スポーツ選手がリハビリに取り組んだり、芸能ニュースで誰かが大病をすると「復活を待っています!」という言葉をよく耳にします。私はこの言葉を聞くたびに心が痛みます。
私が携わる「介護」のリハビリは生活期と言われ、「復活」とはまた違うゴールの見えない世界です。機能障害が残り、少しでも良くなるようにと漫然と繰り返す機能訓練のリハビリ生活が疑問でした。
たとえ劇的な機能向上が期待できなくても、その方には生きる楽しみ、人生の充実感を味わい、幸せになる権利があるはずです。今は外出ができなくても「機能向上」と「活動と参加」の相乗効果で、笑顔や会話が増え、目標や生きがいを感じることができる、それこそが自立支援に基づいた生活期のリハビリです。改訂に際し、今回は来るべき人生100年時代に向けて、健康であり続けるための「予防リハビリ」を第5章として追記し、随所に見直しも加え、どの世代の方にも末永くご活用いただけるよう修正いたしました。拙著を通してではありますが、皆さまお一人おひとりの幸せを心から願っております。
最後になりましたが、今回の改訂版の加筆修正にあたり、編集者の勝俣真弓氏、熊谷裕美子氏、佐久未佳氏のご協力に心より感謝申し上げます。