みんなのDocker/Kubernetes

[表紙]みんなのDocker/Kubernetes

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電子版発売

B5判/192ページ

定価2,508円(本体2,280円+税10%)

ISBN 978-4-297-10461-0

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書籍の概要

この本の概要

今や当たり前に使われるようになったコンテナ技術ですが,実際の利用に裏打ちされたノウハウについては未だまとまった情報がないのが現状です。そんななか本書では,現場でDocker/Kubernetesを活用している読者に向けて,実践のための知識や事例の紹介を行います。まず第1部では,Docker/Kubernetesの歴史をひもときながらコンテナ技術の概要を復習します。続く第2部では,コンテナイメージの作り方や宣言的なシステム管理といった実践的な知識やそのために役立つツールを解説します。いずれもゼットラボのエンジニアによる濃い内容となっています。そして第3部では,freee,Wantedly,CyberAgent,サイボウズという有名企業におけるDocker/Kubernetes活用の舞台裏を,こちらも現場のエンジニアが紹介していきます。ここにしかないノウハウが満載の一冊です!

以下,『はじめに』より

2013年3月,Dockerがオープンソースとして公開されました。その翌年の2014年にはKubernetesも登場し,2019年現在では日々Redditなどの掲示板で話題に事欠きません。
コンテナ技術自体は以前より存在していましたが,Dockerによってこれらの技術が抽象化され,使いやすいコマンドになりました。そして,Docker Hubというイメージ共有サービスによってさらに敷居が下がり,広く普及しつつあります。Kubernetesは,これらコンテナを管理するためのソフトウェアで,システムの「望ましい状態を定義する」という宣言的設定の特徴を持っています。また,宣言した設定から現在の状態にズレが生じたら修正するというしくみによって,システムの自動修復や(機能ごとに疎結合になるしくみのため)拡張性といったメリットがあります。この拡張性の高さも高じて,今ではWebサービス基盤だけではなく,IoTや機械学習の分野にまで活用されています。
数年前までKubernetesには頻繁に大きな変更が入り最新版への追従に多大な労力が必要でしたが,現在ではメジャーなリソースの多くはGAを迎え,安定期に入っています。また,多くのクラウドサービスプロバイダがマネージドサービスを提供しているので,馴染みのプロバイダで試すことができます。Docker/Kubernetesを学ぶには,ベストなタイミングだと言えるでしょう。
本書の第1部と第2部は,2015年からKubernetesを使ったシステムを開発しているゼットラボのエンジニアがノウハウをまとめました。第1部では,今のDocker/Kubernetesが確立するまでのストーリーとともに概要を解説しています。Docker/Kubernetesに初めて触れる方や,歴史が気になる方はここから読むのがお勧めです。第2部では,「1日100回デプロイ」をテーマに,Kubernetesを使っている人でも見落としがちなポイントや開発に便利なツール群などのテクニックを詰め込んでいます。
第3部は各社の事例を挙げながら,Docker/Kubernetesを使ったシステム設計のノウハウを解説します。第1章はfreeeです。フィンテック企業でありながら,Kubernetesの利点を生かしつつセキュリティも担保するという挑戦的な内容です。Toilとの向き合い方など,SREやシステム設計者にもお勧めです。第2章ではウォンテッドリーのKubernetes導入・展開方法について紹介しています。導入時にありがちな問題とその対策も解説しているので,導入を検討している方にはとくに参考になるでしょう。第3章はCyberAgentによる数字から把握するKubernetesの活用例です。数ある機能をどこまで取り入れるかなど,状況に応じた利点・欠点の把握にお勧めです。最後の第4章は,サイボウズによるオンプレミス環境のKubernetes運用とその自動化の話です。オンプレミス環境で運用している方はもちろんのこと,マネージドサービスのしくみが気になる方も楽しめるでしょう。
本書は初めから読むと体系的な情報を得ることができますが,各章ごとに完結しているのでどこから読んでも問題ありません。それでは,お好きな章からお楽しみください。

こんな方におすすめ

  • Dockerを使い始めるにあたり,どんなメリットがあるのかを知りたい方
  • 実際にDocker/Kubernetesを使っていて,さらに効率的に活用したい方

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Docker/Kubernetesはなぜ生まれ,なぜ広まったのか?
今や当たり前に使われるようになったコンテナ技術は,何を目的に生まれたのでしょうか。

目次

Part 1:Docker/Kubernetesは何を解決するのか? コンテナ技術再入門
第1章:なぜDockerが生まれたのか……石澤 基

第2章:なぜKubernetesが生まれたのか……石澤 基

第3章:DockerとKubernetesを使ってみよう……石澤 基

Part 2:「1日100デプロイ」を可能にする Docker/Kubernetes実践ノウハウ
第1章:最高のコンテナイメージをビルドする……五十嵐 綾

第2章:Kubernetesによる宣言的なシステム管理……大塚 元央

第3章:本番運用に向けたPod機能の利用……須田 一輝

第4章:Kubernetesでの開発を高速化するツール……稲津 和磨

第5章:Kubernetesそのものを拡張するツール……稲津 和磨

Part 3:事例に学ぶ! Docker/Kubernetes活用の極意
第1章:freeeにおけるKubernetesの活用とOSSへの貢献……九岡 佑介

第2章:ウォンテッドリーの創造的な活動を支えるKubernetes導入の舞台裏……坂部 広大

第3章:CyberAgentの全社横断アンケートで知る! GKE活用ノウハウ……青山 真也

第4章:オンプレミスでKubernetesクラスタを構築するサイボウズの試み……池添 明宏・上岡 真也

著者プロフィール

石澤基(いしざわもと)

担当:Part 1 第1章〜第3章。
ゼットラボ株式会社のエンジニア。業務ではCoreDNSやFluentdなどのクラウドネイティブなソフトウェアを活用して,社内向けインフラの設計や運用を担当している。宇宙開発分野の動向を追いかけるのが趣味。好きなRFCはRFC 7541。


五十嵐綾(いがらしあや)

担当:Part 2 第1章。
OpenStackをベースとしたIaaS/PaaSのクラウドサービス基盤を5年ほど開発したのち,2017年よりゼットラボ株式会社でヤフー社向けのKubernetes管理基盤の開発を担当。趣味はEmacsと自宅の自動化。著書に『Kubernetes実践入門』(技術評論社)がある。


大塚元央(おおつかもとひろ)

担当:Part 2 第2章。
) 元SIerでOSS,特にOpenStackのコントリビューションを担当。元OpenStack Magnumコアレビュアー。2018年よりゼットラボ株式会社でヤフー社向けの技術サポートを行っている。最近の趣味は自宅のKubernetesクラスタのメンテナンス,一台一台に名前をつけてペットのように可愛がっている。


稲津和磨(いなづかずま)

担当:Part 2 第4章〜第5章。
) 2010年ヤフー株式会社に入社,フロントエンドからバックエンドまで様々な開発に従事。2015年からゼットラボ株式会社の初期メンバーとして出向。Kubernetes周りの技術調査・開発を行う。趣味は電子工作で自宅に3Dプリンタを持っている。著書に『Kubernetes実践入門』(技術評論社)がある。


九岡佑介(くおかゆうすけ)

担当:Part 3第1章。
福井県生まれ。香川県在住。野生のOSS開発者。最近はKubernetesやAWS界隈の様々なOSSのメンテナ・コントリビュータをしつつ,コンテナを世界中にデプロイする仕事をしています。


坂部広大(さかべこうだい)

担当:Part 3 第2章。
ウォンテッドリー株式会社インフラチーム(現Infrastructure Squad)所属のエンジニア。独立系SIerのカスタマーサポートを経て,2015年より現職。現在,プロダクトとビジネスの貢献に従事。著書に『WANTEDLY TECH BOOK』(達人出版会)など。


青山真也(あおやままさや)

担当:Part 3 第3章。
株式会社サイバーエージェントAdtech Studioのインフラエンジニア。Kubernetesが大好きすぎた結果,カンファレンスのCo-chairやMeetupのOrganizerをつとめるまでに。タイムアタックしてKubernetes認定試験(CKAD)は世界で2番目取得。著書に『Kubernetes完全ガイド』(インプレス)。


池添明宏(いけぞえあきひろ)

担当:Part 3 第4章。
サイボウズ株式会社所属のソフトウェアエンジニア。インフラ刷新プロジェクトにおいて,運用コストを削減するための自動化システムの開発に取り組んでいる。最近はカレー作りに凝っている。著書に『AngularJSリファレンス』(インプレス)共著など。


上岡真也(うえおかしんや)

担当:Part3 第4章。
2016年にサイボウズ株式会社に入社。業務ではインフラやミドルウェアの開発に携わり,現在はkintone.comのAWS移行プロジェクトに所属する。プライベートではOSSに貢献したり,自作のツールをGitHub上で公開したりする。現在,最も力を入れているのはVimperator後継のプラグイン「Vim Vixen」である。