問題地図シリーズ仕事の問題地図
「で,どこから変える?」進捗しない,ムリ・ムダだらけの働き方

[表紙]仕事の問題地図 ~「で,どこから変える?」進捗しない,ムリ・ムダだらけの働き方

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電子版発売

四六判/224ページ

定価1,628円(本体1,480円+税10%)

ISBN 978-4-7741-8774-7

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書籍の概要

この本の概要

「やることが多くて,そもそも最初から終わる気がしない」
「頼んだ仕事の進捗がまったくわからない」
「なんで自分がこんな仕事をしなくちゃいけないのか,さっぱりわからない」
「『他人の力を借りたら負け』だと思ってる」
「やり方を変えようとしても,他部署が抵抗してくる」
「問題があっても,空気を乱す発言はしない」
「同じ失敗を何度も何度も繰り返す」

そんな仕事のムダ,ムダな仕事はなぜ生まれる?
問題の原因を図解で示しつつ,解決策を教えます。

大好評『職場の問題地図』に続く働き方改革のバイブル!

【巻頭付録】仕事の問題 全体マップ

著者の一言

どうして仕事が進まない,終わらない?

日々の仕事,どうせやるなら予定どおり終えたいし,成功させたい」

自分の仕事を全うしたい――だれもがそう考えるでしょう。
私たち日本人は元来,几帳面で真面目な国民です。よほどの天邪鬼(あまのじゃく)でない限り,あるいは競合他社から送り込まれたスパイでもない限り,期限までに仕事を終えるようがんばります。コツコツ進めようとします。にも関わらず……

「なぜか,仕事が予定どおりに終わらない!」

こんな叫び,行く職場,行く職場で必ず耳にします。
いや,予定どおりに終わらないくらいならまだマシかもしれません。

「手つかずのまま,時が流れてしまった……」

こんな,夏休み最終日の小学生さながらの光景も見かけます。
以下は,私の過去の勤務先やクライアント先でよく聞いていた,ため息センテンスです。

  • ①計画どおり終わったためしがない
  • ②というより,計画を立てる人がいない
  • ③「いつかやらなくちゃ」とは思っていて,期限を過ぎてしまった……
  • ④計画やルールを決めても,定着しない,続かない
  • ⑤「横入り」(突発の依頼)が多くて,どうにもならない
  • ⑥「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
  • ⑦「計画どおりに終わらないのが当たり前」と,皆諦めてしまっている
  • ⑧一部のデキる人頼み
  • ⑨そもそも,最初から終わる気がしない

なかには,

  • ⑩いままで勘と気合で何とかなってきたから,計画なんて立てない

なんて猛者(?)も。
1人でやる作業レベルの仕事から,5人,10人,あるいは20人以上で取り組むプロジェクトレベルのチームワークまで,規模の大小にかかわわず,嘆きの声があちこちで発せられています。

いったいなぜ,私たちの仕事はなかなかうまく進まないのでしょうか? 最後まで走りきれないのでしょうか?

そこには,無視できない2つの大前提があります。

①仕事は生きものである

仕事は常に変化します。その仕事への要求事項,前提条件,環境,取り巻く人々との関係性などは,時間の経過とともに変わります。期間が長ければ長いほど(あるいは,手つかず状態で放置すればするほど),変わるリスクは大きいといえるでしょう。仕事は生きものなのです。

②私たちもまた生きものである

そして,仕事をする私たちもまた生きものです。最近では,AI(人工知能)が進化し,人の仕事を代替するかもしれないなどと騒がれていますが,そこに到達するにはもう何年かかかるでしょう。また,AIを操るのも,結局は私たち人間です。しばらくは,人前提でものごとを考える必要があります。
人がやっている以上,完璧はありません。たとえば,「し忘れ」「やり漏れ」は,なかなかなくならないですね。忘れていなくても,目先の仕事に追われて,重要な仕事なのに,ついつい後回しにしてしまうこともあるでしょう。
それはなぜか?

「だって,人間だもの」

仕事がなかなかうまくいかないのは,仕事そのものが,そして仕事をする私たちも,生きものだからです。
そんなことを言うと,たまに厳しいお叱りを受けます。

「はぁ? 生きものだから? 人間だもの? 何を呑気なことを言っているんだ!」

お気持ちはごもっとも。しかし,前述の現場の嘆きの声をもう一度思い出してみてください。

  • 「いつかやらなくちゃ」とは思っていて,期限を過ぎてしまった……
  • 計画やルールを決めても,定着しない,続かない
  • 「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
  • そもそも最初から終わる気がしない
  • いままで勘と気合で何とかなってきたから,計画なんて立てない

どれもこれも,人間の意識や気持ちの部分が大きく影響しているものばかり。正論や「べき論」をふりかざしても,どうにもなりません。キレイごとだけの対策を並べ立ててもダメなのです。
夏休みの終わり間際まで宿題をやらない子どもたち。ルールで縛っただけでは,計画表を作らせただけでは,うまくいかないですよね。目先に大きな誘惑があれば,子どもは計画そっちのけで遊んでしまいます。

  • 親が「今日は宿題やった?」と毎日しつこく問いかける
  • 「8月20日までに終わっていなければ,21日からの家族旅行は中止」と約束する
  • 仲のいい友達と一緒にやる
  • 勉強が好きになるようなきっかけを作る
  • ご褒美をちらつかせる

親は,あの手この手を使うでしょう。私たちの仕事も同じです。

「生きものだから」「人間だもの」

このリアルと向き合わずして,ものごとは解決しません。なのに,私たちはなぜかそこに蓋をして,キレイごとだけでスマートにやろうとする。そりゃ,うまくいくわけがありません。子どもに宿題をやらせるがごとく,さまざまなアプローチが必要です。

本書では,「仕事が思うように進まない・終わらない」実態を料理していきます。そこには,さまざまな要因が潜んでいます。

  • 「計画を立てられない」「進捗が見えない」など,仕事の進め方(プロセス)の問題
  • 「期限に終えることができない」など,個人のスキルも関係する問題
  • 「一体感がない」「モチベーションが低い」など,意識や気持ちの問題
  • 「だれも意見を言わない」など,職場環境や雰囲気の問題
  • 「やり方を知らない」「有識者がいない」など,知識の問題
  • 「抵抗する人,邪魔する人が多い」など,人間関係の問題
  • 「同じ失敗を繰り返す」「失敗から学ばない」など,組織風土の問題

これらの要因を地図にして,解決策を提案します。まずは巻頭の地図を広げてみて,「私,ここでつまずいている!」「ウチの職場はここが弱い!」など,ワイワイがやがやしながら,原因と対策をつまみ食い,拾い食いしてみてください。

人間らしさを受け入れながら,最後まで走りきる仕事のやり方。この地図片手に,ゆるーり,真剣に考えてみましょう。

こんな方にお薦め

  • やることが多くて,そもそも最初から終わる気がしない
  • 頼んだ仕事の進捗がまったくわからない
  • エラい人だけで何でも決めて,ほかの人は蚊帳の外
  • なんでこんな仕事をしなくちゃいけないのかわからない
  • 期限はただの努力目標だと思ってる
  • 会議が管理職の独演会
  • 「社外の力なんて借りたら負け」だと思ってる
  • やり方を変えようとしても,他部署が抵抗してくる
  • 問題があっても,空気を乱す発言はしない
  • 同じ失敗を何度も何度も繰り返す

といったことに1つでもあてはまる職場にいると思う方

目次

はじめに どうして仕事が進まない,終わらない?

1丁目 計画不在

  • 「計画不在」の3つの原因
  • 構造化してみる
  • 計画表を書いて,まわりに相談する
  • 「未知」か「既知」かを皆で判断する
  • 情報共有の旗振り役を置く
  • コラム 計画不在の元凶ビッグ3の裏にいるヤツら

2丁目 進捗不明

  • 進捗が見えない景色はなぜ生まれるのか
  • なんていうか,相手依存なんです
  • 進捗不明の2つの処方箋

3丁目 一体感がない

  • 悲しき不協和音を奏でる職場,原因は?
  • 3つのことを「ケジメ」てみよう
  • コラム 管理職が早く帰ったほうがいいのはなぜか?

4丁目 モチベーションが低い

  • 低モチベーション・やらされ感をもたらす3つのゾーン
  • 信頼・愛着ゾーン
  • 過剰期待ゾーン
  • あいまいゾーン
  • 知る場を設けよう
  • 情報共有の順序にも気配りを
  • 知るための時間とお金を惜しまない
  • コラム それでも気合と根性で出社する日本人

5丁目 期限に終わらない

  • 期限遵守を阻む4つの要因
  • 柔軟性がない
  • 計画・管理が甘い
  • 知識・スキルがない
  • 過度な自責意識
  • 変更をコントロールする ~変更管理
  • 安心して「忘れられる」環境を作る ~インシデント管理
  • 戦略的雲隠れ
  • バッファを設けて計画を作る
  • コミュニケーションする「場」を作る
  • コラム 緊急度:低,重要度:高の仕事に油断するな

6丁目 意見を言わない

  • 上司・部下間の「片想い」
  • もの言わぬ人びとはこうして生まれる
  • 意見しやすい空気を作る4つのポイント
  • 意見を言う「甲斐」を創出するには

7丁目 有識者不在

  • 自分たちだけでやろうとする
  • どんな知識やスキルが必要なのかわかってない
  • 「キミたちならできる!」 ~トップの社員に対する過信
  • メンバーの自主性に任せず,半強制的に外を知るための仕掛けを作る
  • 外に任せれば「属人化」「自己満足」を排除できるメリットも
  • 「らしさ」は大切,けどね……

8丁目 抵抗勢力の壁

  • 行く手を阻む2つの抵抗
  • まず現場に話をして,その後上から落としてもらう
  • 相手を動かすストーリーに不可欠な8つのポイント
  • 答えが中になければ,外に求めればいい
  • 人事制度も大事

9丁目 対立を避ける

  • 「事なかれ主義」を生み出す5つの原因
  • 対立は成功に必要なプロセスである ~チーム形成の4つのフェーズを理解しよう
  • 安心して対立できる環境を作る4つのポイント

10丁目 失敗しっぱなし

  • 失敗から学ばない組織の2つの特徴
  • なぜ,失敗は隠れたがる,逃げたがるのか
  • 失敗を組織の学びに変える3つのポイント
  • 失敗は恥ずかしい,だからこそ,共有するのは尊い

おわりに ~「だって,人間だもの!」に向き合おう

著者プロフィール

沢渡あまね(さわたりあまね)

1975年生まれ。あまねキャリア工房 代表。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。

日産自動車,NTTデータ,大手製薬会社などを経て,2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動などを行っている。NTTデータでは,ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。

現在は複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」「社内コミュニケーション活性化プロジェクト」「業務改善プロジェクト」のファシリテーター・アドバイザー,および新入社員・中堅社員・管理職の育成も行う。これまで指導した受講生は1,000名以上。

著書に『職場の問題地図』(技術評論社),『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』『新米主任 ITIL使ってチーム改善します!』『新入社員と学ぶ オフィスの情報セキュリティ入門』(C&R研究所)などがある。趣味はドライブと里山カフェめぐり。

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