本書ではWebやアプリケーションのプロダクトデザインにおいて「デザインシステム」がいかに有用で、どのようなステップを踏んで導入すべきかを扱っています。
本書を手に取ってくださった方々はおそらく、日々の機能改善に追われつつも、デザインシステムの必要性を感じていたり、すでに構築に取り組んでいたりすることでしょう。デジタルプロダクトの開発サイクルがますます加速している現代において、さまざまな制約や要件を考慮しながら、すばやく高品質なデザインを生み出すためには、ルールやガイドラインの整備が欠かせません。デザインシステムは、デザインの一貫性を確保し、効率的なデザインプロセスを促進するための重要な仕組みです。
しかし、多くの組織においては目の前の業務に追われ、ルールやガイドラインの整備は後回しにされがちです。デザイン担当者が不在の期間があったり、担当変更の際にルールの引き継ぎが上手くいかず、現状の体制ではどうにもならない状況があったりして、結果として自分たちのデザインに課題を感じることもあるでしょう。迅速に機能改善のサイクルを回し、ユーザーにより良いサービスを提供したいと思いつつも、その土台づくりや調査の時間が取れないことに歯痒さを感じている方も多いのではないでしょうか。
本書は、そんな状況に直面しているデザイナーの力になることを目指しています。
初学者の方々にも理解しやすい事例を多く盛り込んだ構成で、デザインシステムの基礎から実践的な手法まで幅広く取り扱います。