プロジェクトの失敗はだれのせい?
~紛争解決特別法務室“トッポ―”中林麻衣の事件簿
- 細川義洋 著
- 定価
- 1,848円(本体1,680円+税10%)
- 発売日
- 2016.2.26 2016.2.23
- 判型
- 四六
- 頁数
- 400ページ
- ISBN
- 978-4-7741-7951-3 978-4-7741-8004-5
サポート情報
概要
納期遅延、コストオーバー、機能や品質の不全で訴訟にまで発展 ――
そんな紛争の処理を担う特別法務部、通称“トッポ―”の部員である中林麻衣が数多くの問題にあたるなかで目の当たりにするプロジェクト失敗の本質、そして成功の極意とは?
東京地方裁判所で民事調停委員・IT専門委員を務め、数多くの紛争を見てきた著者だからこそ書けた、かつてないプロジェクト小説!
こんな方にオススメ
- システムを発注する立場の方
- システム開発会社(ベンダー、SIer)にお勤めの方
目次
第一話 ユーザーのワガママはベンダーの責任?
- 「どうしてもやれ」と無理強いされても、失敗したら損害賠償
- 起きた問題を管理するだけでは足りない?
- ベンダーのプロジェクト管理義務違反とは
- 無理強いされても拒絶、突き返されても見積書
- 問題は自分から探すもの
第二話 ユーザーが協力しないのもベンダーのせい?
- ユーザーの協力義務とは
- 要件を決められないのはだれのせい?
- システム化を諦めさせるのもリードのうち
- 議事録の改ざんはだれの罪か
- 問題解決の“奥の手”とは
第三話 苦しいときには縦社会
- IT企業は皆、ブラック企業?
- 考えるな、話すな、動け!
- 厳しさが生産性を上げるとき
- 見せかけの甘さこそ、最大の罪
第四話 業界の“常識”は見えない要件
- ヒアリングだけではすべて拾いきれない要件
- 要件定義漏れはユーザーの協力義務違反か?
- ユーザーの常識を学べ
- 「ユーザの立場に立つ」とはどういうことか
第五話 軽微な不具合に地雷は潜む
- ユーザーがいったん許しても……
- ベンダーにとっては軽微な不具合も、ユーザーには大問題
- 大切なのは不具合の中身ではなく、業務への影響
- とにかく早く動くことがベンダーの責任
第六話 悪い話こそエスカレーション
- 上司の知らない顧客との馴れ合いは危険の巣
- 隠しごとをしていては夜もゆっくり寝られない
- 隠しごとが隠しごとを生む
- ユーザーと一人で喧嘩できますか?
- 結局、だれか幸せになったのか
- 報告は権利の行使
第七話 プロジェクトのやめ方は泥棒に学べ
- 受注の時から中止は想定しておく
- ドライにプロジェクトを止める
- 責任論も感情論もいらない
第八話 隠しごとが孤独と不幸を生む
- 一人の胸にしまいたいことは必ず起きる
- 抱え込むプロマネに人はついてこない
- 失敗こそ原点
第九話 真のパートナーたれ
- ユーザーたちは皆、不満を抱えている
- 続けていればわかるプロマネの価値
- 信頼されるパートナーになるために
エピローグ
解説
- 第一話解説 ベンダーのプロジェクト管理義務
- 第二話解説 要件の追加・変更時に行うべきこと
- 第三話解説 プロジェクトのリスク管理
- 第四話解説 システムの要望・要件をもれなく拾い上げる
- 第五話解説 ソフトウェアの欠陥によって生じた損害の責任
- 第六話解説 エスカレーションの活発な組織にするために
- 第七話解説 プロジェクトの中断・中止基準
- 第八話解説 メンバーのモチベーションを上げるための「報・連・相」
- 第九話解説 ユーザーを怒鳴ってでも協力させる勇気
プロフィール
細川義洋
東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員。ITプロセスコンサルタント。
1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア(現NECソリューションイノベータ)にて金融業向け情報システムおよびネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より2012年まで日本アイ・ビー・エムにてシステム開発・運用の品質向上を中心にITベンダーおよびITユーザー企業に対するプロセス改善コンサルティング業務を行う。現在は、東京地方裁判所でIT開発に係わる法的紛争の解決を支援する傍ら、それらに関する著述も行っている。
おもな著書に『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』『IT専門調停委員」が教えるモメないプロジェクト管理77の鉄則』(日本実業出版社)。