施策デザインのための機械学習入門
〜データ分析技術のビジネス活用における正しい考え方

[表紙]施策デザインのための機械学習入門 〜データ分析技術のビジネス活用における正しい考え方

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A5判/336ページ

定価3,278円(本体2,980円+税10%)

ISBN 978-4-297-12224-9

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この本の概要

予測に基づいた広告配信や商品推薦など,ビジネス施策の個別化や高性能化のために機械学習を利用することが一般的になってきています。その一方で,多くの機械学習エンジニアやデータサイエンティストが,手元のデータに対して良い精度を発揮する予測モデルを得たにもかかわらず,実際のビジネス現場では望ましい結果を得られないという厄介で不可解な現象に直面しています。実はこの問題は,機械学習の実践において本来必要なはずのステップを無視してしまうことに起因すると考えられます。機械学習を用いてビジネス施策をデザインする際に本来踏むべき手順を無視して予測精度の改善だけを追い求めると,「解くべき問題の誤設定」や「バイアス」といった落とし穴に気づかぬうちにハマってしまうのです。

この問題を解決するためには,機械学習のビジネス応用において必要となる前提条件を着実にクリアしなくてはなりません。しかし多くの現場では,「学習」や「予測精度」などに関する手法やテクニックのみに注目してしまう傾向があり,「機械学習にどのような問題を解かせるべきなのか」「実環境と観測データの間の乖離(バイアス)の問題にどのように対処すべきか」といった効果的なビジネス施策をデザインするために重要な観点が軽視されがちです。機械学習をビジネス施策に活かすための前提が整えられていないにもかかわらず,発展知識を身に付けたり論文の内容をそのまま実装したところで,望ましい結果を継続的に得ることは難しいのです。

本書では,ビジネス施策を自らの手で導くために必要な汎用的な考え方を身につけることを目指します。そのため本書ではまず,機械学習をビジネス現場で活用する際に本来踏まねばならないステップを明文化した汎用フレームワークを導入します。そしてその汎用フレームワークを活用しながら,効果的な施策を自らの手で導出する「施策デザイン」の流れを繰り返し体験します。これまで軽視されてきた「機械学習の威力を担保するために必要な前提のステップ」をフレームワークとして明文化し,データから施策を導くプロセスを自らデザインするという斬新なコンセプトで,ビジネスにおける変幻自在/臨機応変な機械学習の応用を可能にすることが,本書の最終目標です。

こんな方におすすめ

  • 機械学習エンジニア
  • データサイエンティスト
  • 機械学習エンジニア,データサイエンティスト職を志望する学生

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著者プロフィール

齋藤優太 (さいとうゆうた)

2021年に,東京工業大学で経営工学学士号を取得。大学在学中から,因果推論と機械学習の融合技術(反実仮想機械学習)や,バイアスを含むユーザの行動ログに基づく推薦・ランキング学習に関する研究を行う。その過程で,ICML・RecSys・SIGIR・WSDM・SDMなどの機械学習・データマイニング領域におけるトップレベル国際会議にて査読付論文を発表。2020年には,半熟仮想株式会社を共同創業。以降当社の科学統括として,複数の国内テクノロジー企業との共同研究の取りまとめを担当,専門技術の社会実装や大規模実証研究に取り組み,その研究成果の一部が日本オープンイノベーション大賞・内閣総理大臣賞を受賞。2021年秋からは,Cornell University, Department of Computer Science (Ph.D. program)に進学し,関連領域の研究を継続する。
Twitter:@usait0
Website:usaito.github.io


安井翔太(やすいしょうた)

2013年にNorwegian School of Economicsにて経済学修士号を取得しサイバーエージェント入社。入社後は広告代理店にて広告効果検証等を行い,その後2015年にアドテクスタジオへ異動。以降はDMP・DSP・SSPと各種のアドテクプロダクトにおいて,機械学習に関する業務やデータを元にした意思決定のコンサルティングを担当。現在はAILabの経済学チームのリーダーとして経済学と機械学習の融合に関する研究を行う一方で,Data Science Centerの副所長として社内のデータサイエンスプロジェクトのコンサルティングも担当。著書に『効果検証入門』(技術評論社, 2020)がある。