生きる技術!叢書シリーズ最終講義
―生き延びるための六講
2011年6月24日紙版発売
内田樹 著
四六判/300ページ
定価1,738円(本体1,580円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4709-3
書籍の概要
この本の概要
人間はどのように欲望を覚えるのか,どうやって絶望するのか,どうやってそこから立ち直り,どうやって愛し合うのか……。2011年1月22日,神戸女学院大学で行なわれ,多くの人々に感銘を与えた「最終講義」を含む,著者初の講演集。超少子化・超高齢化時代を迎えて日本の進むべき道は? 学びのスイッチを入れるカギはどこにある? 窮地に追いつめられた状況から生き延びる知恵とは?……いまを生きるための切実な課題に答えます。
こんな方におすすめ
- これからの生き方の指針を求めている方
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- いまを生きるための切実な課題に答えるテキスト
- フランス現代思想の研究者にして武術家である内田樹先生は,いま最も注目されている書き手です。
目次
I 最終講義
神戸女学院大学 二〇一一年一月二二日
- 神戸女学院大学の教育の成果として/生き馬の目を抜くせわしさから秘密の花園の穏やかさへ/これから行われるであろう「よきこと」を信じて/ヴォーリズの建物は生き物だった/知的イノベーションにおいて死活的に重要なこと/市場原理主義者たちには理解できないこと/自らの手でドアノブを回した者に贈り物は届けられる/「存在しないもの」からのシグナルを聴き取る/「書数」のみで「礼楽御射」が欠けている今の学校教育/文学研究は「存在しないもの」とかかわるもっとも有効な方法/「愛神愛隣」の言葉が教えるもの
II 日本の人文科学に明日はあるか(あるといいけど)
京都大学大学院文学研究科講演 二〇一一年一月一九日
- 私が仏文学会を辞めた理由/アカデミシャンは何を背負ってフロントラインに立つか/日本の人文学者の原型的スタンス/知的な興奮を覚えるのはすべて理系の学者だった/「わけのわからない現象」に夢中になれるか/危機的局面であるほど上機嫌であれ/先端研究には日常生活の基盤を揺り動かす力が/レヴィナスと合気道が繋がった瞬間/アカデミック・ハイの感覚/最後の拠り所となるのは「知性の身体性」/知性の存在理由は知性そのもののうちに/敬意と好奇心を以て知性に遇せよ/知的イノベーションを担う場が抱える矛盾/座持ちのよさも知的能力のひとつである/先駆的直感に導かれて/仏文学者がオピニオンリーダーでありえた理由/「情理を尽くして語る」という学問的マナー/道を拓くのは君たちのためである/あなたの哲学的未来に幸多からん
III 日本はこれからどうなるのか?―〝右肩下がり社会〟の明日
神戸女学院教育文化振興めぐみ会 講演会 二〇一〇年六月九日
- 北方領土についてファナティックになるその理由/アメリカは北方領土問題に首を突っ込めない/北方領土と沖縄基地のトレードオフ/アメリカ,霞ヶ関,マスメディアの三位一体/漠然としたものだった鳩山元首相の「腹案」/「核の抑止力」という心理ゲーム/断片しか報道しない日本のメディア/誰がなってもなんとかなる成熟した政治システム/断片から全体像を描く知的能力の必要性/生き方のシフトは若い女性から/母親と父親の育児戦略は何が違うか/拮抗しているべき両親の育児戦略/時代は「貧乏シフト」しつつある/日本より高かったドイツの自殺率/自殺率は平和な時代に上昇する/「医療立国日本」は有望なプラン/性善説に基づくサービスも大きな付加価値/めざすべきなのは「教育立国」
IV ミッションスクールのミッション
大谷大学開学記念式典記念講演 二〇一〇年一〇月一三日
- 倍音は宗教儀礼の核心部分/太宰治は倍音的な文体の作家である/村上春樹が掘り当てた物語的鉱脈/人間が人間であるために読まねばならぬ物語/選ばれないことのリスクを引き受ける/教育の本質はおせっかいである/利便性や効能では学びは発動しない/教える側と学ぶ側の相互交流/教えたい人間が引き受けるべきリスク/旗印をかかげて頑張り続けるのが学校/教育機関にも生物学的多様性を/ミッションスクールは旗印を鮮明にせよ
V 教育に等価交換はいらない
守口市教職員組合講演会 二〇〇八年一月二六日
- 教育問題の「犯人探し」はもう止めよう/商品としての「教育サービス」/市場原理が導きだした「学位工場」/教育が「ビジネス用語」で語られる日本/教育の効果は数値化できない/教育現場を覆う消費者マインド/お金に換算できない意味や有用性を「学ぶ」/意味や有用性はあとになってから実感するもの/教育計画に一覧性を要求すべきではない/素晴らしい校舎には「学びの比喩」が込められている/学びには「謎」や「暗がり」が必要だ/「矛盾に耐えて生きる」ことで成熟する/親族の基本構造にあるもの/とにかく「異論を立てる」ことが大事
VI 日本人はなぜユダヤ人に関心をもつのか
日本ユダヤ学会講演会 二〇一〇年五月二九日
- 日本ユダヤ学会への恩返しとして/なぜ私はユダヤ研究を志したのか?/「日猶同祖論」はなぜ激烈に批判されるのか?/ユダヤ人のふりをして『日本人とユダヤ人』を書いた日本人/ユダヤ人は日本人に(たぶん)何の関心もない/ユダヤ人が備えている桁外れに高い知性/「親ユダヤ」と「反ユダヤ」は背中合わせ/「日猶同祖論」の起源/四人の「日猶同祖論」者たち/明治期の日本人がユダヤ人に投影した「霊的長子権」/日本の知識人の琴線に触れた「日猶同祖論」/日本の若者の反米感情がピークに達した七五年/実は「反米」だったのか?/果たされなかった攘夷の戦い/アメリカを睥睨する知的ポジションに立ちたい/日本ユダヤ学会の「優しさ」の理由/目標がはるか上にあるがゆえの穏やかさ
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