付加価値ファースト
〜常識を壊す旭鉄工の経営〜

[表紙]付加価値ファースト 〜常識を壊す旭鉄工の経営〜

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四六判/368ページ

定価2,640円(本体2,400円+税10%)

ISBN 978-4-297-13891-2

電子版

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書籍の概要

この本の概要

  • 「収益性が低く,事業を将来も継続していけるか不安だ」
  • 「新しい取り組みに着手しようにも社内の抵抗が大きい」
  • 「環境への配慮が必要だが,コストを掛ける余裕がない」

そんな会社を経営経験ゼロから変えていき,収益を10億円改善しつつ,CO2排出量を21%削減できた秘密とは?

  • 変革に必要なのはIT人材ではなく,経営者がDX人材になること
  • 「見ザル」「言わザル」「使わザル」改善を阻む“三ザル”をなくす
  • ChatGPTとカイゼンの上位概念「イマドキフキソカチ」でカイゼンを民主化
  • 売上が増えても利益は増えない,限られた売上高でも生き残るようにする
  • 社長自らSlackで発信,挑戦や情報共有がしやすい風土をつくる
  • 利益を増やしてCO2を減らす“儲かるカーボンニュートラル”を実現
  • 自社のDXの成果をサービス化,会社の枠を越えてノウハウを共有

トヨタ自動車での18年間にわたる車両開発で培われたエンジニアリングセンス,トヨタ生産方式の知識,現地現物を大事にする姿勢の3つを融合させ,実践で叩き上げた斬新な経営ノウハウを全公開。

こんな方におすすめ

  • 企業変革の活きたノウハウを知りたい方
  • DXを実現したい方
  • 改善の回し方を知りたい方
  • カーボンニュートラル推進の方法を知りたい方

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著者の一言

目次

はじめに

  • 旭鉄工の2つのDX
  • 必要なのはIT人材ではなく経営者自身がDX人材になること

第1章 会社の変革にあたり持つべき3つの視点

付加価値ファースト

  • 「今までやってきた=正しい」わけではない
  • 考えるべきは付加価値=アウトプットの増大
  • 自分が変わる,周囲も変える
  • デジタルで楽をする
  • トヨタ生産方式はIoTで進化する
  • カイゼンの目的は人減らしではない
  • 儲からないカイゼン

困難を突破する覚悟を持つ

  • 自動車部品製造業の3つの脅威
  • 「変革を止める=生き残りを諦める」こと
  • 「だれ1人取り残さない」の罠 ~全員が幸福になる施策などない
  • DXはDよりX,三ザルを退治する

とにかくやってみる

  • やらないと取り残される
  • やらない言いわけをしない
  • とりあえずやってみるからうまくいく
  • 方向を明確に示して任せる

第2章 見える化すべきは数値ではなく問題

問題がないのではなく,見えてないだけ

  • 見えない問題は直らない
  • 旭鉄工が重視する3つの見えない問題

24時間365日データを自動収集し,問題を見える化する仕組みをつくる

  • トヨタと同じようには管理できない
  • データの収集と処理はシステムに任せる
  • iXacsの基本的な動作アルゴリズム
  • 人の手を煩わせず数値を分析し問題を見える化
  • IoTは監視ではなく現場のアピールの道具

データ収集にあたっての考え方

  • 収集するデータは目的から決める
  • 経営的な視点で考える
  • データの精度より活用・実行
  • 対象ラインは効果が大きそうなところを選び,スモールスタートで効果を出しながら広げる

第3章 儲かるカイゼンの仕組み

経営と現場のカイゼンをつなげる

  • デジタルの力を借りてPDCAを高速に回す
  • コラム 「カイゼン」と「改善」の違い
  • 製造ラインの目標を経営とリンクさせる
  • 「ラインストップミーティング」でチームでPDCAを回す
  • 横展ボードで進捗とノウハウを共有する
  • 「変遷図」で目標と現在の実力との乖離を把握
  • 主要4項目の日々の数値をチェックする
  • カイゼンで労務費が抑制される仕組み

データでカイゼンの切り口を探す

  • 影響の大きい停止要因は何か?
  • サイクルタイム遅れか,チョコ停か,ドカ停か?
  • 人や時間によるCTバラつきはないか?
  • 対策アイテムを積み上げる ~できるまでやる
  • 「横展卒業式」で社長に報告する ~カイゼン効果はサチらない
  • コラム 在庫の低減は目的ではなく,カイゼンの副次効果
  • 収支フォロー会議で月次決算の分析と現場のカイゼン進捗フォローを同時におこなう

第4章 挑戦する風土への変革

風土を改革するのは仕組みではなく行動

  • 自分が変化することでしか風土は変えられない
  • 自分ごとと取るか,他人ごとと取るか
  • 旭鉄工の4つの風土改革

付加価値ファースト

  • 他社がやってないことをやる
  • 価格競争より価値競争
  • 付加価値のない作業はやめる

失敗を恐れずやってみる

  • 費用の低減よりも効果の最大化を考える
  • 小さな挑戦の機会を作る
  • 怪我以外は失敗していい
  • 詳細な計画立案を求めない
  • 細かい指示をしない
  • 完璧を求めない
  • 直接関係ない領域に手を出してみる

ほめる・楽しくやる

  • お金よりもほめられることこそが報酬
  • 横展卒業式で社長自らカイゼン活動をほめる
  • 遊び心を持つ
  • メディアへの露出に積極的に取り組む

情報・ノウハウを共有する

  • Slackを利用し,投稿を促す工夫をする
  • Slack上でノウハウを共有
  • コラム 旭鉄工のカイゼン活動はゲーミフィケーション

第5章 カイゼンの民主化

カイゼンのナレッジマネジメント

  • ムダを見つけるには「足を見て,手を見て,目を見よう」
  • 「横展アイテムリスト」がカイゼンをスピードアップする
  • カイゼンの9つの上位概念「イマドキフキソカチ」

カイゼン人材を育成する組織をつくる

  • カイゼン人材の増やし方
  • カイゼン市民ランナーを育成する

ChatGPTでカイゼンの民主化を推し進める

  • ノウハウが増えるほど探すのが難しくなる
  • 生成AIをノウハウ集約・展開の責任者に任命
  • 会社の枠を越えてノウハウを共有
  • カイゼン活動を非競争領域に

第6章 限量経営のための原価管理と利益管理

生き残りをかけた限量経営

  • 損益分岐点を下げて生き残る
  • 利益体質と損益分岐点を線で見極める
  • 利益体質を大幅に改善(損益分岐点29億円低下,利益10億円増)
  • 売上と利益の関係を改善するために必要な2つのこと

原価を正確に把握し低減をおこなう

  • 可動率がわからないから損失が見えない
  • 労務費とエネルギー費以外の原価の算出を見直す
  • IoTデータは交渉の武器

適切な売価を設定する

  • 「売価が安い=競争力」ではない
  • 原価低減を伴わない売価低減は厳禁
  • 「原価企画会議」で原価低減と利益確保の両方をチェックする

さらなる付加価値の見える化と追求

  • 製造現場と経営層が同じ経営指標を管理する
  • 「総付加価値額」の最大化を狙う
  • これから重要になる2つの指標
  • コラム 正常を管理するな,異常を管理せよ
  • 指標を改善するのは製造現場だけの責任ではない

7章 儲かるカーボンニュートラルの秘密

コストをかけずムダの排除でCO2排出量を低減

  • カーボンニュートラルを推進しなければならない理由
  • 中堅中小のカーボンニュートラル推進は省エネから

ムダを見える化する

  • 見える化すべきは数値ではなく問題
  • 製造業の待機電力は一般家庭よりひと桁多い
  • 蛍光灯さえ消せば省エネしてると思ってた
  • 電気使用量のデータだけではムダが見えない
  • ムダな電力の分析方法
  • ムダな電気使用量が見えるメリット
  • 電気使用量を低減する手法と順番

待機電力の削減

  • 待機状態を3つに分ける
  • ①大きな待機電力を消費する時間を短くする
  • ②待機電力そのものを小さくする
  • コラム 「電源切ってます」と言っても……

停止電力の削減

  • ①停止時間を短くする
  • ②停止電力そのものを小さくする

正味電力の削減

  • サイクルタイムを短縮して,時間あたりの出来高を増やす
  • 電力変遷図をもとに生産性向上と電力低減を同時におこなう

その他電力の削減

  • 設備の電源とエアの供給を連動して漏れを低減

電力削減を進める仕組みと成果

  • 横展アイテムリストの電力バージョンでさらなるCO2排出量削減へ
  • カイゼンによりCO2排出量はどれだけ削減できたか
  • データを使ったカーボンニュートラル推進の6つのステップ
  • コラム 旭鉄工でおこなっているCO2排出量の見える化

第8章 自社のツールとノウハウの外販

DXサービスをつくる

  • 既存の現場とリソースを活かして新しい付加価値を生み出す
  • DXサービス構築の留意点

カイゼンをKaaSとしてサービス化

  • 問題を直さないと意味がない
  • ①IoTモニタリングサービスiXacs
  • コラム iXacsのコストパフォーマンスを計算すると
  • ②伴走支援
  • ③IoT改善塾(旭鉄工流カイゼン活動の実践)
  • コラム i Smart Technologiesのその他のサービス

第9章 さらなる付加価値の追求と創造

経営指標から社会インフラへと広がるIoTデータの可能性

  • IoTデータから計算される指標と実際の経営指標数値の相関
  • コラム IoTで決算数値を予測する
  • IoTサプライチェーンマネージメント

製造IoTデータの他領域での活用の可能性

  • 金融機関での活用
  • IoTデューデリジェンス
  • リース会社での活用
  • IoTマクロ経済把握と予測
  • コラム 生産個数ではなく付加価値額での比較が必要

経営のアルゴリズム化

  • 経営GAIが付加価値ファーストを加速する
  • 人間に求められることとは

著者プロフィール

木村哲也(きむらてつや)

旭鉄工株式会社 代表取締役社長。i Smart Technologies株式会社 代表取締役社長 CEO。

1992年東京大学大学院工学系修士修了,トヨタ自動車に21年勤務。おもに車両運動性能の開発に従事後,生産調査室でトヨタ生産方式を学び2013年旭鉄工に転籍。製造現場はもちろん,経理,営業でもIoTデータを活用する体制を構築し,労務費を年4億節減するなどで損益分岐点を29億円下げ,同じ売上高で利益を10億円上乗せ。電力分CO2排出量もすでに26%低減など大きな成果を上げる。

「旭鉄工の成功ノウハウを他社でも役立てたい」と「i Smart Technologies株式会社」を設立し,IoTモニタリング,データ分析,改善指導までトータルで生産性向上を実現するKaaS(Kaizen as a Service)を全国展開。その実績が評価され,2018年に経済産業省主催「第7回 ものづくり日本大賞 特別賞」を受賞するなど受賞歴多数。これまで数百回の講演,100社以上の改善指導実績あり。

著書に『Small Factory 4.0 ~第四次「町工場」革命を目指せ!』(三恵社)がある。日本デジタルトランスフォーメーション推進協会アドバイザー。

【ホームページ】 http://www.asahi-tekko.co.jp/https://www.istc.co.jp/
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