新型コロナウイルス感染症第一波のパンデミック・シミュレーション
~数理モデルからの振り返り

[表紙]新型コロナウイルス感染症第一波のパンデミック・シミュレーション ~数理モデルからの振り返り

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四六判/144ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 978-4-297-11849-5

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書籍の概要

この本の概要

2009年,新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)のパンデミックが発生した。
前作『パンデミック・シミュレーション』では,すでに遠い過去となった新型インフルエンザ発生前の議論を記録し,危機管理というものを考えてみた。

あれから約10年。
新型コロナウイルスという新たなパンデミックが発生し,世界中が大混乱に陥っている。 今回は,日本の第一波までの状況をふまえ,数理モデルでパンデミックを振り返ってみた。

私たちは,過去の経験から何かを学んでいたのだろうか?
前回のパンデミックで得た苦い経験を活かすことはできたのだろうか?

危機管理というものを今一度考えてみたい方々に,ぜひお読みいただきたい。

こんな方におすすめ

  • 新型コロナウイルス感染症を数理モデルから振り返るとどうなるのか興味のある方
  • 感染症数理モデルに関心のある方

目次

第1章 流行の振り返り

  • 1 発生初期
  • 2 国内発生事例(1月から7月まで)
  • 3 流行曲線の求め方

第2章 2020年2月11日時点での日本での流行予測

  • 1 モデル
  • 2 武漢での流行予想(2月11日時点)
  • 3 日本での流行予想(2月11日時点)

第3章 もしかして退化?

  • 1 今回のモデル
  • 2 SIRモデル
  • 3 再生産数
  • 4 ibmとSIRモデルの違い
  • 5 R0=0.6?
  • 6 R(t)の計測
  • 7 パラメーターの推定と分布の導出

第4章 対策の効果を振り返る

  • 1 8割の接触削減
  • 2 答え合わせ
  • 3 そもそも緊急事態宣言は必要だった?
  • 4 イベント自粛と休校

第5章 なぜ子どもが罹りにくい?

  • 1 子どもの感染の実態
  • 2 BCG仮説
  • 3 交差免疫仮説
  • 4 3世代SIRモデルによる小児における感染防御の推定

第6章 なぜ3月から4月にかけて最初のピークに達したのか?

  • 1 集団免疫仮説
  • 2 検疫スルー仮説
  • 3 外出自粛仮説

第7章 その他の仮説

  • 1 42万人死亡説
  • 2 その根拠は?
  • 3 K値
  • 4 COCOA

第8章 リアルな現場―消毒液をめぐって

  • 1 手洗い調査
  • 2 なぜ、このような危険なことになってしまったのか
  • 3 すべらないように注意しましょう。使用時には、転倒防止策を!

第9章 心のシミュレーション―感染症の差別と偏見の歴史は繰り返される

  • 1 これからの社会を担う若者へのメッセージ
  • 2 Which subject area does this document remid you of the most?
  • 3 差別を繰り返さないというメッセージ

第10章 それからそれから……

  • 1 流行のその後
  • 2 収束の原因

著者プロフィール

栗田順子(くりたじゅんこ)

臨床看護師を4年間勤務の後,茨城県内の保健所,県庁に保健師として勤務,感染症対策を担当し,予防の視点の重要性を強く認識,茨城県で早くから取り組んでいた。
「学校欠席者情報収集システム(保育園サーベイランス含む)」の情報の活用に関心を持ち,国立感染症研究所で長期研修にて情報の活用について学んだ。
その後もリアルタイムな情報の価値と,その活用の可能性の幅に魅せられ,研究を続けている。
看護学修士(茨城県立医療大学(2019))。
現職:常磐大学看護学部講師。
専門:数理感染症疫学(サーベイランス)。
主な論文: Kurita J et al., Estimated effectiveness of school closure and voluntary event cancellation as COVID-19 countermeasures in Japan, J Infect Chemother,
https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.08.012


大日康史(おおくさやすし)

協力。
国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官。1999年大阪大学社会経済研究所助教。2003年より現職。経済学博士,医学博士。


菅原民枝(すがわらたみえ)

協力。
国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官。2006年筑波大学大学院博士課程人間総合研究科修了。2007年国立感染症研究所感染症情報センター第一室研究員。2012年より現職。博士(ヒューマンケア科学)。