SEのための「実録!」窮地を脱する現場力
2009年12月12日紙版発売
谷口功 著
A5判/328ページ
定価2,398円(本体2,180円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4082-7
ただいま弊社在庫はございません。
書籍の概要
この本の概要
システム開発のプロジェクトというものは失敗率が高く,どうしたら最小のダメージで切り抜けられるかがテーマとさえ言えます。切羽詰まった状況の中,SEたちは,その最前線で奮闘しています。どうしたら窮地から脱することができるのか,それをテーマとした本もありますが,実用には適さない精神論であることも少なくありません。その点,本書は,徹底的な取材によって得られた実例から本質を鋭く取り出しているため,SEがとるべき行動の解説にも大きな説得力があります。現場で役立つ「現場の真の知恵」と呼ぶに相応しいでしょう。
こんな方におすすめ
- 現役のシステムエンジニア
- 開発現場で様々な問題に悩まされているSE
- 仕事上の問題解決策を模索しているSE
目次
- 序章
第1章 決断力
事例1 組織としての決断により,問題を解決して危機を回避する
- 難題は,ある日突然に……/プロジェクトの概要とは/プロジェクトはなぜ頓挫したのか/かくて,上層部は決断した/現状を目の当たりにしたSEの決断/勝算はどこまであるのか/決断には「詰め」が肝心だが……/「組織として」行動する決断の成立/意表を突く!/周到に用意された「追風」/「九回裏の逆転」の後で/事例を振り返って
事例2 「断念」という決断を行ない,予想された問題や混乱を未然に防ぐ
- 悩める中堅SEへの新たな仕事/予算も潤沢で,技術面を解決すればよいプロジェクトだったが……/順調に進んだ商用化への技術的な検証作業/商用化への運用面での不安/技術的には商用化は可能となったが……/暗雲が立ち込め始めたなかで/本部長からの「ダメ出し」/リーダーの説得へ向けてウラを取る/リーダー,ついに決断する!/個人レベルを超えた「断念」/揺れる思いは残るけど…… ――無事に事を終えて/事例を振り返って
第2章 根回し力
事例1 特定のキーパーソンへの根回しが奏功して問題解決に至る
- 再び歩み出した茨の道/運命をともにする開発パートナーの選択/システムに適当なソフトウェアがない!?/提案書の提出へのプレッシャー,そして決断/案件の獲得を招き寄せるプロジェクトマネージャーの応対/提案を採用させた陰の事情/出足快調!/金銭的な問題と技術的な問題,さてどうなる……/追加仕様の要求と納期を天秤にかけながら/アリ地獄から這い上がれない運用実験/非常時の最終手段 ――ソースコードの開示/根回しすべきキーマンは誰なのか?/直球勝負の根回し ――「手土産」を忘れずに/もう一つの根回し ――即断即決を求めて/「綱渡り」を終えて/事例を振り返って
事例2 組織的に根回しの下準備を整えてから根回しを実行して問題解決に至る
- 理想と現実/現実にそぐわない要求/「この仕事,何かとハードルが多くないか……?」/泣きついてきた担当窓口/問題の「本丸」に乗り込んでみたものの……/口約束の怖さ/混迷を打開する「あるアイデア」/組織的に遂行した根回しの「お膳立て」の効果/問題解決へ一歩は進んだものの……/案件の終結とグレーな気分/事例を振り返って
第3章 統率力
事例1 メンバーのモチベーションの維持・管理により難儀な仕事を完了する
- チームリーダーの信念/「そういう仕事なら,このメンバーでいこう!」/仕事は順調に滑り出したが……/時間を要する問題の発覚/モチベーション低下の兆し/巨大プロジェクトへの有無を言わせぬ支援要請/メンバー間に漂う停滞した雰囲気/気持ちを「再起動」させる/メンバー個々のモチベーションを管理する/終了の握手/事例を振り返って
事例2 機能不全に陥ったチームを再構築し,崩壊寸前のプロジェクトを完了させる
- 仕事は追っかけるようにやってくる!/プロジェクトの仕事内容/プロジェクトの周囲に散見された種々の原因/プロジェクトの内部に横たわる原因 ――組織として体をなしていないチーム/最大の原因 ――プロジェクトの中心となるリーダーの不在―― と対処への基礎固め/作業期間の延長はなんとかなったが……/サブリーダー=現場監督の選定/チームの要員を増やす① ――自社メンバーの気持ちを鼓舞する術/チームの要員を増やす② ――外部ベンダーには両刃の「請負契約」で交渉/交渉の第一歩は「軽い探り」で/旧知の仲でもシビアに交渉 ――舌戦と心理戦が絡み合いながら/本陣に乗り込み,「切り札」を出す!/収束させると決まれば展開は早い/交渉の成り行きを安堵しながら ――必要な人材をすべて確保して/再構築されたチームの始動/残された最後の問題の解決 ――「計算された選択肢」から選択させる/見事に機能し終えたチームを思い返して/事例を振り返って
第4章 交渉力
事例1 顧客を前向きに交渉に向かわせて問題を解決する
- 疲れ切ったSEへの一言/水を得た魚のごとく/未知の領域への発進/重大なミスはいつも「想定外」に始まる/問題の発覚/後悔先に立たず……/人と人とのつながりが問題解決への道を拓く/相手にもメリットのある要請ではあったが……/二重に施していた「安全弁」/「背水の陣」で臨んだ交渉/追風が吹いてきた/画竜点睛!/事例を振り返って ――組織として交渉の力を高める/良好な信頼関係の上に
事例2 相互に利益となる条件を提示して交渉を良好に成立させる
- 気乗り薄な仕事の要請/得々とした先方の提案だったが……/波乱含みの船出/士気の上がる提案が通った!/顧客から届いた一通の不穏な通知/迷走し始めたプロジェクト/すんなり通らない正当な主張/理不尽な結論/検証しようにも……予算をどうする!/もたらされた「情報」/情報を膨らませ,問題解決の糸口を導く/慎重を期して,発注する仕事を選択する/交渉成立! その結果はいかに?/終わりよければ……/事例を振り返って ――組織として情報を収集する力を整え,交渉につなげる
第5章 提案力
事例1 社の本流から外れた新技術を打開策として提案し,難局を乗り切る
- 会社が推進している技術がうまく使えるか……/立ちはだかる技術的な壁/針のむしろ ――社内・社外からの圧力/代替案の提案/周囲の期待感は小さくとも…… ――唯一の希望に向かう熱意/顧客の抱く不安/停滞感を一掃した提案書/運用試験で発生した謎の不具合/嵐が過ぎれば,順風満帆/一つの道の開拓が,もう一つの道も拓く/事例を振り返って ――組織として交渉の力を高める
事例2 問題を打開すると同時に,新たなビジネスにもつながる提案を行なう
- 「表面的には」平穏な案件に見えた……/地雷原への突入前夜に/地雷原の中での地雷処理/干渉したがる顧客担当者/窮地を脱する契機 ――攻めの意識/提案を通す道筋を考える/上司,立ち上がる!/事の成就は自戒の念とともに/事例を振り返って
- おわりに
この本に関連する書籍
-
エンジニア養成講座[実例で覚える]顧客への対応、文章の表現
SEが上流工程で作成する,顧客を読み手とする「提案書」「要件定義書」「契約書」の作成法を,具体例を使って紹介・解説します。それらの作成過程では顧客とのコミュニ...
-
SEのための 「不況に強い」営業力のつけ方
SEはコンピュータ相手の仕事だ,などというのは大きな間違いです。その最も期待される役割がリーダーであったり調整役,交渉役であったりすることからもわかるとおり,...
-
SEのための 将来価値を生む人脈「交遊」学
自分は人付き合いが苦手と思っているSEに対して,本書は<正しい>人付き合いの方法論を解説します。本書を読めば,他人の役に立つことにより自分も恩恵を得られるとい...
-
SEのための 「どこでもやれる力」の付け方
最近の開発は個人ではなくチームで行われますが,本書には,そういった環境で仕事をする際に重要になることがまとめられています。技術力だけではないその種のスキルは...
-
SEのための 図解の技術、文章の技術
顧客に向けて文書の作成をすることがSEには求められています。中心となるのは要求定義書(要求仕様書)ですが,その他にも提案書や画面仕様書,運用テスト仕様書,ユー...