜 愚者の約束』講談社刊(いちだ かずき名義)
  • 連載

    • 『"電網恢々疎にして漏らさず網界辞典"準備室!』(gihyo.jp)
    • 『アンダーグラウンドセキュリティ』アスキークラウド誌
    • 『ネバーエンディング絶望ランドの夏』ハッカージャパン誌(マンガ原作を担当)
    • 『オーブンレンジは振り向かない』(http://www.byakuya-shobo.co.jp/hj/ハッカージャパン誌(連載終了,マンガ原作を担当)