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どうやったらアプリを使ってもらえる?
「Smartphone Design」(以下,本誌)の企画は,スマートフォンアプリの開発者たちがいま悩んでいることを調査することからはじめました。開発現場で活躍されている方々にヒアリングした結果,いまのアプリには次のようなものが強く求められていることが見えてきました。
- ①ユーザに使ってみたいと思わせる魅力
- ②直感的に使い方がわかる使いやすさ
- ③使い続けてもらうための継続的な改善
もちろんこれらはいつのときも求められる要件ではありますが,PC市場と比較して,
- 同じような機能を持つアプリがマーケットにあふれている
- ユーザの嗜好とITリテラシの多様さ
- 使う場所を選ばない
- 小さな画面
- 指での操作
- マニュアルがつけにくい
などといったスマートフォンアプリ市場独特の要素があるため,より一層重要度を増しています。ではこれらの要件を備えたアプリを作るにはどうしたらよいのでしょうか。
現場が求める「デザイン」力
①②を満たすには,必要な機能を備えただけのアプリではもはや足りず,マーケットに表示されるアイコンまで考慮したアプリの見た目の良さ,わかりやすい画面遷移,使いやすい操作性などといった全体を「デザインする」力が求められます。
こうなってくると機能を実装する開発者(デベロッパ)だけでは荷が重く,開発現場ではデザイナとの協業が進んでいます。とはいえ,開発者とデザイナはアプリに対する見方,持っている知識や技術が異なっているため,しばしば意見の食い違いが起こり,プロジェクトに影響を及ぼしてしまうこともあるようです。
本誌の第1特集はこういった現場の悩みを解消するためのヒントを集めました。お互いの共通認識として重要な指針となりうるiOS/Android/Windows Phoneそれぞれのデザインガイドラインの比較解説をはじめ,より良いユーザインターフェース(UI)/ユーザエクスペリエンス(UX)にするための事例や,協業のポイントなどを紹介しています。
開発期間短縮とコスト減を実現するために
変化の激しいスマートフォンアプリの開発では,開発スピードと低コストも求められています。そのため,変更に素早く対応できるWebパーツと処理能力の高いネイティブパーツとを組み合わせたハイブリッドなアプリ開発は,上手に設計すればとても有効な手法となります。
また,企業内で使っていたPCアプリをスマートフォンで利用できるようにしたいというニーズも多くなっています。このときスマートフォンアプリを一から作るのではなく,PCアプリのUI以外の部分はそのまま使い,UI部分のみをスマートフォン用に作ることができればコストやスピードは大幅に節約できそうです。既存資産の利用と言えば,Webサイトのスマートフォン対応も要望が急増している案件です。
冒頭で示した要件③にかかわる内容として,本誌では上記のような開発コストの削減,開発スピードやメンテナンス性の向上を狙える手法やサービスも紹介しています。
人気のジャンル「ゲーム」開発のいま
スマートフォンアプリで人気のジャンルはやはりゲームです。このゲーム開発市場において,3Dゲームやソーシャルゲームなどの開発プラットフォームとして高い人気を誇るのが「Unity」です。すでに解説書籍もたくさん出ていますが,なぜUnityが支持を得ているのでしょうか。本誌では第2特集でその理由を探っています。
より良いスマートフォンアプリ開発のために
iPhone 5も発売され,スマートフォンアプリの開発者とデザイナのニーズはますます高まるばかりです。ただ,ここまでお読みいただいたとおり,競争は激化し,要求は高度なものになっていきます。この市場を突き進む開発者とデザイナの方々にとって,本誌がより良いアプリを楽しく開発していくためのサポートになればうれしいです。興味を持たれた方は,本誌詳細ページで詳しい記事概要をご覧ください。