最高の働きがいの創り方
- 三村真宗 著
- 定価
- 1,958円(本体1,780円+税10%)
- 発売日
- 2018.9.8
- 判型
- 四六
- 頁数
- 320ページ
- ISBN
- 978-4-297-10039-1 978-4-297-10040-7
サポート情報
概要
- 「情報が隠される」「社員同士が協力しない」「疑心暗鬼の空気が広がる」
そんな人間不信から、Great Place to Work(働きがいのある会社)ランキング1位(従業員100~999人部門)、4年連続ベストカンパニーを受賞するまでに至った、その秘密とは?
SAP、マッキンゼーを経て、コンカーの社長として年平均成長率86%という飛躍を実現してきた著者が、その成果を支える文化・仕組み・制度の裏側を初公開。
- すべての社員から会社の課題や改善策を吸い上げる「コンストラクティブフィードバック」
- 業務を離れて問題や未来を議論する「オフサイトミーティング」
- 社員の立候補で課題の解決にあたる「タスクフォース」
- 四半期に一度、会社の戦略・方向性を分かち合う「オールハンズミーティング」
- 処遇の不平等感をなくす「ジョブグレード」
- タテ・ヨコ・ナナメで双方向のコミュニケーションを活性化させる「コミュニケーションランチ」「タコランチ」 「マメランチ」「タメランチ」「ミムランチ」
- 採用率を3%に抑え、採用候補の分母を増やしていい人材を獲得する「採用エージェントへの方針説明会」
- 全社員の心身の健康状態を把握する「パルスチェック」
など、あなたの職場をいますぐ変えるためのヒントが満載!
こんな方にオススメ
- 自社のパフォーマンスを最大化したい経営者の方
- 自部署の成果を高めたい管理職の方
- 人材の採用、教育、働き方の改善などの具体策を知りたい人事担当者の方
目次
- はじめに 最悪の状況から、いかにして「働きがいのある会社」になれたのか
序章 SAP、マッキンゼー、そして失敗から学んだ組織の法則
- 「終身雇用は絶対に終わる」と思ったから創業まもない外資系日本法人へ
- 人材が少ない会社に行ったほうが責任ある仕事を任せてもらえる
- ビジョン、ミッション、価値観、戦略を描いて共有しておけば、マイクロマネジメントは不要になる
- 異例のマッキンゼー入社、給料大幅ダウンの選択をして得られたもの
- わずかなミスで、悪い文化は澄んだ水に墨を落とすように広がっていく
- 「あるべき姿」を描いたら会社が変わっていった
第1章 最高の働きがいは企業文化の醸成から生まれる
人材という最も希少な経営資源の価値を最大限発揮させるには
- ヒトのパフォーマンスはアップサイドもダウンサイドも無限
- 働きがいを高める3つのドライバー
- 「信念」「文化」「実行」の枠組みで働きがいの3つのドライバーを促進する
信念「コンカージャパンビリーフ」
- ミッション
- ビジョン
- コアバリュー
文化「高め合う文化」
- フィードバックし合う文化 ~建設的に、すぐに、相互にフィードバックすることで、社員同士の成長をうながす
- 教え合う文化 ~教え合うことを通じてお互いに成長していく
- 感謝し合う文化 ~やってもらって当たり前ではなく、感謝の気持ちを伝える
実行「働きがいを高めるオペレーション」の全体像
- ①戦略の可視化・実行
- ②モニタリング・フィードバック
- ③認知・感謝
- ④連帯感・コミュニケーション
- ⑤人材採用
- ⑥人材開発
- ⑦人材評価
- ⑧働きやすさ
第2章 【戦略の可視化・実行】社員に高い視座を持ってもらい、最高のパフォーマンスを発揮できるようにする
四半期に一度、会社の戦略・方向性を分かち合う「オールハンズミーティング」
- 情報を開示すればするほど、意欲や信用は高まり、協力が生まれる
- いいことだけでなく課題も共有するから、社員が経営に近い感覚を持つようになる
- 発表の場を作ることで、戦略を整理するリズムができる
業務を離れて問題や未来を議論する「オフサイトミーティング」
- 環境を変えれば、スイッチを切り替えられる
- 合宿での議論を実行へとつなげる5つのステップとは
- 役割や役職を超えた議論を通じて心が1つに
- 会社の状況が変化すれば、オフサイトミーティングのテーマも変化していく
- オフサイトミーティングの準備はいつも真剣勝負
- 大きな組織であっても全社員が参加して合宿を開催するヒント
危機から再生へ。オールハンズミーティングとオフサイトミーティングを通じた取り組み
- 2018年4月第2四半期オールハンズミーティング:強烈な危機感を共有して目を覚まさせる
- 2018年7月第3四半期オールハンズミーティング:危機意識から希望へのターンアラウンド
- 2018年7月第6回オフサイトミーティング:Reborn(再生)に向けて
社員の立候補で課題の解決にあたる「タスクフォース」
- 社長が手を動かして会社の課題を整理することが、社員へのメッセージになる
- 「重要度が高く、実現容易度も高い」アイデアを最優先に
- やらされるのではなく、やりたい人がやるからうまくいく
大局観を持って営業する
- 戦略を共有することで営業のスタイルが変わる
- 部門長の人間性が、その部署のカルチャーになる
第3章 【モニタリング・フィードバック】良いことも悪いこともきちんと受け止め、次の一手を打つ
すべての社員から会社の課題や改善策を吸い上げる「コンストラクティブフィードバック」
- 「何をしているのかわからない」「動いてくれない」……組織が膨らむと部門がサイロ化していく
- 「上司部下関係なく言い合える風土」が求心力を生む
- 批判は「改善点」になるのだから、仕組みとして吸い上げればいい
- 「シンプルさ」と「定期的な実施」でフィードバックの億劫さを小さくしていく
- ネガティブなフィードバックでも、アンケートの内容は1つのファクトになる
- 聞いたっきりにせず、みんなの課題として議論するから、またいい声が集まっていく
建設的に、すぐに、相互にフィードバックすることで、社員同士が「高め合う」文化が生まれる
- 高め合う文化の浸透で、いつでも建設的なフィードバックができる環境を作る
- 実行度合いを仕組み化することで、フィードバックの浸透度を目に見えるものにする
- 合言葉によってフィードバックを根付かせる
全社員の心身の健康状態を把握する「パルスチェック」
- ストレスチェックや、年1回の調査では、問題が見えてこない
- 「自分が書いたものが、上司にそのまま筒抜けになる」と社員が考えないように、社長と管理部長だけに名前がわかるように
すべてのお客さまの生の声を聞くことで、マーケットが求める戦略を生み出す
- 耳の痛い話も「あえて聞きたい」
- 会社の姿勢が社員へのメッセージにもなる
第4章 【認知・感謝】貢献を目に見える形にして、全員で共有する
数字に表れにくい貢献にも光を当てる「従業員アワード」
- 非営業系の社員もしっかり評価しよう
- さまざまな「部門賞」を設けることで、光を当てる人を増やす
- 全社員からの推薦で、マネージャー層には見えていない真の功労者も称えられるように
- 照れくさくて普段はなかなか言えない感謝の気持ちを「仕組み」で集める
- 「やってあげるからポイントをつけてね」となっては意味がない、頻度が高すぎると形骸化してしまう
- 青臭さは、ともすると、シラケにつながってしまう
クライアントも表彰する「ベストリファレンスアワード」
- お客さまの息づかいを社員に知ってほしい
- 採用時点で7割のお客様に事例として紹介することにご同意いただける理由
第5章 【連帯感・コミュニケーション】タテ・ヨコ・ナナメで双方向のつながりを強める
会社が費用負担 「ランチ」をうまく使う
- 上司との軋轢は「気づいたときにはもう手遅れ」となりかねない
- オフィスと違った場所でいいフィードバックを生み出す、上司との「コミュニケーションランチ」
- 直属の上司に言いづらいことも話しやすくなる、他部署の上司との「タコランチ」
- 新任マネージャーの悩みをフォローする「マメランチ」
- 社長自ら将来の夢やキャリアを聞く「ミムランチ」
- 新卒社員と他部門のメンター双方にメリットがある「タメランチ」
- 海外出張に換算すれば、かかる費用などたいしたものではない
社員が自発的に文化を作る「文化部」「CCO」「タスクフォース」
- なじみのない社員同士のコミュニケーションの機会を作る「バディ活動」
- 文化は資産、ならばお金がかかるのは当然
- コラム バレンタインを「紅白贈り物合戦」にすることで、n対nの義理チョコ義理クッキーがなくなる
- 文化づくりの推進役、CCO(チーフ・カルチャー・オフィサー)を任命
- 会話が生まれる仕組みを作る「コミュニケーションタスクフォース」
- 会社の課題や施策は必ずしも部門や組織の単位と一致しない、だからありがたい
麻雀部からヨガ部までさまざまな社内の「部活動」や「社内フェイスブック」
- 会社が部活動の費用を補助
- 社内フェイスブックの投稿の95%は非業務の内容
広いけど探しやすい、社員の接点を極力最大化する「オフィス」づくり
- 「ワンフロアに全社員が座る」というゆずれない想い
- 固定席は多めに、「タテ」と「ヨコ」が常に混ざるようにして、タコツボ化を防ぐ
第6章 【人材採用】採用率3%に厳選し、会社に溶け込んでもらい、辞めない仕組みを作る
応募の分母を増やすために「採用エージェントへの方針説明会」を開催
- 採用で妥協すると、ボディブローのように経営へのダメージになる
- 採用エージェントとの関係構築を人事部まかせにしてはいけない
- 知ってもらえなければ、好きになってはもらえない
- 採用こそ最大の経営戦略
コンカーを職場に選ぶ理由をネットで公開
- そもそも採用エージェントから候補者への情報提供量には限界がある
- 事前に知ってもらえるから、強い興味をもってもらえる
文化に合うかを判断するために「社長が必ず最終面接」をする
- 「仕事ができる」だけでは絶対に採用しない
- 「ソフトスキル」は履歴書には書かれていないから、感性で見るしかない
社員からの紹介を歓迎「紹介インセンティブ制度」
- なぜ、社員にインセンティブを与えても紹介が増えなかったのか
- 「会社に合う人」を社員がよくわかっているから、採用確率が高くなる
新しい社員を定期的にサポートする「フォローアップアクティビティ」
- 3カ月、6カ月、1年という目安のタイミングで、「困っていることはないか?」とヒアリング
- 問題を察知できないと、だいたい部下が辞めてしまい、組織の課題にも気づけない
名札で、ランチで「新たな社員を歓迎する仕組み」
- 「ジョイン・アス制度」で、ようこそ
- 社長と新入社員の交流を「ウェルカムランチ」として仕組み化する
第7章 【人材開発】長期の視点でキャリアを作ってもらう制度を作る
年初に考える「目標シート」で育成を促す
- 「長期の目標を持つように」と言っても、バラツキとムラが出てしまう
- なぜ、「3年後」ではなく「4年後」なのか
- 目標を置くことで、逆算して何をやればいいのかがはっきりしてくる
- 大きな目標や夢は大事、でも機会を仕組みとして作ってないと考えることもしない
スキルアップを支援する「教育制度」
- 四半期に一度、社内で開催する「ソフトスキル研修」
- 仕事に直接つながらなくても、間接的に活きてくればいい
- コラム 社員が教え合う「教え合う文化ワークショップ」
業務時間内に、会社に講師が来てくれる「英会話クラス」
- 「英語の勉強は業務の一環といっていいのではないか?」
- 先生を呼んでも、費用はたいして変わらない
- コラム 40歳から1年間で英語をマスターした勉強法
3カ月を上限として取得可能「留学のための休職制度」
- 何かを認めるなら、特例ではなく、制度化して公平に
- 仕事の状況、上司の判断をふまえたうえで制度を利用
上司に相談せずに異動希望が可能「インターナルジョブポスティング制度」
- 「異動においては全体最適が重要である」という認識を全社員が持てるように
- 1on1の前に「ディスカッショントピックス」をまとめておくと議論がぶれない
- 「半年後の定期異動をめがけて、出す人と入れる人を人事部に報告してください」なんてことをやっていたら、本当に必要なタイミングを逃してしまいかねない
第8章 【人材評価】納得感を最大化し、目立たない努力に目を配る
処遇の不平等感をなくすために「ジョブグレード」を作る
- 「同じパフォーマンスを上げているのに、前職の給与が違ったというだけで差がついてしまう」という不満
- 成果に応じた給与・昇給率を設定し、正しい給与水準に落ち着くようにする
- ジョブグレードがあるから成長を実感でき、「次はここを目指そう」とがんばれる
- 「育成」に視点を当て、目標管理、報酬制度、昇格・配置とリンクした仕組みにする
- 「仕事の複雑さ」と「職務の種類」で職群を作る
- リーダーシップ、チャレンジ、チームワーク、そして人材育成力をキーに定義づけする
- 会社の文化と理念が反映されるように定義を考え抜くから、求める人材が明確になる
- 「昇給にブレーキをかける」「減給を正当化させる」そんな誤解は起こりうる
最後は社長自身が全員の評価をレビュー
- 上司が評価を決める前に腹案をすりあわせておくことで、ギャップを少なくする
- できる人は「活動量」「スピード感」「規律」の3つがそろっている
外部から管理職を採用しない「内部昇格率100%」
- 中途で入社した管理職が機能しないケースは少なくない
- ぐっとこらえて、有望な社員が頭角を現すのを待つ
- 新任マネージャーは苦労する、だから着任2~3カ月前に発表する
- 「好き嫌い」で昇進が決まってしまわないよう、仕組みでヘッジする
- 人事で疑心暗鬼に陥らせないよう、しっかりと説明する
第9章 【働きやすさ】「ワークライフバランス」と多様性に配慮し、休みが取りやすい、柔軟に働ける仕組みを作る
休みやすい雰囲気づくりのため「有給休暇奨励日」を設定
- 有給休暇はなかなか消化し切れない、だから使う機会を会社が作ってあげたほうがいい
- 「わざわざ上司に言いに行く」「書類を提出する」手間をなくすと利用しやすくなる
配偶者や家族も受けられる「予防接種デー」
- 「面倒だから」をなくせばリスクを減らせる
- 家族は社員を支えている、だから会社でサポートしたい
産休・育休から復帰しやすい制度と雰囲気を作る
- 「シッター費用の半額補助」で待機児童問題に対応
- 女性社員だけの制度にしない、共働きならば男性社員でも状況は同じ
- 産休・育休休暇中でも情報をキャッチアップできる環境を整えておく
好きなときに勤務すればいい「100時間勤務制度」
- 「時短といっても、2時間繰り下げたり、繰り上げたりする程度では、普通に働くのとそれほど変わりはないのではないか?」
- 選択肢があるから、安心感が生まれる
在宅勤務の負の側面をいかに緩和するか
- コロナ禍で始まった在宅勤務は生産性と生活の質を大きく向上、しかし副作用も顕在化
- 在宅勤務に伴い開始した各種制度
- おわりに 「働きがいのある会社」づくりは、経営戦略である
プロフィール
三村真宗
株式会社コンカー代表取締役社長。1993年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間に渡り、BI事業本部 長、社長室長、CRM事業本部長、製品マーケティング本部長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。2006年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事。2009年、電気自動車インフラ会社であるベタープレイス・ジャパン株式会社において、シニア・バイスプレジデント。2011年10月から現職に就任。
2002年に日経コンピュータ「ITを変える50人」に選出。著書として『新・顧客創造』(ダイヤモンド社、2004年)、『次世代自動車 実用化と普及拡大に向けて』(共著・化学工業日報、2011年)、寄稿など多数。
著者の一言
最悪の状況から、いかにして「働きがいのある会社」になれたのか
2023年2月9日、Great Place to Work Institute Japan(以下、GPTW)が、2023年度 日本における「働きがいのある会社」ランキングを発表しました。ここで、従業員100人から999名の中規模部門において2018年から6年連続で第1位となったのが、私が社長を務めている株式会社コンカーです。このランキングで過去に連続して第1位になった最長記録は米Googleの日本法人であるグーグル合同会社が持つ5年連続でしたが、コンカーの6年連続での第1位は同ランキングにおいて史上最長記録となります。
また総合ランキングのほかにも、「働きがいのある会社」女性ランキング(中規模部門)でも2019年、2021年、2022年に1位となり、さらに若手ランキングでも2020年、2021年に1位となっています。
2021年には、総合ランキング、女性ランキング、若手ランキングの3部門で1位となり、3部門での1位獲得は同ランキングでは史上初の快挙となりました。
コンカーは、"コンカーエクスペンス"、"コンカートラベル"など、クラウドによる出張・経費管理ソリューションを提供しているIT企業です。日本市場で創業以来、年平均96%という驚異的な成長を遂げてきました。これは、コンカーの世界市場の中で歴史的に見ても最速。現在では、ヨーロッパの主要国を抜いて、米国に次ぐ世界第2位の規模になっており、コンカー全体の成長の牽引役となっています。利用企業には、トヨタ自動車、野村證券、三井物産、ファーストリテイリング、ソニー、KDDI、三井住友ファイナンシャルグループなど、日本を代表する企業がずらりと並んでおり、日本の時価総額トップ100企業における普及率は65社(2023年2月時点)。じつに国内トップ企業の2/3が、コンカーを使って経費精算や出張業務をおこなっています。
なぜコンカーの日本法人が、このような成長を遂げることができたのか。その背景としてまちがいなく言えるのが、働きがいのある会社になれたことだと私は考えています。
私は、「人材こそ最大の経営戦略」という経営方針のもと、人を大切にする経営を徹底してきました。情報を公開する。建設的なフィードバックをし合う。採用を厳選する。フェアな人事制度を作る……。
何より私が目指したのは、よい文化を作ることでした。社員同士が「高め合う」文化を持つ企業です。社員同士が立場や役職に関係なく活発にフィードバックし合う。それが社員の成長を促進し、風通しのよい雰囲気を生み出す。さらに、さまざまな仕組みや制度を結びつけることによって、日本における「働きがいのある会社」ランキングで6年連続の第1位という結果、さらには現在の驚異的な業績の成長につながったのだと考えています。
しかし、会社設立後、私がコンカーの最初の社長として就任した2011年からの1年間、コンカーは今とはほど遠い状況でした。社内にはオープンマインドはなく、「情報を手放すと自分のバリューが下がる」という一部の社員の考え方から、情報はまったく共有されない。だれもが疑心暗鬼になるような状況でした。一部の社員同士はいがみ合いから、怒声を飛ばし合うこともありました。結果として業績も大きく低迷してしまいました。
当初、さまざまな立ち上げ業務に追われていた私は、正しい人を採用し、正しい文化を築くような余裕がありませんでした。「とにかく即戦力を取らねば」と自分なりの吟味もせずに採用を推し進め、結果として「自分の結果だけ出せばいい」といった殺伐とした雰囲気が蔓延してしまいました。到底、働きがいどころではありません。
この状況から、いかにしてコンカーを「働きがいのある会社」へと変えていくことができたのか。それをお伝えしたくて、本書は生まれました。なぜなら、多くの会社に「働きがいのある会社」になってほしいから。それが、そこで働くビジネスパーソン1人ひとりのやりがいと幸せにつながり、そしてそのことが会社の成長にまちがいなくつながるからです。
政府が主導した“働き方改革”によって、日本のビジネスパーソンの働き方は大きく変化し、残業が常態化していたかつての状況から比較して「働きやすさ」は大きく改善したと言えます。特にコロナ禍を経てリモートワークも定着し、働き方改革も総仕上げの段階に入りつつあります。そうした状況で、多くの企業が次のステージとして取り組まなければならないと気づき始めているのが、本書のテーマである「働きがい」です。
しかし、残業削減、有休消化、リモートワークなど、打ち手が比較的わかりやすい「働き方改革=働きやすさ」に比較して、「働きがい」はつかみどころがなく、多くの企業がどこから手をつけたらいいかわからず悩んでいます。そんな悩みに本書が少しでもヒントになるよう願いながら、コンカーでの数々の取り組みや、その背後に流れる考え方をお伝えしていきたいと思います。