JUnit実践入門 ── 体系的に学ぶユニットテストの技法
はじめに
本書はJavaプログラマを対象としたJUnitによるユニットテストの実践ガイドです。
ユニットテストの基本概念から,テストコードの記述方法や拡張機能まで,JUnitに関する内容をほぼ網羅しました。そして,テスト駆動開発などユニットテストを基盤とする開発手法やツールも紹介します。さらに,本書で解説するユニットテスト技法を実践し,身に付けるための演習問題を多く収録しました。
このような本を執筆した背景には,テスト駆動開発(TDD)を体験して学ぶワークショップ「TDD Boot Camp」との関わりがあります。TDD Boot Campを地元札幌で開催した経験から,ユニットテストの概念から実践するまでをまとめた書籍の必要性を強く感じました。それは,ユニットテストを最大限に活用する方法がテスト駆動開発であると気付いたからです。
プログラミングは楽しい活動です。「Hello World」でも,業務アプリケーションでも,プログラムが意図したように動くことがプログラマにとっての喜びです。それが仕事となるプログラマは,幸せな職業だと思います。
同時にプログラマは職人でもあります。仕事としてプログラムを作るならば,その品質に責任を持たなければなりません。その品質,特に内部品質を支える技術がユニットテストです。ユニットテストとリファクタリングを実践することで,自信を持ってプログラムをリリースできます。そして,動作するきれいなコードを手に入れることができます。
筆者もテストが嫌いでした。テストは面倒で単調な作業というイメージから,苦手意識を持っていました。しかし,テストを学び,テストを書けるようになるとテストも楽しくなりました。プログラミングと同じです。
ユニットテストは,プログラマが,プログラマ自身のために行う,プログラムを使ったテストです。きれいなコードを書きたい,価値のあるソフトウェアを提供したいと思うならば,ユニットテストを行ってください。
本書が多くのプログラマに読まれ,ユニットテストが楽しく行われることを願います。