生物ミステリー(生物ミステリーPRO)
地球生命 水際の興亡史
-
土屋健 著
かわさきしゅんいち イラスト
松本涼子,小林快次,田中嘉寛 監修 - 定価
- 3,960円(本体3,600円+税10%)
- 発売日
- 2021.7.15
- 判型
- A5
- 頁数
- 232ページ
- ISBN
- 978-4-297-12232-4
サポート情報
概要
魅惑的な古生物たちの世界。
知的好奇心をくすぐり、知的探究心を呼び起こし、そして何よりシンプルに面白い。
そんな世界を、みなさまにお届けします。
新シリーズ1作めは「水際における古生物の興亡」をお届けします。
陸圏と水圏の境界域にあたる“水際の世界“は、地球生命が最も躍動的に物語が紡がれた舞台の一つ。
かつて水の中で生まれた私たちの祖先は、水際世界への“上陸作戦”を展開し、新天地たる陸域へ生活圏を拡大しました。
一方、陸域で繁栄を遂げた生物の中から、再び水際世界へ侵食し、水の中に“逆進出“を遂げるものが出現します。
彼らは“水際の世界”を、時に通過点とし、時に支配圏としながら、命を繋いできました。
本書は、そんな水際世界を“進化の舞台”として興亡を繰り広げた脊椎動物の3グループに焦点を当てました。
「両生類」「偽鰐類」「哺乳類」
これら3グループを中心に展開する“水際の世界”では、どんな興亡が繰り広げられたのでしょう。
地球生命を語る上で欠かせない“水際の生物史”を、存分にお楽しみください。
こんな方にオススメ
- 古生物ファン
- 美麗で貴重な化石を愛でたい方
- 水際をめぐる古生物の興亡に興味のある方
- ※古生物の黒本シリーズ「生物ミステリーPRO」の愛読者にドンピシャの1冊です。
目次
第1章 陸へ
- 上陸、そして内陸へ
- 41億8000万年間のプロローグ
- 二つの大陸と一つの超大陸
- 足跡が“先行”した
- 「腕の骨」をもつ魚たち
- そして、指ができる
- “水際仕様”の眼をもつ
- イクチオステガの登場
- ゴンドワナの初期四足動物
- 内陸への進出
第2章 先行する両生類
第1節 栄え始めた四足動物
- 大森林の水際で
- 東カークトンの不思議な水棲四足動物
- 「両生類」とよばれる動物たち
- ヘビのような先駆者たち
- 水圏で暮らす3種の空椎類
第2節 両生類、覇権をとる
- 先陣を切ったトカゲ似両生類
- 植物を食べ始める
- 連なる世界
- 両生類の繁栄は“第二段階”へ
- 時代の頂点に立つ
- “次世代”の足音
- カエルとイモリの共通祖先
- 空前絶後の大量絶滅
第3節 大絶滅のその先に
- 続く超大陸時代
- 生き残った彼ら
- カエル、そして、サンショウウオへ
- 分裂開始
- 生き残る“オールド・タイプ”
- カエルは跳び始め
- サンショウウオが現れ
- ノアの洪水で滅ぶ?
- 足のあるアシナシイモリ
- 超温暖期
- 最後の“オールド・タイプ”
- 史上最大のカエル
- "もう一つ”のグループ
第3章 王者登場
- 新時代の始まり
- 再び三畳紀
- 超大陸で始まる歴史
- "あの恐竜”を彷彿とさせる
- 現れた覇者クラス
- ワニ型類からワニ形類へ
- もう一つの主役
第4章 水際の覇者とその仲間たち
第1節 水の世界へ
- 再びジュラ紀
- 水際世界へ、もっと先へ
- 現れた大型種
第2節 恐竜たちの“ライバル”
- 再び白亜紀
- 内陸進出
- 穴を掘る仲間たち
- 多様な歯をもつ仲間たち
- アヒルとアルマジロ
- 水棲種の“生き残り”
- 再び大型種
- 現生ワニ類への道
- 三度、大型種
第3節 水際の頂点へ
- 新たな時代
- 内陸種の生き残り
- 広がるクロコダイル類
- 四度、大型種
第5章 私たちも海へ
第1節 かくして哺乳類も水中へ進出する
- 恐竜時代の水棲哺乳類
- 冷えていく時代
- ムカシクジラ類の登場
- もっと水の中へ
- 遠く離れた地で、水の中へ
- 水際の仲間たち
- 旅路の先のムカシクジラ類
- そして、海の中へ
- そして、“最強”へ
- 人魚も登場
第2節 さあ、水中へ。みんな、水中へ
- 日本を代表する古生物
- クマ類に近縁の“不思議グループ”
- 水族館ショーの主役たち
- もう一つの鰭脚類
- 動物園で人気のアレも?
- ラッコの祖先は、大陸を横断したのか
- 大型カワウソから見えるラッコの進化
- 泳ぐナマケモノと電気感知のカモノハシ
第3節 そして……
- 内陸の水際で暮らす大きな仲間たち
- 日本のカイギュウたちと
プロフィール
土屋健
著者
サイエンスライター。オフィス ジオパレオント代表。
日本地質学会員、日本古生物学会員、日本文藝家協会員。埼玉県出身。
金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学、古生物学)。その後、科学雑誌『Newton』の編集記者、部長代理を経て、現職。
愛犬たちと散歩、愛犬たちと昼寝が日課。“ 黒い本” 時代から登場する犬たちは、この春に11歳と6歳になった。
古生物に関わる著作多数。2019年にサイエンスライターとしてはじめて古生物学会貢献賞を受賞。
近著に『生きている化石図鑑』(笠倉出版社)、『恐竜・古生物に聞く第6の大絶滅、君たち(人類)はどう生きる?』(イースト・プレス)、『ゼロから楽しむ 古生物 姿かたちの移り変わり』(技術評論社)など。
かわさきしゅんいち
イラストレーター
動物画家・絵本作家・漫画家。1990年大阪生まれ。
脱サラ後、絵本『うみがめぐり』を日本・中国の2カ国で出版。
佐藤たまき著『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』(ブックマン社)や土屋健著『アノマロカリス解体新書』
(ブックマン社)等で挿絵を手がける。
特定の種より生物多様性の繋がりが楽しい。
おすすめの映画は『COO 遠い海から来たクー』。VHSが入手困難だがプレシオサウルスの描写が最高に推せる。
Twitter:@nupotsu104
松本涼子
監修担当
神奈川県立生命の星・地球博物館、学芸員。
英国ロンドン大学(University College London)にて博士号(Ph.D.)取得。
専門は絶滅水生爬虫類、コリストデラ類の形態進化。
近年では、現生両生類の頭骨や頚椎の形と運動機能の進化をテーマとした研究もおこなっている。
小林快次
監修担当
北海道大学総合博物館、副館長・教授。大阪大学総合学術博物館、招聘教授。
1971年、福井県福井市生まれ。
米国ワイオミング大学卒業後、米国サザンメソジスト大学にて日本人としてはじめて恐竜で博士号(Ph.D.)を取得。
国内だけではなくモンゴルや米国アラスカ、カナダなどで発掘調査を精力的におこなう世界を代表する恐竜研究者。
獣脚類恐竜を中心に恐竜の分類や生態について研究をおこなっている。
最近では、北海道のカムイサウルスや兵庫県のヤマトサウルスを命名した。
田中嘉寛
監修担当
大阪市立自然史博物館、学芸員。北海道大学総合博物館資料部・研究員を兼ねる。
ニュージーランド、オタゴ大学で初期のイルカの進化を研究し博士号(Ph. D.)を取得。
専門はイルカやクジラ、アシカ、アザラシ、セイウチなど、水生哺乳類の進化(古生物学)、および博物館学。