伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

[表紙]伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

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電子版発売

B5変形判/256ページ

定価2,178円(本体1,980円+税10%)

ISBN 978-4-297-11985-0

電子版

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書籍の概要

この本の概要

自分で作るスライドやチラシ・企画書などが,なんだか見映えがいまいちで,効果が上がらない,きちんと言いたいことが伝わっていないとお悩みの方は多いようです。その原因は,デザインのセンスがないことではなく,デザインの基本ルールを知らないことなのです。
本書で詳しく解説する基本ルールをマスターすれば,Word やPowerPoint であっても,読みやすく伝わりやすい,そして見違えるほどかっこいい資料が作れるようになります。
初版と増補改訂版で合計15万部突破の本書が,さらにパワーアップ。ユニバーサルデザインに配慮したデザインルールも身に付けて,みんなに伝わる資料作りを目指しましょう。

読者の方の声

  • Before & After形式でわかりやすい
  • 「資料が伝わりにくい理由」と「どうすればいいか」がよくわかる
  • 図書館で借りたけど,手元に置きたくなって購入した
  • もっと早く知りたかった
  • すべての社会人や学生におすすめ

こんな方におすすめ

  • 自作のプレゼンスライド・チラシ・ポスターがなんだかダサいと感じる方
  • デザイナーではないのに販促物をデザインするはめになった方
  • ユニバーサルデザインに配慮した資料を作りたい方

著者の一言

はじめにより

自分のアイデアや成果を提案・報告するための「企画書やプレゼン資料,レポート」,イベントやセミナーを告知するための「ポスターやチラシ」など,パソコンやオフィスソフト(Microsoft WordやPowerPointなど)の普及した今,個人個人が多岐にわたる資料を作成するようになってきました。
とはいえ,資料の「作り方」を教わる機会はほとんどありません。「読みやすく,見やすく,魅力的な資料」を作ろうとしたとき,多くの人は闇雲に,あるいは自己流で資料を作るか,途方に暮れてしまうのが現状です。これでは良い資料はできませんし,生産性が上がりません。その原因は,「デザインのセンス」の問題ではなく,「デザインのルール」を知らないことにあります。カッコいい資料を真似したり,かわいいデザインのテンプレートを使っても期待したほど良い資料ができなかったという経験も,原因は同じです。つまり,私たちは,デザインの知識や教養を身に付ける前に,さまざまな資料を作らなければならない状況に直面しているのです。
資料の見た目のインパクトばかりを重視していたり,あまり実用的でないデザインテクニックを紹介するビジネス書は星の数ほどあります。しかし,読みやすさや見やすさに重点を置いた非デザイナー向けのデザインの体系的な書籍は皆無です。一方で,デザイナー向けのデザインの教科書や解説書などの専門書はレベルが高く,企画書やプレゼン資料などを作る社会人や学生などにはあまり有用ではないのが実情です。そのような背景から,本書の執筆にあたって,デザイナーではない社会人や教育者,学生,研究者向けのデザインの教科書となるよう,実用的なデザインの基本知識をまとめることを目標としました。ですので,小手先のデザインテクニックを紹介するのではなく,デザインやレイアウトの基本を体系的に紹介するように努めています。
公的機関や民間企業,大学など,業種により理想となる資料のタイプは異なりますが,陥りやすい問題点やつまずきやすい点の多くは共通しています。本書で紹介する基本知識は,あらゆる資料の作成に応用できるものであり,学生や社会人にとっての新たな教養となるものなのです。 理系研究者の我々が立ち上げたウェブページ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」をベースにして,本書の初版を出版したのが2014年でした。2年後の2016 年に増補改訂版を出版し,初版では扱い切れなかったデザインのルールを新たに加えるとともに,したいことを実現するためのPCの操作方法を数多く書き加えました。これにより,デザインのルールの学習から実際の資料作成までをカバーする内容となりました。
さらに,今回の増補改訂3版では,色覚多様性や読み書き障害,視覚過敏,弱視など,視覚多様性に今まで以上にフォーカスし,さまざまな見え方の聴衆に対しての配慮を数多く紹介することで,さらなる資料のユニバーサルデザイン化を目指しました。多様性への配慮は,学校教育において喫緊の課題でもあります。本書がビジネスや研究発表のみならず,教育分野にも貢献できることを願っています。本書をきっかけにデザインの基本知識や教養が普及し,より多くの人が公平に情報にアクセスできるようになり,社会において円滑で有意義なコミュニケーションが拡がることが私たちの願いです。

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多くの人に見てもらえるデザインとは?
会社の会議資料,研究成果の発表資料,掲示用の貼り紙,販促用のチラシ,果ては修学旅行の報告書まで,生活の中でスライドや文書を作成する場面はますます増えてきました。

本書のサンプル

本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。

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目次

第1章 書体と文字の法則

  • 1-1 書体の基本知識
    • 予備知識 書体とフォント
  • 1-2 個性的な書体は避ける
    • コラム 書体を使いこなす
  • 1-3 読ませる文章での書体選び
  • 1-4 見せる文章での書体選び
    • 予備知識 字面と見た目と読みやすさ
  • 1-5 より美しいフォントを選ぶ
    • テクニック フォントの互換性と埋め込み
  • 1-6 判読性の高いフォントを選ぶ
    • スキルアップ ユニバーサルデザインフォント
    • スキルアップ 教育現場で使いたいフォント
  • 1-7 太字と斜体の使い方
    • スキルアップ フリーフォント
    • テクニック フォントのインストール
  • 1-8 おすすめのフォント
  • 1-9 欧文フォントの使い方
  • 1-10 和文と欧文が混ざる文章
    • テクニック PowerPointでフォントの置換
  • 1-11 数字の強調
    • コラム 合字を使ってさらに美しく
  • 1-12 約物の取り扱い
    • コラム 似て非なる約物
  • 1-13 文字は歪めない,飾りすぎない
    • コラム 袋文字で文字を読みやすく
    • コラム 視覚の多様性
    • スキルアップ 文字の装飾のユニバーサルデザイン
  • チェックポイント

第2章 文章と箇条書きの法則

  • 2-1 文字の配置(文字組)
    • コラム 禁則処理
  • 2-2 文字の大きさと太さ
  • 2-3 行間の調節
    • テクニック MS Officeで行間を調節する
    • コラム MS Office の行間設定は欧文用
  • 2-4 字間の調節
    • スキルアップ カーニングで読みやすく
    • テクニック 字間を思いのままに
  • 2-5 行頭を左揃えにする
    • テクニック 欧文での両端揃え
    • コラム 和文中での数字や英単語
  • 2-6 箇条書きの作り方
    • テクニック 箇条書きを作ってみる
  • 2-7 小見出しのデザイン
  • 2-8 段落間隔で見やすく
  • 2-9 改行位置に注意を払う
    • テクニック 好きな位置で改行する
    • テクニック 思い通りにならないテキストボックス
  • 2-10 インデントは本当に必要!?
  • 2-11 行長を長くしすぎない
    • テクニック テキストの書式のコピー
  • 2-12 段組で紙面と時間の節約
    • スキルアップ ユニバーサルデザインな文章の組み方
    • テクニック ルビをつけるときの注意
  • チェックポイント

第3章 図とグラフ・表の法則

  • 3-1 図解を使ってわかりやすく
  • 3-2 「囲み」を使いこなす
  • 3-3 角丸四角は慎重に
    • テクニック 角丸四角の丸みの修正と統一
  • 3-4 オブジェクトの装飾
  • 3-5 矢印の使い方
    • コラム 既存のオブジェクトの活用法
  • 3-6 囲みと文字の組み合わせ方
    • テクニック 余白の作り方
  • 3-7 図解を見やすく,美しく
  • 3-8 画像の基本知識
    • コラム 画像編集のソフトウェア
    • テクニック 解像度が勝手に下がらないようにする
  • 3-9 ラスター画像の扱い方
    • テクニック MS Officeでトリミングと背景の削除
  • 3-10 ベクター画像の構造
    • テクニック MS Officeでベクター形式の絵を描く
  • 3-11 図に説明を入れる
  • 3-12 数値データの示し方
  • 3-13 グラフの作り方
  • 3-14 応用的なグラフ
    • テクニック Excelグラフを編集する
    • テクニック Excelグラフのデザインを統一
  • 3-15 表の作り方
    • テクニック セルの中に余白を作る
    • スキルアップ 表とグラフ,図解のユニバーサルデザイン
  • チェックポイント

第4章 レイアウトと配色の法則

  • 4-1 レイアウトの目的と5つの法則
  • 4-2 余白を十分にとる
  • 4-3 揃えて配置する
    • テクニック 要素を揃える
    • テクニック ガイド線を利用する
    • スキルアップ 輪郭のはっきりしない図を揃える
  • 4-4 グループ化する
    • スキルアップ キャプションを美しく入れる
  • 4-5 強弱をつける
    • スキルアップ ジャンプ率を高めて強弱をつける
    • スキルアップ 小見出しと強調の階層性を意識する
  • 4-6 繰り返す
  • 4-7 情報の構造に即したレイアウト
  • 4-8 視線の流れを意識したレイアウト
  • 4-9 写真や図の扱い方
    • テクニック Shiftキーできれいに移動と変形
    • テクニック 図の貼り付けと文字の折り返し
  • 4-10 余計な要素やノイズを減らす
  • 4-11 囲みすぎない,丸めすぎない
    • スキルアップ アイキャッチャーで魅力もプラス
  • 4-12 見やすいデジタル書類の作り方
    • スキルアップ 資料全体のユニバーサルデザイン
  • 4-13 配色の基本
  • 4-14 色の選び方の基本
  • 4-15 色の組み合わせ
  • 4-16 文字色と背景色の組み合わせ
  • 4-17 色の決め方
    • スキルアップ 灰色の文字で可読性アップ
    • スキルアップ 配色のユニバーサルデザイン
    • テクニック 色の組み合わせの評価
  • チェックポイント

第5章 実践

  • 5-1 ルールを守り通す
  • 5-2 プレゼン用のスライド
    • 予備知識 カラーモード
    • スキルアップ PowerPointのスライドマスター
  • 5-3 企画書や大判の発表資料
    • コラム 背景に写真を入れるときは慎重に
  • 5-4 文章がメインの書類
    • スキルアップ 表紙のバランス
    • コラム 印刷会社で印刷する
    • スキルアップ Wordのスタイル機能
  • コラム モノクロ印刷への対策
  • 5-5 掲示物やチラシ
    • テクニック Wordで三つ折パンフレット
  • 索引

著者プロフィール

高橋佑磨(たかはしゆうま)

1983 年,東京都武蔵野市生まれ。2010 年,筑波大学大学院生命環境科学研究科修了,博士(理学)。現在は,千葉大学大学院理学研究院 助教。専門は進化生態学で,生物の種内に見られる多様性の成立機構や機能について研究。研究発表の資料作成に必要なデザインのノウハウを普及することを目的にウェブページ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」を運営。


片山なつ(かたやまなつ)

1983 年,京都府宮津市生まれ。筑波大学(学部)と東京大学(修士課程)を経て,2012 年,金沢大学自然科学研究科修了,博士(理学)。奇妙な形態をもつ植物の進化過程と多様化機構を研究。2010 年に「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」を開設後,執筆・講演活動も行なう。2017 年から「オフィス伝わる」の運営を始める。