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初学者を悩ませるもの
AWS(Amazon Web Services)はAmazon Web Services,Inc.が提供するクラウドサービスです。利用者は「コンピューティング」や「ストレージ」「データベース」などから利用するサービスを自在に選択し,必要に応じて利用できるのが最大のメリットです。しかし,AWSサービスの数は200を超え,すべてを完全に使いこなすのは第一線で活躍するエンジニアでも難しいでしょう。
また,単にAWSのサービスを利用するだけなら専用サイトを通じて簡単に設定できますが,「どのように設計するか」「どのような設定値にするか」などを考えるには,AWSの特有の技術以外にサーバーやネットワークといったインフラの知識も必要になってきます。つまり,設定が簡単なクラウドサービスと言えども,関連する知識が必要になってきます。
このような状況で,初学者の方をもっとも悩ませるものは,全体像がわかりづらい(見えづらい)ことでしょう。
Amazon EC2を利用するのに必要な知識
たとえば,IaaS型の仮想マシンを提供する「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」を考えます。AWS特有の技術として「AMI」「UserData」「Instance MetaData」「インスタンスタイプ」「EBS」などがありますが,これらを理解するだけでは足りません。まず,Linux(またはWindowsサーバー)の運用や保守の知識が必要です。Linuxの場合であれば,さらに「シェル」や「基本的なコマンド」「管理/監視系のコマンド」,ストレージに関連して「ファイルシステム」や「RAID」の仕組みを理解しておくべきでしょう。
では,どのように学習を進めていけばよいでしょうか。
学習するためのロードマップが注目されている
昨年,IT情報共有サイト「Qiita」に投稿された「クラウドエンジニア(AWS)ロードマップ2021」が人気記事として注目されました。これはAWS学習サイトを運営するYouTuberのくろかわこうへい氏が中心となり,インフラ初学者がAWSを用いた設計/構築できるレベルに到達するため,学習の全体像をまとめたものです。
まずは,このロードマップを参考にして,全体像の各サービスに付随する技術キーワードを眺めてみるのはいかがでしょうか。そうすると「自分には何が足りなくて何が必要か」「何を学べばよいか」「次に何をすべきか」を整理できることでしょう。
本書「AWSエンジニア入門講座 ——学習ロードマップで体系的に学ぶ」は,ここで紹介した「ロードマップ」やYouTube動画解説を書籍化したものです。ロードマップ(図1)は綴じ込み特典としてのり付けされているので,壁などに貼って活用してみてください。
図1 AWS学習ロードマップ(イメージ)