知りたい!サイエンス
なぜ,体はひとりでに治るのか
―健康を保つ自然治癒の科学―
- 中西貴之 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2010.3.30[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 256ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4220-3
サポート情報
概要
私たちの心身は、皮膚をすりむいたり、ウイルスに曝露したり、さらには自分自身で勝手に傷ついたりと、常にどこかが傷んでいます。にも関わらず、ほとんどの場合は本人が気づくこともなく、ほったらかしのまま治っています。
なぜこのような現象が起きるのでしょう? その現象の源は「自然治癒力」です。この機能によって、私たちはほとんどの日常を平穏に暮らせるのです。
本書は、そんな「自然治癒力」にフォーカス。「自己再生機能」と「自己防衛機能」の観点から、そのメカニズムや可能性について、わかりやすく解説していきます。自分を含む生物の体の認識が、ちょっと変わるかもしれまんよ。
こんな方にオススメ
- 健康維持に関心のある方
- 「病気ってなぜ治るのだろう」と不思議に思う方
- 生物の身体メカニズムに興味津々な方
目次
第1章 体に備わる修復機能と防御機能
- 1-1 自然治癒力って何だ?
- 1-2 生まれながらに持っている病に打ち勝つ力
- 1-3 自然治癒と幹細胞
- 1-4 微生物をすまわせて病気や環境に抵抗する力を借りる
- 1-5 ホメオスタシスって何だ?
第2章 失っても元に戻る再生の力
- 2-1 幹細胞からの分化と臓器細胞からの脱分化
- 2-2 付加再生と形態調節
- 2-3 大量生産・大量消費の血液細胞
- 2-4 骨折は自然治癒の代表
- 2-5 たかが風邪に対しても全力で立ち向かう
- 2-6 血が止まるのはなぜ?――止血と血管再生
- 2-7 アキレス腱を切っても自然に治る仕組み
- 2-8 骨格筋の再生能力
- 2-9 脳も再生しちゃう!
- 2-9 失語症の回復メカニズムに見る脳の自然治癒
- 2-11 ホメオスタシスの要、皮膚の再生
- 2-12 きり傷やすり傷はどうして治る?
- 2-13 切っても切ってもまた元どおり――肝再生
- 2-14 小腸は日々再生している!
- 2-15 入れ歯のなくなる日は来るか?
第3章 敵だらけの世の中を生き抜く免疫のメカニズム
- 3-1 自然免疫による即時対応と、獲得免疫による情報記憶
- 3-2 自然免疫の主役は白血球
- 3-3 自然免疫が敵を見分ける単純な仕組み
- 3-4 マクロファージは何をするか?
- 3-5 複雑なサイトカインの仕組みをわかりやすく考えてみる
- 3-6 自然免疫における貪食の仕組み
- 3-7 天然の殺し屋――ナチュラルキラー細胞
- 3-7 獲得免疫による自然治癒と病気抵抗性メカニズム
- 3-9 侵入者と戦う細胞――獲得免疫編
- 3-10 免疫細胞はガン細胞にも立ち向かう
- 3-11 病気になることを予告する親切な自己抗体
- 3-12 自律神経と免疫の深い関係
- 3-13 “笑い”の効果の科学的検証
第4章 次々に発見される自然治癒と生体防御のシステム
- 4-1 自然治癒する人間の神経細胞
- 4-2 単なる脂と思うなよ! 脂肪細胞がガンを治癒
- 4-3 皮膚の外に、にゅ~っと手を出す免疫細胞の発見
- 4-4 自分の遺伝子を自分の遺伝子による攻撃から守る
第5章 脳や免疫系、心の作用による免疫システム
- 5-1 本当に病は気からか?
- 5-2 ストレスと疾患の関係
- 5-3 プラセボ効果
第6章 人間にはない動物たちの驚異の自然治癒
- 6-1 イモリやサンショウウオは、切った足も生えてくる
- 6-2 イモリは眼球も再生する
- 6-3 2つに切断したら2匹になって生き続けるプラナリア
- 6-4 昆虫の足の再生
- 6-5 組織再生の根本原則にあるアクチビンメカニズム
第7章 医療技術と自然治癒力
- 7-1 人工的自然治癒となる再生医療
- 7-2 東洋医学と自然治癒
- 7-3 自然治癒力を向上させる方法はあるか
プロフィール
中西貴之
1965年、山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。現在、総合化学メーカー宇部興産株式会社有機化学研究所で鋭意創薬研究中。趣味は中学時代に始めた写真。前著書で「腕が鈍って困っている」と書いた直後に写真雑誌の月例コンテストに入賞。これをもって最近の信念は「口に出せば願いはかなう」。地元下関の伝統芸能「平家踊り」では音頭取りを務める変わった研究者。著書に『最新科学おもしろ雑学帖』『人を助ける へんな細菌すごい細菌』(技術評論社)。日本質量分析学会、日本科学技術ジャーナリスト会議会員。