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AWSを活用することの難しさ

実際にAWSを利用してみると,以下のように難しい点もあります。

サービスが豊富にあるため,体系的に学ぶのが難しくどこから学んだらいいか難しい
→AWSは現在200を超えるサービスが提供されている(2022年4月時点)
アップデートが頻繁にあるため,日々アップデート情報を追いつつ,必要に応じて手順書を更新したり運用を見直す必要がある
→ブラウザからかんたんに構築できるものの,それだけに頼ることで,手順書のメンテナンスも検討しなくてはいけない
オンプレミス型と同様,セキュリティに注意する必要がある
→注意するポイントや観点はオンプレミス型と異なる

そこで,これからAWSを体系的に学ぶという方向けに,AWSの考え方や基本的な使い方を習得できるように,本書AWSの知識地図 〜現場必修の基礎から構築・セキュリティまでを執筆しました。

AWSを利用するにあたって,押さえてほしい部分について学べる本になっています。

AWSの考え方・思想を押さえる

AWSを利用するにあたり,考え方・思想について押さえることが重要です。

AWSを利用する際には,利用者側の責任か,AWS側の責任なのかを示す「責任共有モデル」を押さえる必要があります。利用者は基盤側の心配をすることなく,アプリケーションの開発に集中できます。

また,ほとんどのサービス・機能で従量課金モデルを採用しているので,事前に計算をしてどのくらい料金がかかるのか把握しておく必要もあります。

さらに,AWSで構築をしていくときのベストプラクティスの考え方(AWS Well-Architected Framework)について押さえておくことで,AWSでシステムを構築するうえでの信頼性・可用性・コスト効率の高いワークロードを設計・運用するためのベストプラクティスを学ぶことができます。

AWS CLIで環境を構築してみる

AWSの構築手法として,ブラウザで操作するAWSマネジメントコンソールから作業をするのか,CLIコマンドにて作業するAWS CLIでおこなうのかという選択肢があります。

AWSマネジメントコンソールでは,ブラウザ上からかんたんにGUIにてドラッグ&ドロップで操作したりボタンクリックで構築できます。しかし,AWSマネジメントコンソールの画面は頻繁にアップデートされるので,今まで覚えていた手順から操作が変わる可能性が大きいです。

AWS CLIで構築を学べば,一度コマンドを覚えればそのコマンドは変わることなく,慣れていくと作業スピードも上がります。

AWSのセキュリティの考えを学ぶ

AWSをはじめとしたクラウドサービスを利用するのに押さえる部分として,⁠セキュリティ」の考えは重要です。

悪意のある第三者におけるAWS環境への不正アクセスをどう防くかを学んだり,AWSを利用する際に使うIAMユーザーのポリシー・管理はどうしたらいいかを押さえる必要があります。とくに,ルートユーザーはすべての操作権限を持っているため,取扱いには十分に留意する必要があります。

また,もし不正にアクセスされてしまった際に,操作ログを溜めておいたり,不正利用の警告通知がきたらどうしたらいいかの対応方法を学んでおく必要があります。

現場で利用するAWSサービスを押さえる

AWSには,数多くのサービスが存在します。インフラストラクチャサービスだけでも,Amazon EC2のほかに,コンテナサービスやデータベースサービスも複数あります。それ以外でも,ストレージサービスやアプリケーションの開発のテストや実行を助けるサービスもあります。

さらに,ひと言で「AWSを利用する」といっても,データ分析や機械学習をおこなうケースや,メディア配信のサービスを利用しているというケースもあります。

本書では,上記で挙げた内容に触れつつ,AWSの利用に対して基本的な思想やAWS CLIでの構築手順,安全に利用するために抑えておきたいこと,その他現場で利用されているAWSサービスを学べるコンテンツになっています。これらを体系的に学習するのに,本書は一助になると思います。読み終わった際には,AWSの使い方,仕組みや勘所をつかめることになっているでしょう。

著者プロフィール

洲崎義人(すざきよしと)

クラスメソッド株式会社AWS事業本部コンサルティング部所属。
コールセンターシステムの営業,クラスメソッドのAWS営業を経て,2021年7月より同社のインフラエンジニアに転身。技術ブログDevelopers.IOにてAmazon Connectのブログを中心に執筆している。
ブログ:https://dev.classmethod.jp/author/suzaki-yoshito/