知りたい!サイエンスシリーズ知っているようで知らない免疫の話
--ヒトの免疫はミミズの免疫とどう違う?--
2010年7月22日紙版発売
西村尚子 著
四六判/240ページ
定価1,738円(本体1,580円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4334-7
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書籍の概要
この本の概要
生物には,外界からの異物を排除する機能―免疫―が備わっています。人間はいうに及ばず,細菌や植物の体内にも,しっかり免疫の機能があるのです。私たち生物がここまで進化できたのは,免疫のおかげといっても言い過ぎではないかもしれません。生物進化と共に発達を続ける免疫。しかし,その発達の歴史はどんな感じだったのでしょう?
本書では「免疫の勃興と発達」にフォーカスしながら,単細胞生物から人間に至る進化の歴史に鋭く迫ります。生命体内における外界からの異物との攻防戦の歴史……。知られざる生命進化にこうご期待!
こんな方におすすめ
- 免疫に興味のある方
- 生命の進化について気になる方
- マクロファージ,T細胞ファンな方
目次
第1章 都合が悪いものと,そうでもないものの区別
1-1 都合が悪いものと,そうでもないもの
- 異物を排除せよ。しかし過剰は禁物
- 免疫の世界へようこそ
1-2 免疫をもたなかった初期の生命
- 原始生命の誕生と淘汰
1-3 多細胞生物の登場
- 単細胞から多細胞,そして凍結……
- 苦難を乗り越え増殖,そして大爆発
1-4 免疫は突然変異がもたらした?
1-5 学問としての免疫学のはじまり
- まずはヒトデ,そしてヤツメウナギへ
- 免疫学の勃興,そして新たなるステージへ
第2章 免疫の萌芽
2-1 単細胞生物も免疫のしくみをもつのか?
- 病原体となるのはどんな生物?
- すべてが危ないわけではないが……
- ウイルスは細菌にも感染
- 制限酵素は「細菌がもつ免疫」といえる?
- 多細胞化にともなう,より厳密な異物の排除
2-2 自然免疫の基礎固め
- 多細胞生物,その分類
- ホヤってなに?
- ホヤにある“自己”と“非自己”
- ホヤの免疫は補体系が中心
- すでに高度化されていた「自然免疫」
2-3 昆虫の免疫 自然免疫の完成
- 昆虫,それは地球上で最も繁栄した動物
- 昆虫にも補体系はあるのか?
- ヒトにも共通する,抗菌物質を感知するしくみ
- 共生菌はなぜ攻撃されない?
2-4 植物の免疫
- 生命環境を作り上げた陸上の植物たち
- 植物にも免疫があるのか?
- 植物免疫の分子メカニズム
- 共生生物はなぜ異物として認識されない?
第3章 脊椎動物の免疫
3-1 5億年前に現れた抗体
- 遺伝子再構成とトランスポゾン
- 抗体は特殊部隊!?
- 鍵と鍵穴の関係で敵を無害化
3-2 脊椎動物の免疫を司る役者たち
- 免疫細胞の種類と機能
- 免疫細胞の産生と寿命
- リンパ器官とリンパ系
3-3 脊椎動物の免疫系の進化と特徴
- 円口類にはじまる脊椎動物の免疫
- 顎のある魚類では?
- 両生類,は虫類,そして鳥類
- ほ乳類からサル,サルからヒト
- ヒト白血球型抗原(HLA)とは?
3-4 病原体侵入! ヒトの免疫反応シミュレーション
- 病気を引き起こす「病原体」とは?
- 宿主が死ねば,自分たちも危うい……
- 感染防御の第一段階――粘膜と皮膚
- 病原体との闘い――炎症反応と自然免疫
- 獲得免疫の発動
3-5 病原体情報の記憶と保持
- 記憶保持のしくみ
- ワクチンへの応用と獲得免疫の限界
3-6 がんと免疫反応
- がん細胞はやっかいな異物
- がんの免疫治療
3-7 免疫細胞の分化経路が書き換えられる?
- 造血幹細胞からはじまる血液細胞の分化
- 古典的な分化経路モデル
- 教科書の書き換えをせまる,新モデルの登場
- 期待される医療への応用
第4章 明らかにされはじめた,免疫システムの分子メカニズム
4-1 膨大な種類の病原体に対応できる遺伝子再構成のしくみ
- 抗体レパートリーの謎
- 抗体の本体,免疫グロブリン
- 利根川博士が突き止めた遺伝子再構成のしくみ
- 本庶 佑博士によるクラススイッチのモデル
- クラススイッチのしくみ
4-2 病原体を種別に認識していた自然免疫
- TollとTLRの発見
- TLRの分類と機能
- 各TLRの反応経路
- DNAワクチン
4-3 ウイルスとインターフェロン
- 細胞内のウイルス感染感知メカニズム
- ウイルスの変異にも対応できるシステム
- 期待される医療への応用
第5章 免疫系の暴走と破綻
5-1 アレルギーと免疫の暴走
- 免疫系の暴走
- 暴走はなぜ起きる?
- 4タイプに分類されるアレルギー
5-2 免疫が自分を攻撃する病気
- 自己免疫疾患
- 内分泌腺の自己免疫疾患
- 全身性の自己免疫疾患
- 自己免疫疾患はなぜ起きる?
5-3 免疫系の破綻
- 免疫不全とは?
- エイズウイルスと感染のしくみ
- 免疫応答を回避するしくみ
- 生まれつきHIVに感染しない人も
- 治療薬とワクチン
第6章 免疫研究が切り開くインフルエンザ・花粉症・メタボの治療
6-1新型インフルエンザに立ち向かう
- 世界中で猛威をふるうH1N1新型
- タミフルとリレンザ
- 次世代の抗インフルエンザ薬研究
- さらなる新薬のための基礎研究も
- ワクチン,最後は自分の免疫力
6-2 スギ花粉症を根本から治すワクチン開発
- スギ花粉症は国民病
- 組み換え抗原を用いたワクチン
- 免疫寛容のしくみも明らかに
6-3メタボを脂肪組織の抗炎症で防ぐ
- 肥満とメタボリックシンドローム
- 脂肪細胞は諸刃の刃
- 新しいメタボ治療薬の開発に向けて
- 基礎研究と私たちの未来
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