ヨーロッパのPythonコミュニティと交流できる3日間「EuroPython 2019」参加レポート

第1回 EuroPython前夜~1日目オープニング,キーノート ―コミュニティとの関わり方いろいろ

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鈴木たかのりです。2019年の個人的な挑戦として「海外のPythonカンファレンスにトークやポスターを応募しまくって,採択されたら行く」ということを行っています。今回レポートするEuroPythonは4ヵ国目です。過去のレポートもgihyo.jpに掲載していますので,ぜひ興味のある国のレポートを読んでみてください。

EuroPythonとは

EuroPythonは,ヨーロッパ地域で開催されるPythonに関するカンファレンスです。毎年ヨーロッパの各地域で開催され,今年はスイスのバーゼルで開催されました。過去にイギリスのエジンバラ,イタリアのリミニ,スペインのビルバオなどで開催されています。ヨーロッパでは各国ごとでもPyConが開催されているので,これら各国のPyConとEuroPythonは,PyCon JPとPyCon APACと似たような関係です。

このEuroPythonですが,2002年に第1回が開催された歴史あるカンファレンスで,USのPyCon(2003年が第1回)よりも歴史が古いです。

EuroPython 2019 Webサイト

EuroPython 2019 Webサイト

以下はEuroPython 2019の開催概要です。

URLhttps://ep2019.europython.eu/
日程トレーニング:2019年7月8日(月)⁠9日(火)
カンファレンス:2019年7月10日(水)~12日(金)
スプリント:2019年7月13日(土)⁠14日(日)
場所スイス,バーゼル
会場カンファレンス:Congress Center Basel
トレーニング,スプリント:FHNW Campus Muttenz
参加費398ユーロ(約48,000円)
主催EuroPython Society

筆者はポスターセッションでの発表のために,今年初めてEuroPythonに参加しました。カンファレンスにのみ参加したので,キーノートやトーク発表などを中心にレポートしていきたいと思います。

1回目はカンファレンス1日目までの様子をお伝えします。

日本からバーゼルへ

日本からバーゼルへは直行便がないため,乗り換える必要があります。筆者は最近就航された羽田→ウィーン便で移動しましたが,ウィーンに現地時間の朝6時に到着します。その後乗り換えて,バーゼル到着が9時前,バスと路面電車を乗り継いでホテルに着いたのが12時くらいでした。

ここで,到着時間が早すぎたためまだホテルには入れません。移動でヘトヘトなのとちょっと体調が悪かったのですが,しょうがないのでホテルに荷物を預けてバーゼル市内を観光しました(誤算でした)⁠ただ,おかげでバーゼル大聖堂を見学できて(中も見学できました)⁠プチ観光気分が味わえました。

バーゼル大聖堂

バーゼル大聖堂

15時前にホテルに戻ってチェックインして,少し作業をしてから仮眠をとると,19時過ぎに目が覚めました。疲れていたのでホテルの近所のスーパーで買い物をして夕食にしようと思ったら,なんとスーパーは18時30分に閉店していました(早い!!)⁠急いで今開いているスーパーマーケットを検索し,徒歩10分くらいの店でなんとかサンドイッチやビールなどを購入し,食事にありつきました。

いきなりヨーロッパの洗礼を浴びた1日目となりました。

オープニング

カンファレンス1日目,会場に到着すると,会場外にEuroPythonの案内が出ていました。テンションがあがります!!

会場の外にEuroPythoの表示が!

会場の外にEuroPythoの表示が!

受付を済ませて3Fのメイン会場に移動します。オープニングでは基本的なイベントの案内などがありました。主催者が会場に「初めて参加する人ー?」と声をかけると,かなりの手が上がりました。そして次に「EuroPythonに来たことがある人は,初めての人をサポートしてあげてね,自分の家のように」と伝えていたことが印象的でした。このコメントからEuroPythonは来場者みんなで作っている温かいコミュニティなんだなと感じられました。

オープニング

オープニング

またオープニングでは,グッズとして参加者全員に配布しているPewPewデバイスの紹介がありました。このデバイスはPythonでプログラムができて,コントローラーや8×8のディスプレイを備えています。また,グッズとしてEuroPython電池も同梱しているので,すぐに試せるよといっていました。ちなみにこれは,Pythonの"バッテリー同梱(batteries included)"という哲学にかけたジョークです。

キーノート:Getting Your Data Joie de Vivre On (or Back) ― Lynn Cherny

「Joie De Vivre」とは「生きている幸せ」という意味のフランス語です。データを使っていろいろとLynn氏自身が楽しんで行っているプロジェクトが紹介されていました。

Lynn Cherny氏によるキーノート

Lynn Cherny氏によるキーノート

1つ目のプロジェクトはBoschBotです。これはオランダのHieronymus Boschという人が描いた「快楽の園」という超巨大な絵画のパーツを投稿するBotプログラムです。プログラムはTwint,Pandas,image segments,leaflet.jsを使用しているそうです。

Twitterの@boschbotでこのBotの投稿が見られます。

このBotプログラムは画像からなんらかの特徴のある場所をとりだし,その画像の座標を投稿しています。最も見られている画像は魚の上に人が乗っていてお尻をこちらに見せている画像だそうです。

このBoschBotは多くの人(35,000人以上!)にフォローされており,投稿された画像にキャプションをつけたりコラージュしたりして,楽しまれているようです。

次のプロジェクトはWord2Vec Toysです。Word2Vecはテキストデータを解析して,単語の意味をベクトル化して似た単語を計算したり,単語に意味を足したり引いたりできるようにするものです。元となるテキストデータにはGutenbergから取得したそうです(日本で青空文庫が使われるのとよく似ていますね)⁠

単語のマップをplotlyで可視化していましたが,いくつかのクラスターがありました。また,似た単語を探すというデモをしていましたが,元の文章の種類によって似た単語が変わってくる例が興味深かったです。

そして,ここで作成したWord2Vecを使って詩をコラージュするサイトを紹介していました。詩の文章を表示し,似た単語が存在する場合は適当に入れ替えていって,詩を異なる物にしていくというものです。その場で即興で新しい詩を作っていましたが,会場から笑いが出ていました。

最後にデータセットの楽しい活用の例として,アメリカでビッグフットが目撃された場所を地図にプロットしたもの,オズの魔法使いのビデオを単語順にしたものが紹介されていました。

面白いデータセットを見つけて,自分なりのアウトプットをしてみたいなと思う発表でした。

著者プロフィール

鈴木たかのり(すずきたかのり)

一般社団法人PyCon JP,副代表理事,株式会社ビープラウド所属。

部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い,その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCon mini JPからスタッフとして活動し,2014年-2016年のPyCon JP座長。他の主な活動は,Pythonボルダリング部(#kabepy)部長,Python mini Hack-a-thon(#pyhack)主催など。

共著書に『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(2018 翔泳社刊)』『Pythonプロフェッショナルプログラミング 第3版(2018 秀和システム刊)』『Pythonエンジニア ファーストブック(2017 技術評論社刊)』『いちばんやさしいPythonの教本(2017 インプレス刊)』などがある。

最近の楽しみはPython Boot Campの講師で訪れた土地で,現地のクラフトビールを飲むこと。2019年は世界各国のPyConでの発表に挑戦している。趣味は吹奏楽とボルダリングとレゴとペンシルパズル。

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