知りたい!サイエンスシリーズ今だから知りたいワクチンの科学
―効果とリスクを正しく判断するために

[表紙]今だから知りたいワクチンの科学 ―効果とリスクを正しく判断するために

紙版発売
電子版発売

四六判/232ページ

定価1,848円(本体1,680円+税10%)

ISBN 978-4-297-12001-6

電子版

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書籍の概要

この本の概要

2021年2月14日,ファイザー社の新型コロナウイルスワクチン製造販売が特例承認されました。
日本でも,ついにワクチン接種の段階に突入です。
世間は「ワクチン」一色ですが……けっきょく「ワクチン」って一体なに?

「感染症対策の切り札!」
「みんなで打って,集団免疫を獲得しよう」

という報道が流れる一方で,

「インフルエンザと同様で型が違えば効果なし」
「医療利権の温床」

といった意見もチラリホラリ。
一体なにが正解で,なにが不正解だろう?

ここはひとつ立ち止まって,ワクチンというものを見つめ直してみたほうが良さそう。
というわけで誕生したのが『今だから知りたいワクチンの科学』。

難解になりがちなワクチンの話を,できる限り簡単に噛み砕いてみました。
冷静に,客観的に,かつ科学的にワクチンを解説。
新型コロナウイルスワクチンはもとより,ワクチンの歴史や種類,近い将来実現しそうなワクチン技術についても,ふれてみました。

ワクチンを正しく知って,その効果とリスクを見極めよう。

こんな方におすすめ

  • ワクチンの「効果」と「リスク」について考えたい方
  • ワクチンについて科学的に知りたい方
  • ワクチン接種について冷静に考えたい方には,ぜひ手にとっていただきたい1冊です。

目次

第1章 ワクチンとは

  • 1-1 ワクチンは効く
  • 1-2 感染症は怖い
  • 1-3 病原体とは何なのか?
  • 1-4 抵抗力とワクチンの関係
  • 1-5 免疫と病気の基礎知識
  • 1-6 自然免疫と獲得免疫
  • 1-7 獲得免疫と免疫細胞の働き
  • 1-8 ウイルスとは何なのか?
  • 1-9 飛沫感染・空気感染・接触感染
  • 1-10 ワクチンは偶然発見された
  • 1-11 病原体が細菌や細菌毒素の場合
  • 1-12 病原体がウイルスの場合は細胞性免疫
  • 1-13 ワクチンがなくて救えなかった命の一例
  • 1-14 法で定めた定期接種と任意接種
  • 1-15 定期接種と任意接種
  • 1-16 ワクチン忌避とは
  • 1-17 赤ちゃんへの接種の忌避感の間違い
  • 1-18 ワクチン忌避は世界的傾向
  • 1-19 自然感染について考えてみる
  • 1-20 現在どんなワクチンが使用されているのか
  • 1-21 ワクチンの成分は?
  • 1-22 アジュバントとは?
  • 1-23 ワクチンの接種方法
  • 1-24 ワクチンの研究開発はどのように行われるのか
  • 1-25 ワクチンの製造はどのように行われるのか
  • 1-26 ワクチンの有効率とは
  • 1-27 効かないことがあるわけ
  • 1-28 一次ワクチン不全と二次ワクチン不全
  • 1-29 善玉抗体,悪玉抗体,役なし抗体
  • 1-30 効果とリスクからワクチンを考える
  • 1-31 ワクチンの副反応と有害事象
  • 1-32 ワクチンのリスク
  • 1-33 ワクチン成分によるアレルギー反応
  • 1-34 ワクチン接種による抗体非依存性過敏反応
  • 1-35 ワクチンの重篤な副反応
  • 1-36 ワクチンで有害事象になったら
  • 1-37 ワクチン接種前後の注意事項
  • 1-38 赤ちゃんとワクチン
  • 1-39 乳幼児突然死症候群との関係はない
  • 1-40 高齢者とワクチン
  • 1-41 海外旅行・出張・留学とワクチン
  • 1-42 集団免疫・ワクチンは誰のために接種するのか
  • 1-43 基本再生算数・集団免疫の具体的な考え方
  • 1-44 意味のない感染予防対策は意味がない

第2章 作用のしくみから見たワクチンの働き

  • 2-1 ワクチンにもいろいろある
  • 2-2 弱毒生ワクチン
  • 2-3 不活化ワクチン
  • 2-4 トキソイドワクチン
  • 2-5 その他のワクチン
  • 2-6 混合ワクチンと多価ワクチン
  • 2-7 製造方法による違い
  • 2-8 組換えウイルスワクチン
  • 2-9 DNAプラスミドワクチン
  • 2-10 mRNAワクチン
  • 2-11 組換えタンパク質・ウイルス様粒子ワクチン

第3章 予防目的から見たワクチンの種類

  • 3-1 DNAウイルスとRNAウイルス
  • 3-2 季節性インフルエンザ
  • 3-3 インフルエンザ・季節性と新型の違い
  • 3-4 インフルエンザワクチン
  • 3-5 子宮頸がん予防ワクチン
  • 3-6 子宮頸がん予防ワクチンをめぐる問題
  • 3-7 麻しんワクチン
  • 3-8 風しんワクチン
  • 3-9 水痘ワクチン
  • 3-10 百日せきワクチン
  • 3-11 ジフテリアワクチン
  • 3-12 破傷風ワクチン
  • 3-13 ポリオワクチン
  • 3-14 おたふく風邪ワクチン
  • 3-15 B型肝炎ワクチン
  • 3-16 ヒブ感染症ワクチン
  • 3-17 肺炎球菌ワクチン
  • 3-18 ロタウイルス感染症
  • 3-19 結核予防ワクチン
  • 3-20 日本脳炎ワクチン
  • 3-21 狂犬病ワクチン
  • 3-22 腸チフスワクチン
  • 3-23 コレラワクチン
  • 3-24 デング熱ワクチン

第4章 ワクチンの歴史

  • 4-1 ワクチンの起源
  • 4-2 ジェンナーと種痘
  • 4-3 パスツールと家禽コレラ
  • 4-4 パスツールと狂犬病
  • 4-5 北里柴三郎と破傷風
  • 4-6 感染症との戦い
  • 4-7 エマージングウイルス
  • 4-8 ワクチンによる感染症の根絶
  • 4-9 日本での予防接種対応の変遷
  • 4-10 学校での集団接種の変遷
  • 4-11 日本のワクチン禍
  • 4-12 新型コロナウイルス感染症
  • 4-13 ワクチンとSNS・マスコミ

第5章 SNSの誤解を解く

  • こんな意見に答えてみた。
  • 「インフルエンザワクチンは表に出ませんが死亡が多いとのこと。まあインフルエンザワクチンはもともと型が違えば意味がないしね……」
  • 「さっきも言ったが,北海道の感染者が史上最多の200人超えなら,早いところアストラゼネカやファイザーのワクチンを承認する以外選択肢はない」
  • 「生姜,ニンニク,ネギもいいよ。みんなお金をかけずに健康になれる。薬もワクチンもいらない。医療利権にだまされるな!!!!!」
  • 「ワクチンって効かねーんだって。まだわかんねーんですか。製薬会社が儲けるためのワクチンなんだけどな」
  • 「ワクチンになぜ猛毒の水銀が入っているの?」
  • 「自閉症はワクチン病だった! しかもメーカーはそれを知っていながら隠していた!」
  • 「SARS-COV-2, COVID-19という分離も同定もされていないウイルスから,どうやってワクチンを製造しているのか製薬会社から説明してほしいです」
  • 「前橋市はインフルエンザワクチンに効果がないことを立証し集団接種を中止!!!→打ってはいけない?! インフルエンザワクチン ~特権構造が病気を作り出す~」
  • 「インフルエンザのワクチンも同じで異物を入れてますからね」

第6章 ワクチンの未来

  • 6-1 次世代ワクチンはどのようなものか
  • 6-2 導入が期待されているワクチン
  • 6-3 MRSA院内感染防止ワクチン
  • 6-4 マラリアワクチン
  • 6-5 エイズワクチン
  • 6-6 C型肝炎ワクチン
  • 6-7 1型糖尿病ワクチンの可能性
  • 6-8 がん免疫療法
  • 6-9 アルツハイマー病をワクチンで予防できるか
  • 6-10 高血圧ワクチンとそのメカニズム
  • 6-11 ピロリ菌除菌ワクチンとそのメカニズム
  • 6-12 新技術によるワクチンの大量生産の可能性
  • 6-13 バイオテロにワクチン防御は有効か?
  • 6-14 食べるワクチン
  • 6-15 国内のワクチン研究・開発・製造体制への不安
  • 6-16 日本はワクチン世界大戦に敗れるのか
  • 6-17 ワクチンに私たちはどう向き合っていくべきか

著者プロフィール

中西貴之(なかにしたかゆき)

著者。
1965年山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。総合化学メーカー宇部興産株式会社で1991年より新規医薬品の研究に従事,2011年より環境安全部門,製品安全部門を経て現職は品質統括部門。趣味はプラモデルとアニメ鑑賞,人工衛星鑑賞。主な著書に「製品含有化学物質のリスク管理」(技術情報協会),「実は面白い化学反応」,「身体をめぐるリンパの不思議」(以上技術評論社),「幹細胞の分化誘導と応用」(NTS)他。化学物質規制に関する担当者向けセミナー講師実績多数。


宮坂昌之(みやさかまさゆき)

監修者。
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授。1947年長野県生まれ。京都大学医学部卒業,オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科,スイス・バーゼル免疫学研究所,東京都臨床医学総合研究所等を経て,大阪大学医学部教授,同大学大学院医学系研究科教授等を歴任。2007~2008年日本免疫学会会長。医学博士・PhD。著書に『分子生物学・免疫学キーワード辞典』『標準免疫学』(ともに医学書院,共編著),『免疫と「病」の科学』『免疫力を強くする』(ともに講談社ブルーバックス)など。