2009 JavaOne Conferenceがいよいよ最終日を迎えました。ここ数年、最終日と言えばJames Gosling氏の“ The Toy Show” が定番となっています。今回もGosling氏がセレクトしたたくさんのJavaテクノロジーが大勢の聴講者の前にお目見えしました。
写真1 開始前。ホスト役のMelissinos氏とGosling氏。うち合わせ中?
写真2 2009 JavaOne Conference、開幕から閉幕まで新ホストの大役を務めたChris Melissinos氏
Duke's Choice Awardから
オープニング直後にGosling氏が登壇し、さっそく“ The Toy Show” がスタートしました。
The Toy Showといえばこの人、James Gosling氏
まず、Duke's Choice Awardを受賞した企業や団体のプレゼンテーションを中心に進行がスタートしました。Duke's Choice Awardとは、毎年優れた技術や製品、注目に値するJava技術に贈られる賞で、受賞するとJavaOne Pavilionで展示されます。
受賞企業・団体 登壇者 TERRACOTTA Ari Zilka(CTO) Atlassian Brendan Humphreys(Chief Code Poet) BlueJ/Greenfot Ian Utting、Poul Henriksen、Davin McCall Jagex Ltd. Mark Gerhard(CEO)
受賞者には、Gosling氏から直接JavaOneならではのDukeトロフィーが手渡されます。
写真4 Dukeトロフィーの贈呈
写真5 初日のJava Storeのデモにも登場した「Rune Scape 」のJagex。キャラクターのモデリングについて紹介しました
やはり最終日もJavaFX!
次に紹介されたのは、SunのTechnology Evangelist、Simon Ritter氏とAngela Caceido氏の二人です。
Wiiリモコンを利用したJavaFXアプリ
まず、Ritter氏がWiiリモコンの赤外線を利用したJavaFXアプリケーションを紹介しました。
これは、ビデオから写し出される映像が、写し出すボードの角度や裏表に応じて変化するというものです。これについては、開発段階からさまざまなイベントで紹介されていて、昨年のSun Tech Days 2008 in Tokyo でも紹介されていました。
写真6 Wiiリモコンについて「この赤外線を利用するんです」と、今回のアプリの仕組みを解説するRitter氏
写真7 実際に投影された様子。このボードの動きに応じて表示される画像が変化する
Sun SPOTを使ったフィジカルコンピューティング
次にCaceido氏が、Sun SPOTを使った入力デバイスとJavaFXアプリケーションを利用して開発した描画システムのデモンストレーションを行いました。以下の動画のように、JavaFXと連動した専用のスクリーンを指先でタッチすると利用できる機能が変化し、スクリーン上に画を描いたり、消したり、また、描いた画の上に別のオブジェクトを動かすといったことが可能になっていました。
これは、いわゆるフィジカルコンピューティングにも通ずるシステムで、これからのITとリアルの融合という観点で非常におもしろいデモンストレーションでした。
ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm7263172 JavaScriptを有効にしてください。
期待は高まる!JavaFXオーサリングツール
JavaFX関連最後のプレゼンは、このJavaOneの他の基調講演でも何度も取り上げられたJavaFXオーサリングツールです。Sun Principal Engineer、Tor Norbye氏が、JavaFXオーサリングツールを使ってタイムラインを利用したアプリ作成、Desktop/Mobile向けをそれぞれワンソースで作るデモを見せました。
これまでJavaFXに関してはオーサリングツールが最大の弱点でもあったので、今後、早いタイミングでのユーザが利用可能なバージョンリリースが期待されます。
写真8 JavaFXオーサリングツールのデモ
小さいけど熱い!組込みJavaの世界
続いて、組込みJava関連のプレゼンが行われました。
PlaySIM Project
まず、PlaySIM Projectです。これは、SunとTelenorのジョイントプロジェクトで、Java Card 3.xをSun SPOTにインプリメントし、他のデバイスと連携させるというものになります。
写真9 PlaySIM Projectの概念
写真10 実際のデバイスを使ってつなげた様子
Javaロボットも登場
次は、FIRST Robotics Competition で優勝したロボットの登場です。これは、床に散らばっているボールを自動でかごに入れ、入れたボールを相手にぶつけるというスタイルで競われるロボットコンテストです。昨日紹介したPavilionレポート にその動画(Dukeとの鬼ごっこ風景)を用意してあります。
写真11 Goslingと話す優勝チームのWorcester Polytechnic Instituteの学生とSun、Staff Engineer
まだまだある、こんなJavaの使い方
他にもND SatComが開発する衛星を利用した世界各地の標高を計測・データ化するシステムや、Vivisuが独自に開発するアルゴリズムで開発されている画像検索、Mifos と呼ばれるMicrofinance(資金繰りが難しい団体や人々を支援すること)のためのオープンソーステクノロジなど、Javaが持つ可能性を、さらに広げてくれたプレゼンテーションが行われました。
写真12 Visuviが考える画像解析の概念
写真13 Mifosの紹介スライド
この後、Check1TWOが開発しているJavaFX搭載音楽配信・再生システム、そしてRICOHが実施した、RICOH Student Challengeに優勝したハンガリーのPannonia大学の二人が登壇しました。RICOHのデモでは、複写部分からスキャンしたデータを、複合機に付いているタッチスクリーンで操作し、それをさまざまな形で出力できるという内容のプレゼンテーションが行われました。
写真14 Check1TWOの音楽再生システムの操作画面
写真15 RICOHのシステムプレゼンテーション。画面のように手書きでチェックしたシートをスキャンすると、自動でデータ化され表示される
今年も登場?Neal Young氏
最後のプレゼンテーションは、JavaOne Pavilionでも圧倒的な存在感を出していた「LincVolt」 、さらに自立自動車プロジェクト「Project Bixby」の大物2つです。まず「Project Bixby」は、Volkswagen、Audi、Stanford University、そしてSunによる、自律自動車の共同プロジェクトです。
自律自動車のアーキテクチャ
次に、電気自動車版リンカーン「LincVolt」が登場しました。これは、昨年のJavaOneに登場した Neil Young氏所有のものでした。
試乗したときのGosling氏とYoung氏
これだけのサイズの車が、Javaによる制御を行えるということで、非常にインパクトのあるプレゼンテーションで、まさにイベントの“ トリ” を務めた格好になりました。
操作用タッチパネル
まさにJavaOneのトリにふさわしい圧倒的な存在感!
そして来年へ……
以上、2009 JavaOne Conference最後のジェネラルセッションはすべて終わりました。この後、再びホストのMelissinos氏にバトンタッチ。最後はシンプルに、しかし、参加者にとっては気になる一言で締められました。
「See you next year at JavaOne!!」
初日のジェネラルセッション で、OracleのLarry Ellisonは「Javaのイベントを継続する」と述べただけで、JavaOneの継続についてははっきりとは述べませんでした。また、例年では必ず最後のジェネラルセッションで次回の開催日と開催場所(Moscone Center)が伝えられていたのですが、今回はそれがありませんでした。
そのため、このMelissinos氏の発言がどのぐらい信憑性があるのか、判断が難しいところではあります。それでも次回は記念となる15回目。多くの参加者が、次回も開催されることを期待して帰路についたことでしょう。
JavaのロゴとともにTHANK YOUのメッセージが。あっと言う間の5日間が終わりました
最後に、参加したSun社員による記念撮影が行われました