Ubuntu Weekly Topics

2012年12月21日号今年1年を振り返る

早くも年内最後の更新になります。そこで、今週は特別に今年1年間の総集編を含めてお届けします。

プチ通常版

まずは先週から今週にかけてのまとめである、通常版のTopicsです。

Ubuntuに関する質問トップ10

年の瀬ということで、世界中でされた質問とその回答のトップ10が紹介されています。質問は次のとおりです。

  1. Ubuntuのバックには企業はいるの?
  2. どうしてUbuntuはウィルスに感染しないの?
  3. Ubuntuが無料というのなら、Ubuntu Advantageとは何なの?
  4. 今までで一番大きなUbuntuの移行事例は?
  5. どのようにしてUbuntuでコンプライアンスを守るの?[1]
  6. OpenStackでのCanonicalの役割は?
  7. どうしてUbuntuはクラウド向けデスクトップの中で一番ポピュラーなの?
  8. Ubuntuのシステム管理者になるための訓練はどうすればいいの?
  9. UbuntuはMicrosoftのインフラと統合できるの?
  10. Ubuntuってどういう意味?
  11. Ubuntuってどうやって発音するの?

10個といいつつ11個用意されているのがおちゃめです。ちなみに発音はカタカナで表現すると「ウーブーントゥー」という感じで、⁠最初に'y'は入らないよ」⁠すなわち「ユーブーントゥー」じゃないよ)とわざわざ注記しているのが興味深いです。

UWN#296

Ubuntu Weekly Newsletter #296がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1663-1:Novaのセキュリティアップデート(12.10用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1664-1:Linux kernel(EC2)のセキュリティアップデート(10.04用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1665-1:unity-firefox-extensionのセキュリティアップデート(12.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、Firefoxを再起動してください。
usn-1589-2:glibcの再アップデート(8.04用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1666-1:Aptdaemonのセキュリティアップデート(12.04/11.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1667-1:bogofilterのセキュリティアップデート(10.04用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1668-1:Apportのセキュリティアップデート(12.04/11.10/10.04用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1669-1:Linux Kernelのセキュリティアップデート(12.04用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1670-1:Linux kernel(OMAP4)のセキュリティアップデート(12.04用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1071-1:Linux Kernelのセキュリティアップデート(12.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1673-1:Linux kernel(OMAP4)のセキュリティアップデート(12.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1674-1:Libavのセキュリティアップデート(11.10用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1675-1:FFmpegのセキュリティアップデート(10.04用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1676-1:AppArmorのセキュリティアップデート(12.04/11.10用)
対処方法: 通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1077-1:Linux Kernelのセキュリティアップデート(11.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1078-1:Linux Kernel(Oneiric backport) のセキュリティアップデート(10.04用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1679-1:Linux kernel(OMAP4)のセキュリティアップデート(11.10用)
対処方法: アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

ここでは言及していませんが、Flashプラグインのセキュリティアップデートも忘れずに行なってください。

総集編 ~今年のTopicsを振り返る

おまたせしました。ここからが今年1年のまとめとなる総集編です。

本連載は速報性が高く、今となっては普通になっていることや変わっていることもままあるのですが、ずっと頭に入れておきたい変更点や重要な教唆もあります。それを1年分から厳選して振り返ってみます。

3月2日号

3月2日号では、DNSリゾルバに関する変更点について言及しています。とくにVPSでUbuntu 12.04にアップデートした際に問題になるようなことを見かけましたので、今一度ご確認ください[2]⁠。

ついでに「インストーラーにTwitter hash stream」は、セキュリティ上の都合で12.04.1から無効にされました。

3月9日号

3月9日号「その他のニュース」にある注6は、今一度読んでおきたいところです。サーバー用途では特に「一度動いたものは可能な限りそのままずっと使い続けたい」ものですが、Oracleの方針によってMySQLではそれが難しくなったということです。言及されているとおりVirtualBoxでも同じなのですが、個別に変更点のコミットを教えてくれるという粋なはからいで、MySQLと比較するとメンテナンスしやすいです[3]⁠。

4月27日号

4月27日号で取り上げている「アップグレード前のチェックリスト」は、12.04ばかりでなくそれ以降のバージョンでも有効で、毎回アップデートする前に確認したいものです。

UbuntuなどLinuxディストリビューションの場合は、原則として通常いわゆるHOMEフォルダーにユーザーごとのフォルダーが置いてあるため、Deja Dupなどでまるごとバックアップを取るといいでしょう。VirtualBoxやVMware Workstationといった仮想環境を使用する場合は、スナップショットを取っておくといいでしょう[4]⁠。なにかうまくいかないことがあっても即座に元に戻せます。最近はWindows 8との関係でデュアルブートが難しくなっていることもあり、潤沢なハードウェア資源のあるPCであれば仮想化してしまうのがオススメです。

なお、Deja DupのRecipeはやや古くなっています[5]⁠。いまではインストール時のオプションでHOMEフォルダーなどいくつかのフォルダーを残したままインストールする方法があるため、今後のRecipeで紹介するのもいいかもしれません。

5月18日号

5月18日号で取り上げている「PPA等の非公式リポジトリを導入している場合の注意」もよく理解しておきたいです。

PPAは確かに非常に便利ですが、パッケージのルールでバージョンの上下が厳密に決められています。紹介されている例は数字だけですが、記号についてもきちんと決められており、パッケージングを行う場合はかなりの前提知識を必要とします[6]⁠。しかし、PPAにパッケージをアップロードしている人は皆が皆それらを理解をしているわけではないのが現実ですし、PPAにもアップロードしていいものと悪いものがあり、それを無視している人もいます。そのため、PPAの追加はより慎重に行うべきで、その人がきちんと理解しているかどうかをできる範囲で調べたいものです。

6月29日号

セキュアブート対応は12.10に盛り込まれた重要な機能一つです。前提となる知識を軽く理解するには、6月29日号「UEFI Secure Bootに関する取り組み」を読んでおきましょう。ただ、その本文中ではGRUB2以外のものになる予定と言及されていますが、実際にはGRUB2のままになりました。セキュアブートについては筆者も興味があって1枚マザーボードを購入して検証したので、近い将来Recipeにまとめられたらと考えています。

10月12日号

10月12日号で言及しているダウンロード時に寄付を求めることや、Unity DashにAmazon(とUbuntu One Music Store)へのリンクを実装している[7]ために何かと話題になっているUnity Shopping Lens[8]の存在から、Canonicalの懐事情が厳しいのかなと推測させることがいろいろ起きていますが、それはそれとして維持するのにお金がかかるのは当然のことです。

Unity Shopping Lensがバッシングされるのはやむを得ない部分もありますが、使用しない場合はそれ以外の方法で金銭的に貢献することを考慮したいものですし、最低限タダ働きを強要するような行動を取るのは慎みたいものです[9]⁠。

10月26日号

10月26日号「12.10の注意点」はあらためて読んでおきたいですが、より詳しく知りたい場合はUbuntu Magazine Japan vol.10がオススメです。

12月7日号

12月7日号「その他のニュース」にあるUbuntuで動作するSplashtopですが、実際に動かしてみたところを来月発売のSoftware Design 2013年2月号のUbuntu Monthly Reportで紹介しています[10]⁠。Splashtop以外にもリモートデスクトップという大きなくくりで5つほど紹介しているので、来年の話ですが楽しみにしていただければ幸いです。

結びに

本年最初で最後の執筆担当である筆者が言うのも何ですが、1年間ご愛読いただきまして誠にありがとうございました。今年はたくさんのVPSサービスが開始され、そこで動作するOSとしてUbuntuが使われているのが印象深かったです。

1年間に2回もリリースされると移り変わりが激しすぎて情報の渦に飲み込まれてしまいそうですが、コンスタントに情報を整理してお届けしている本連載ですっきりわかりやすく伝えられており、筆者も一読者として大いに役になっていますし、おそらく皆さんも同じではないでしょうか。本連載の執筆は幅広いジャンルに精通している必要があり、主担当者の吉田さん、お助け役の柴田さんの膨大な知識量にはいつも舌を巻いております。そのような連載を読むことができる巡り合わせと、吉田さん、柴田さん、そして編集担当の高橋さんに感謝を捧げて締めの言葉とさせていただきます。

来年は1月11日より更新開始の予定です。

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