知りたい!サイエンスシリーズひとはどこまで記憶できるのか
―すごい記憶の法則―
2011年4月22日紙版発売
2013年6月24日電子版発売
田中真知 著
四六判/240ページ
定価1,738円(本体1,580円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4648-5
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書籍の概要
この本の概要
人の記憶ほどあてにならないものはない。だからこそ人は,古代から記憶にこだわってきた。事情は現代も変わらない。名前をすぐ忘れるし勘違いも多い。実はこれこそが脳の進化過程で獲得した能力である。つまり記憶は忘れたり間違えることで作られていく。本書では,記憶形成メカニズムや記憶力増強法,匂い,θ波,睡眠,薬物,記憶喪失,超絶記憶力,振り込め詐欺,偽の記憶症候群など,記憶をめぐる幅広いテーマを扱う。記憶は個人のアイデンティティを支える心理学や社会科学にもかかわっている。実は記憶について知ることは,人間を深く理解することにつながっている。記憶をめぐる旅は興味が尽きることはない。
こんな方におすすめ
- 記憶に興味がある人
- 脳に興味のある人
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- 「ひとはどこまで記憶できるのか」
- 人の記憶ほどあてにならないものはない。だからこそ人は,古代から記憶にこだわってきた。
目次
第1章 忘れっぽい脳
- 1‐1 すぐ忘れる記憶,なかなか忘れない記憶
- 1‐2 あいまいな記憶が人間らしさをつくる?
- 1‐3 脳は4つのステップで記憶する
- 1‐4 マジックナンバーの不思議
- 1‐5 ワーキングメモリを鍛えよう
- 1‐6 長期記憶はハードディスクか?
- 1‐7 脳はどのように記憶するのか 1
- 1‐8 脳はどのように記憶するのか 2
- 1‐9 海馬を失ってわかったこと
- 1‐10 タクシー・ドライバーの海馬は大きい
- 1‐11 なんども思い出せば,記憶は強められる
- 1‐12 小脳はまちがえながら記憶する
- 1‐13 覚えてから1時間で半分を忘れる
- 1‐14 一夜漬けが効果的でない理由
第2章 忘れなければ覚えられない
- 2‐1 記憶は脳のどこにあるのか
- 2‐2 コンピューターの記憶はマンション形式
- 2‐3 記憶は忘れることでつくられる
- 2‐4 脳のプログラムはたえず変化している
- 2‐5 「思い出す」と「思い浮かぶ」はちがう
- 2‐6 トイレで思いついたことは,トイレから出ると忘れてしまう
- 2‐7 インパクトのある体験は,なぜ忘れない?
- 2‐8 「この人は父そっくりだけど偽物だ!」
- 2‐9 記憶力を高めるポイントはシータ波
- 2‐10 記憶は眠りによって強化される
- 2‐11 ネズミは迷路の夢を見る
- 2‐12 夢の睡眠学習
第3章 消したい記憶,消せない記憶
- 3‐1 ストレスを受けると海馬は萎縮する
- 3‐2 トラウマの記憶を消す薬
- 3‐3 海馬を鍛えれば,恐怖の記憶が消える?
- 3‐4 記憶力のいい人はストレスに強い
- 3‐5 記憶力を高める薬はあるのか?
- 3‐6 頭をよくする薬のジレンマ
- 3‐7 歳をとると,なぜ忘れっぽくなるのか
- 3‐8 人の名前をど忘れしやすいのはなぜか
- 3‐9 アルコールは記憶の消しゴム
- 3‐10 酒は百薬の長か?
- 3‐11 「知ってるつもり」とメタ記憶
- 3‐12 なぜ,振り込め詐欺の被害者はお年寄りなのか
第4章 記憶はいつでも現在形
- 4‐1 赤ん坊のときの記憶がないのはなぜか
- 4‐2 経験していない過去を「思い出す」のはなぜか
- 4‐3 アメリカを揺るがした偽の記憶症候群
- 4‐4 抑圧された記憶は神話か
- 4‐5 胎内記憶は存在するのか
- 4‐6 記憶はいつでも現在形である
- 4‐7 「前世の記憶」をどう考えればいいのか
- 4‐8 エイリアンに誘拐された記憶?
- 4‐9 匂いと記憶の不思議
- 4‐10 心臓に記憶は宿るのか
第5 章 忘れることを忘れると……
- 5‐1 記憶の人フネスの悩み
- 5‐2 記憶の達人シェレシェフスキー
- 5‐3 人の顔を覚えられない記憶術師
- 5‐4 記憶の中の風景を描きつづける男
- 5‐5 “レインマン”キム・ピークの超絶記憶力
- 5‐6 サヴァン患者に男が多いのはなぜ?
- 5‐7 人生のすべてを記憶している女性
- 5‐8 記憶のない世界に生きる人びと
- 5‐9 古代と中世の記憶術
第6章 記憶力・学習力をよくする12カ条
- 1 好奇心を持つ
- 2 復習をする
- 3 覚えたら寝る
- 4 からだを動かす
- 5 シータ波を出す
- 6 朝に予定を立てる
- 7 食事に気をつかう
- 8 読書はいもづる式で
- 9 メモをとらない
- 10 慣れ親しんだものの外に出る
- 11 「わからない」状態に耐える
- 12 忘れてもかまわない
コラム
- 記憶の達人たちの宴
- カフェインは記憶改善薬?
- 猛毒サリンは記憶を沸騰させる
- 記憶力の鍵を握る女性ホルモン
- やけ酒はイヤな記憶を強化する
- その記憶は当てになるか?
- ブレードランナーは記憶の物語
- 拷問は記憶を歪める
- 人生がパノラマのように……
- 神の記憶のありか
- 過去の記憶にとりつかれた人たち
- 60人と同時にチェスをした男
- 昨日と今日のあなたは別人?
- 記憶喪失するシネマ案内(ネタバレなし)
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