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データであふれる世界を知る
データが重要だと言われて久しい現代では,技術の進化によりデータの増加量がどんどん加速してきています。システムに記録される売上データなどはもちろん,最近ではスマホの履歴,GPSの位置情報,最近のIoT(Internet of Things)などで私たち個人の行動もほとんど記録されています。膨大になったビッグデータを活用するために,「BIツールを活用しよう」「AIを使って分析しよう」などさまざまなデータ活用の動きが出ています。
しかし,データ活用だとは言いながらも,どうすればデータを使えるようになるのでしょうか? システムやデータベースなどの専門技術,統計学など分析手法の専門知識もあれば良いですが,そもそもまずデータを正しく理解し伝えるための「データリテラシー」を押さえておく必要があるでしょう。
データリテラシーとは
リテラシーは日本語で識字と訳されますが,いわゆる「読み書き能力」を指す言葉です。
現代の日本では,義務教育のおかげでほとんどの国民がリテラシーを身につけています。日常のコミュニケーションやビジネス,研究,行政,司法まであらゆる事柄が文字情報のやりとりによっておこなわれています。
しかし,歴史を振り返ると,かつてはリテラシーは一部の人たちのものでした。中世ヨーロッパでは,当時の言語であるラテン語を読み書きできるのは聖職者など一部の人に限られ,その他多くの民衆はリテラシーがある人に頼って生活していたのです。
最近までのデータにおける状況も,これと似たような状況にありました。データの分析方法がわからない,可視化されたデータの見方がわからない,そもそもデータが収納されているシステムが専門家しかアクセスできないといった状況です。これではデータ活用でビジネスを成功させることはできません。
世界にあふれるデータを有効に活用するには,以下のような,いわば「データリテラシー」を身につける必要があります。
- データから正しい情報を読み解く
- データの情報を正しく伝える
- データを語って人と組織を動かす
- データにまつわる正しい知識を押さえる
データは現実世界のできごとを記録したものなので,データを正しく読むことでそこにある世界や人々を理解できます。そして,データを使って人々を動かすために,正しく語る力が必要になります。
データリテラシーを学び,広げるには
さらに,ビジネスでデータ活用をさらに加速するには,自分だけがデータリテラシーを身に着けているだけでは不十分です。データを効果的に使うことが,ビジネス組織全体に浸透していなければいけません。いわば「データドリブン文化」を組織に広げる必要があります。
本書『データドリブンの極意』は,すべての人が身につけておくべきデータリテラシーと学び,組織にデータドリブン文化を広げてビジネスを加速させるために最適な1冊です。本書は,「DATA Saber」というデータスペシャリスト制度を創始した著者がかつて開講していた「Tableauブートキャンプ」を元に,師(マスター)と弟子(アプレンティス)の対話形式で構成されています。読者自身が「弟子」となって,伝説のマスターからデータリテラシーとデータドリブン文化の広げ方を学べる書籍です。データ活用でビジネスを加速させたい方はもちろん,世界にあふれるデータに振り回されず,自ら正しい情報を理解して行動するために,すべての人におすすめの1冊です。