前回の末尾で筆者は次のように書きました。
アインシュタインは物体が光を吸収したり,
あるいは光を放ったりすることについて考えたのだろうと思います。では彼がいつそうことを考え始めたのでしょうか? それは1900年に発表されたマックス・ プランクの論文に記されている輻射 (Stahlung) に関する重要な実験が起源だったと思われます。そしてアインシュタインは1905年3月にノーベル賞の対象となった論文を発表しています。 アインシュタインは自分では実験をしなかったのですが,
他の物理学者の実験結果から本質を汲み取る能力においては抜群でした。それを次回のテーマしようと思います。
ここに一言追加しましょう。ポリテクニーク
さて,
光の発生と吸収
光は観測者の速度に無関係に一定の秒速30万キロメートルで伝播するのですが,
当時,
アインシュタインが特に関心をもったのが,
そこで,
コラム1:黒体輻射, Max Planckのこと
アインシュタインが注目した論文といえば,
量子論は,
20世紀の初頭にマックス・ プランクが作用量子の存在を発見したのが始まりです。プランクは, 光のとりうるエネルギーは連続ではなく, 飛び飛びの値しかとれないこと, つまりプランクの定数h と光の振動数v の積hν の整数倍の値しか許されないことを発見しました。この発見に対してアインシュタインは, このことは, 光に粒子の性質があることを示すものだということに気づいたのです。
外部からこの穴を通して入った電磁波(光も含む)は,
黒体からの熱などの放射を黒体輻射という。この様子は,
プランクの与えたスペクトル分布式(波長と強さの関係式)とは次式です。
ただし,
- e =自然対数の底
(てい) 2. 71828・ ・ ・ ・ - h =プランク定数 6.
626×10-34Js =電磁波の波長
- k =ボルツマン定数 1.
38×10-25J/ K - T =絶対温度
- c =光の速度 3×105m
- ※1)
- 二間瀬敏史 著
『やさしくわかる相対性理論』 ナツメ社
光量子仮説と光電効果
ここでもう一つ重要なことが,
金属の表面に光を当てると荷電粒子が 飛び出す光電効果は,
レーナルト
コラム1に述べた光量子仮説に基づいて,
振動数がν の光は,
hν のエネルギーの かたまりとなって金属内の電子に吸収され, 電子がもらったエネルギーhν が金属の内側から外側に電子を運ぶのに必要なエネルギーW より大きい場合には, 電子は外側に放出されます。したがって, 出てくる電子 (光電子といいます) のエネルギーの最大値は,
- E=hν-W
となるはずである。
「時間」
ここで重要なもう一つの事柄は,
これは今日の電子工学の基礎の一つです。