知りたい!サイエンス
食べ物はこうして血となり肉となる
―ちょっと意外な体の中の食物動態―
- 中西貴之 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2009.7.25[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 248ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3926-5
サポート情報
概要
野菜を食べると体によい。牛肉を食べるとハッピーな気分になる。
食べ物は食べるだけで、健康に影響を及ぼし、気分にまで作用します。なんの変哲もないふつうの食べ物に、なぜそんなことができるのだろう?本書では、食事の役割を「栄養源を摂取する場」として捉え、食品がどのようなプロセスを経て栄養に変化していくのかを化学的に客観的に考えてみました。太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみましょう
こんな方にオススメ
- 食べ物が体内でどうなっていくのかに興味のある方
- 健康に関心を払っている方
- 生化学をさらっと学んでみたい方
目次
第1章 食品の中の天使と悪魔を「分子」で理解する
- 1-1 食品は分子になって旅をする!? 「食物動態」の世界へようこそ
- 1-2 タンパク質とアミノ酸で「高分子」と「低分子」を考える
- 1-3 食べた後の食品の振る舞いを4つに分類
第2章 海の恵みは身体に何をしているのか?
- 2-1 ビジネスマンの味方「タウリン」 ネコとタコにも必須のアイテム
- 2-2 「エイコサペンタンエン酸」と「ドコサヘキサエン酸」 赤ちゃん脳形成には欠かせない物質
- 2-3 アン肝に豊富な「ビタミンD」 骨の健康を担う大切な物質
- 2-4 イサキといえば「ビタミンB2」 これがないとエネルギーが作れない
- 2-5 カツオ節から流れ出す「ナイアシン」 エネルギー代謝に不可欠な必須ビタミン
- 2-6 ウナギにたっぷり含まれる「ビタミンE」 身体を巡って酸化を防ぐ健康の番人
- 2-7 肝油に豊富な「ビタミンA」 これがなければ世界が見えない……
- 2-8 コイといえば「ビタミンB1」 これがなければ元気が出ない……
- 2-9 タラに含まれる「グルタチオン」 有害物質にくっついて解読してくれる特殊な作用
- 2-10 イカ墨の栄養とタコ墨の不栄養
- 2-11 ビールにちょっとだけ含まれる「ベタイン」 大酒飲みは放射線に強いって、どういうこと?
- 2-12 海藻が持つさまざまな機能 牛肉並みのタンパク質、なのにヘルシー
第3章 動物性食品は身体に何をしているのか?
- 3-1 牛肉を食べるとハッピーなのには理由(わけ)がある
- 3-2 唯一食べられるために作られるタンパク質――牛乳
- 3-3 「コラーゲン」は美容によい? 牛すじを食べるのと変わらない?
- 3-4 味付けされた肉はなぜ色が悪い? 「アリシン」と肉色の不思議な関係
- 3-5 「オレイン酸」は身体の中で何をする?
- 3-6 卵白の緻密なメカニズム
第4章 山の恵みは身体に何をしているのか?
- 4-1 リンゴはどうやって中性脂肪を下げるのか? 「リンゴポリフェノール」の機能と体内動態
- 4-2 ニンジンは目には優しくガンにも効く? 「β-カロテン」の機能と体内動態
- 4-3 トマトと精巣の不思議な関係 「リコペン」の機能と体内動態
- 4-4 赤ワインは寿命を延ばす? 「フラボノイド」の光と陰
- 4-5 ワサビはヘリコバクター・ピロリにもガンにも有効? 「チオシアネート」と「イソチオシアネート」、似て非なるもの
- 4-6 クレソンを残さずに食べるとよいことがあるかも 「フェネチルイソチオシアネート」と大腸ガン
- 4-7 ほうれん草は血管に何をする? 「葉酸」の不足と動脈硬化
- 4-8 ネギを食べると頭がよくなる? 「トリスルフィド」で記憶力がアップする理由
- 4-9 ニンニクが血をサラサラにするには理由がある 「含硫(がんりゅう)アミノ酸」と血液の不思議な関係
- 4-10 ゴマを食べると酔いから早く醒めるのか? 「ゴマリグナン」が与える身体への影響
第5章 嗜好品と発酵食品は身体に何をしているのか?
- 5-1 大豆といえば「イソフラボン」 生活習慣病を予防するが、何事もほどほどに
- 5-2 茶といえば「カテキン」 日本茶・紅茶・ウーロン茶は身体に何をしているのか?
- 5-3 トウガラシ成分「カプサイシン」と「カプサンチン」 メタボ対策にトウガラシは効果あるのか?
- 5-4 ヨーグルトに隠れる秘密の物質 善玉菌サポートと菌に頼らないサポート
- 5-5 チョコレートの習慣性は薬物作用? 味と雰囲気で魅了する不思議な食べ物
第6章 食品中の向精神作用性物質は身体に何をしているのか?
- 6-1 コーヒーは身体に何をするのか? 複雑怪奇なコーヒーの成分とその作用
- 6-2 お酒は悪魔か? 悪魔か? 理性を抑え本性をむき出しにするアルコール
- 6-3 毒キノコは身体に何をするのか? 旨味と毒は紙一重
- 6-4 何を食べれば健康で長生きができるのか? 単純には解明できない食品の作用
プロフィール
中西貴之
1965年、山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。現在、総合化学メーカー宇部興産株式会社医薬研究所で鋭意創薬研究中。心を落ち着かせるときにすることは掃除。地元下関市の平家一門の御霊を鎮める伝統芸能「平家踊」で音頭取りを務める継承者。著書に『からだビックリ! 薬はこうしてやっと効く―苦労多きからだの中の薬物動態―』『食品汚染はなにが危ないのか-ニュースを読み解く消費者の科学-』(技術評論社)他。
日本質量分析学会、日本科学技術ジャーナリスト会議会員。