知りたい!サイエンスシリーズ96%の大絶滅
―地球史におきた環境大変動
―地球史におきた環境大変動
2010年3月26日紙版発売
丸岡照幸 著
四六判/216ページ
定価1,738円(本体1,580円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4205-0
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書籍の概要
この本の概要
約2億5,000万年前,ペルム紀-トリアス紀(P-T)境界の終わりに生物の96%が滅んだといわれる史上最大級の大量絶滅が起きた。本書では,このP-T境界,そして恐竜が滅ぶ原因となったK-T境界を取り上げつつ,大絶滅イベントがいかにして引き起こされたのか,その根拠はなにかを,地球化学的手法を用いながら解説する。
目次
第1章 環境変動と大量絶滅
1-1 地球史と環境変動
- 白亜紀-第三紀境界とペルム紀-トリアス紀境界の大変動
- 何千万年も前の変動を探る“化学の目”
1-2 大量絶滅イベントとは何か?
- 地球史に起きたビック・ファイブ
- 96%の大絶滅
1-3 生物進化における大量絶滅の役割
- 哺乳類はなぜ繁栄できたのか?
- コラム 化学の目・同位体とは
第2章 白亜紀-第三紀(K-T)境界の大量絶滅
2-1 隕石衝突と大量絶滅
- K-T境界の引きがね
- 隕石とはなにか?
- 隕石の軌道
- 彗星と隕石
2-2 ハロルド・ユーレイとルイス・アルバレツ
- 二人のノーベル賞受賞者とK-T境界イベント
- 元素はどこに入りたがるのか?
- コラム 微少量を表す単位
- ゴールドシュミットによる「元素の分類」
- 地球の層構造からみたイリジウム
- 宇宙塵とイリジウム
- コラム 微量元素分析法―放射化分析
2-3 イリジウム濃縮をめぐる議論
- イリジウム濃縮をいかに説明するか?
- 海水からのイリジウム回収
- 超新星爆発からの過剰イリジウム
2-4 隕石衝突仮説
- 仮説の基本的なシナリオ
- 元素濃度の規格化
- K-T境界粘土層の親鉄元素の元素濃度パターン
- 本当に隕石衝突なのか?
2-5 隕石衝突説vs火山説
- オフィサーとドレイクの火山説
- 衝撃石英の発見
- 火山と衝撃石英
- デカン・トラップとイリジウム異常濃縮の関係
- コラム 岩石の年代測定法 K-Ar法,Ar-Ar法
2-6 クレーターはどこに?
- 大陸? 海洋? 衝突場所を示す証拠
- 浮かび上がるクレーターの位置
- チュクシュルーブ・クレーターの「再」発見
- チュクシュルーブ・クレーターの年代は?
- コラム 生成年代,変成年代
第3章 隕石衝突と環境変動
3-1 隕石が落下すると何が起きるのか?
- 環境変動に関してわかってきたこと
3-2 どのような生物が絶滅したのか?
- K-T境界の時代区分
- 海生微生物
- 海生無脊椎動物
- 海生脊椎動物
- 陸生無脊椎動物
- 陸生脊椎動物
- 植物
- K-T境界の大量絶滅の選択性
3-3 隕石衝突と「予想」される環境変動
3-4 隕石衝突後の塵の生成
- 岩石破砕片
- 煤
- 硫酸エアロゾル
3-5 同位体比で環境変動を読む
- 炭素同位体比-生物活動を読む
- 酸素同位体比-海水温を読む
- 地表温度の推定-★CO2の放出とそれによる温暖化は起きたのか?
3-6 酸性雨
- 酸性雨とその影響
- 酸性雨の証拠1 Sr同位体比―大陸風化を読む
- 酸性雨の証拠2 硫化物濃縮
- 酸性雨は本当に起きたのか?
- オゾン層の破壊
3-7 環境変動のまとめ
- コラム 同位体比の表示法-δ表示
第4章 ペルム紀-トリアス紀(P-T)境界の大量絶滅
4-1 隕石衝突イベントの周期性と大量絶滅
- P-T境界のなぞ
- 大量絶滅の要因は隕石だけか?
- 3000万年周期説
- 周期性をめぐる,いろいろな議論
4-2 ペルム紀-トリアス紀境界で生き残った生物
- 海洋生物の「大変革」
- 昆虫類や植物も大ダメージ
4-3 P-T境界クレーターをめぐる議論
- 火山説vs隕石説論争再び
- 火山説
- 隕石説
4-4 硫酸酸性雨と生物大量絶滅
- 天体の衝突か火山かを見分ける
- 淡水環境における硫酸イオン濃度とδ34Sの関係
- 酸性雨を示す硫化物濃度の増加
4-5 超新星爆発説
4-6 メタン・ハイドレートの崩壊説
- 炭酸δ13Cと有機物δ13Cの比較
- メタン寄与の地域差
- メタン放出に伴われる環境変動とは?
- メタン・ハイドレード崩壊以外のメタン放出シナリオ
- メタンは不要か?
4-7 海洋無酸素事変ともうひとつの硫酸酸性雨
- 海洋無酸素事変
- 海洋無酸素化と黒海
- 硫化水素の大気へ流出と影響
- 無酸素海洋からのメタン噴出
- 海水に硫化水素の存在を示す証拠
4-8 絶滅へ向けての負の連鎖
- 風が吹くと桶屋が儲かる?
- ウィグナルの絶滅連鎖モデル
- 連鎖モデルの改定
第5章 過去の大量絶滅イベントと現代の「大量絶滅」との比較
5-1 第6の大量絶滅?
- 陸上哺乳類の絶滅
- 人類と絶滅の関係
- どのくらい人類の脅威を受けている?
5-2 絶滅の「ひどさ」をどう測るのか?
- 今と過去との比較は可能?
- 哺乳類の絶滅率
- 現在と過去を比較する上での問題点
5-3 絶滅危惧種の絶滅要因
- 未来の絶滅
5-4 第6の生物大量絶滅と人類
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