前回は1923年に新しい時代が動き始めたこと,
今回は趣を変えて,
一つの場面は
前半は,
1.アインシュタインとハーゼンエール(ザルツブルグの学会で)
『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論』
- 「第2回 アインシュタインに影響を与えたオーストリアの物理学者」
- 「第10回 アインシュタインの論文の原文に挑戦!
物体の慣性はそのエネルギー量に関係するか? Ist die Trägheit eines Körpers von seinem Energieinhalt abhängig? 」
- 「第12回 光量子仮説と相対性理論―アインシュタインはどのように考えただろうか」
今回新たに,
司会をしたのはマックス・
これを紹介するまえに,
E=mc2 論文の見城の訳の意義について一言
アインシュタインの業績について興味を持つ読者にとって
第12回にとりあげた (光電効果に関する)
まずドイツ語の原文からではなく,
アインシュタインは,
さて誤訳というのは,
原文:
Hierbei ist es offenbar unwesentich, daβ die dem Körper entzogene Energie gerade in Energie der Strahlung übergeht, so daβ wir zu der allgemeineren Folgerung gefürht werden.
(これの見城訳)
(推論部分は訳のみ)
物体の質量はそのエネルギー量(中身) グラムだけ変化の一つの尺度である。エネルギーがLエルグだけ変化 (増減) すると, その質量はL/ 9×1020 (増減) することを意味する。
これのロンドン英訳は以下のようになっています。
The fact that the energy withdrawn from the body becomes the energy of radiation evidently makes no difference, so that we are led to the more general conclusion that
少し解説します。the fact
この英語を訳すと次のようになります。
物体から引き出されるエネルギーが輻射のエネルギーになるという事実は明らかに本質的なことではないので,
(推論部分の英訳には問題がないのでその日本語訳は上とほぼ同じ内容)
さてここで注意したいのは,
しかしアインシュタイン選集では,
となっています。
おそらく,
ちなみに,
つまり,
アインシュタインとハーゼンエールの会話(輻射の変動)
さて,
講演後に印刷された論文でハーゼンエールは
- アインシュタイン:
「確かにこの場合にはまさに不規則な変動 (揺れ) ですからマックスウェルの分布則が成り立ちます。つまり減衰は不規則な衝突によって補償 (うち消) されます。」 - ハーゼンエール:
「貴殿の説をよく理解できているかどうかわかりませんが, もし閉じた容器の中のことを考えて, 物体はその中でのみ動きまわるとします。すると輻射による (運動エネルギーの) 減衰はないとお考えでしょうか? - アインシュタイン:
「Jawohl (ヤボール, おっしゃるとおりです。)」 - ハーゼンエール:
「私の考えでは, 最初は動きの減衰は顕著ですが, 次第に長い時間をかけて減衰します。」 - プランク:
「お二人がよって立つ前提が違っているのではないでしょうか。ハーゼンエール先生は完全に一様な輻射の強さを考察しています。一方, アインシュタイン先生は輻射の変動を考察して, さらにその結果として起きる作用の変動を考えると全体としての減衰にはならないとしています。」
これは,
このあたりの議論を現代の知識をもって読むのか,
E=amc2 (ただしaは1あるいはそれに近い係数) に関して,
閉じた容器が輻射で満たされていて,
- ⊿ m=
(8/ 3) E/ c2
である。
ただし,
- ⊿ m=
(4/ 3) E/ c2
です。
ここで重要なことが,
この論文が書かれた1904年には,
ザルツブルグでの3人の討論
司会のプランクがかなりの見識をもってまとめたのか,
もう一つ補足すると,
Wikipediaで
ここで繰り返して重要なことは,
ところが,
その結果,