概要
「2025年問題」が間近に迫る介護業界。2014年度の介護サービス市場は8.6兆円の規模でしたが,2025年には18.7兆円と予測されています。介護や支援を必要とする人も2017年時点で633万人と,介護保険制度が施行された2000年からの17年間で約3倍に増え,今後さらに認定者数が増加することは間違いありません。国の社会保障の方針や介護保険に対する考え方が大きな影響を受ける介護ビジネス事業者は,2~3年に1度のペースで改正される介護保険制度について都度,対応を迫られます。この特殊な産業のビジネスモデルを理解するには,介護保険料や介護保険制度に基づく報酬のしくみを知らなければなりません。2024年からの第四期医療費適正化計画に対応した内容で,人手不足への対応策から,他業界の参入が著しい関連ビジネスまで,就活生はもちろん,新たなビジネスチャンスを探している人にも,気になる業界の最新動向がわかります。
こんな方におすすめ
- 介護スタッフや施設職員などのサービス従事者
- 周辺業界への参入者
目次
Chapter 1 介護業界を取り巻く現状と介護保険制度
- 01 2040年に向けての日本社会
少子高齢化の現状と課題
- 02 介護保険制度
全世代対応型の持続可能な社会保障制度と介護保険制度改正
- 03 介護保険制度改正のポイント①
地域包括ケアシステムの深化・推進
- 04 介護保険制度改正のポイント②
自立支援・重度化防止に向けた対応
- 05 介護保険制度改正のポイント③
良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
- 06 介護保険制度改正のポイント④
制度の安定性・持続可能性の確保
- 07 介護保険制度改正のポイント⑤
介護報酬改定の目的とプロセス
- 08 介護ビジネスとは①
介護保険ビジネスは制度ビジネス
- 09 介護ビジネスとは②
介護保険ビジネスの収入と将来性
Chapter 2 介護ビジネスの基礎となる介護保険制度
- 01 介護保険の始まり
社会保険のひとつである「介護保険」
- 02 高齢者を社会全体で支える
介護保険制度のしくみ
- 03 介護保険の財源
介護保険は保険料と税金で賄われる
- 04 要支援・要介護とは
要介護認定の流れ
- 05 介護保険サービスの種類
多岐にわたる介護保険のサービス
- 06 ケアプランとは
ケアプランとケアマネジャー
- 07 支給限度基準額とは
サービスを利用できる限度
- 08 介護報酬の支払い
介護サービスとお金
- 09 介護報酬とは
国が3年ごとに決めているサービスの値段
- 10 介護サービス事業者になるには
介護保険制度における介護サービス事業者とは
- 11 総合的な地域の相談拠点
地域包括支援センターとは
- 12 介護現場のスタッフ
介護現場で働くための資格と職種
Chapter 3 介護保険の「居宅サービス」の基礎知識
- 01 介護サービスを受けるために
自立するための計画を利用者とつくる「居宅介護支援(ケアマネジメント)」
- 02 在宅介護の要となるサービス
訪問介護員(ホームヘルパー)が居宅を訪問する「訪問介護」
- 03 入浴困難者が居宅で入浴するためのサービス
移動入浴車で訪問して入浴介助をする「訪問入浴介護」
- 04 居宅で受けられる医療サービス
在宅で医療処置が必要なときの「訪問看護」
- 05 自宅でリハビリを行う
リハビリ専門職が自宅で訓練する「訪問リハビリテーション」
- 06 自宅で療養の指導を受ける
医療専門職が自宅で指導する「居宅療養管理指導」
- 07 施設に通って介護サービスを受ける
日帰りで日中を過ごす「通所介護」
- 08 通いで行う機能訓練
日帰りでリハビリを行う「通所リハビリテーション」
- 09 短期間,施設で介護サービスを受ける
短期間,福祉施設に宿泊する「短期入所生活介護」
- 10 医療ニーズが高い要介護者が短期入所できる
短期間,医療系施設に宿泊する「短期入所療養介護」
- 11 福祉用具で自立を助ける
「福祉用具貸与(レンタル)」と「特定福祉用具販売」
- 12 自宅の環境を整えることで支援する
住み慣れた自宅で暮らし続けるために「住宅改修」
Chapter 4 「介護保険施設」と「高齢者向け住まい」の基礎知識
- 01 介護保険施設の概要
介護保険施設と運営法人
- 02 施設で暮らしながら介護サービスを
施設で介護サービスを受ける「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
- 03 在宅復帰を目指して
在宅復帰を目指してリハビリを行う「介護老人保健施設」
- 04 新たに法制化された施設
医療と介護が必要な高齢者のための「介護医療院」
- 05 老人福祉法に基づく施設
生活が困難な方のための「養護・軽費老人ホーム」
- 06 健康な人も入居できる施設
種類もいろいろ「有料老人ホーム」
- 07 高齢者が住みやすく,見守りサービスがある
高齢者向け賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅」
- 08 空き家,空き室を利用した安価な住まい
高齢者や障がい者が入りやすい「セーフティネット住宅」
- 09 新たなケアの選択肢としてのホスピス型住宅
医療依存度が高い患者のための終末期ケアに特化した「ホスピス型住宅」
Chapter 5 介護保険における「地域密着型サービス」
- 01 居宅で施設のようなサービスが受けられる
24時間,365日対応「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
- 02 夜間,介護職員が巡回
夜間の介護をサポート「夜間対応型訪問介護」
- 03 地域に密着したデイサービス
少人数で行うデイサービス「地域密着型通所介護」
- 04 家族のレスパイトケアにも
認知症専門のデイサービス「認知症対応型通所介護」
- 05 3つの機能がセットになったサービス
通い,訪問,宿泊を1か所で「小規模多機能型居宅介護」
- 06 認知症の人が少人数で共同生活
家庭的な雰囲気のなかで「認知症対応型共同生活介護」
- 07 通い,訪問介護,訪問看護,宿泊を1か所で
小規模多機能プラス訪問看護「看護小規模多機能型居宅介護」
- 08 地域の2つの施設
地域密着型の「介護老人福祉施設」と「特定施設入居者生活介護」
Chapter 6 高齢者を対象としたビジネス
- 01 介護予防ビジネス
高齢者がいつまでも元気に暮らすために
- 02 認知症関連ビジネス
認知症でも自立して暮らすためのサービス
- 03 生活支援・家事代行に関するビジネス
介護保険制度以外で日常を支える
- 04 地域に関するビジネス
制度の隙間を埋めるコミュニティビジネス
- 05 余暇に関するビジネス
趣味や特技からビジネスへ
- 06 食に関するビジネス
健康と食べる楽しさを提供する
- 07 整容に関するビジネス
高齢者の外出を促す整容ビジネス
- 08 高齢者施設紹介ビジネス
適切な住まいを選ぶために
- 09 身元保証サービス
ひとり暮らしの高齢者の保証人に
Chapter 7 「介護人材」に関わるビジネス
- 01 事業運営に欠かせない
介護職員の人材派遣・紹介ビジネス
- 02 在留資格「介護」の創設
外国人が介護職員として働く
- 03 開発途上国の人材を育成する
国際協力としての外国人技能実習制度
- 04 新たな在留資格
介護技能を有している外国人が就労可能となった「特定技能」
- 05 介護に関わる教育ビジネス①
国家資格「介護福祉士」を養成
- 06 介護に関わる教育ビジネス②
スキルアップをするための教育研修
Chapter 8 高齢者のための「モノ」のビジネス
- 01 介護施設などの設計・建築
高齢者が暮らしやすい「住まい」をつくる
- 02 在宅高齢者のための住宅改修
住み慣れた家で暮らし続けるために
- 03 福祉用具に関わるビジネス
自立した生活を助ける福祉用具
- 04 見守りに関する支援機器
離れていても高齢者の安全を守る
- 05 排泄に関する支援機器
負担の大きい排泄ケアを支援する
- 06 コミュニケーション支援機器
「聞こえ」の支援は認知症を防ぐ
- 07 高齢者に配慮した家具
「家具」が高齢者の安全を支える
- 08 共用品に関わるビジネス
誰もが使いやすいモノを
- 09 福祉用具の開発と普及
多くの人に「使いやすいモノ」を安全に安く使ってもらうために
Chapter 9 介護サービス事業者を対象としたビジネス
- 01 省コストに関わるビジネス
介護サービス事業者も経営の安定は重要課題
- 02 専門職が支援するビジネス
「弁護士」などの士業への相談が増加
- 03 資金需要に応える
ファクタリングサービスで資金繰りを支える
- 04 M&Aビジネス
今後の介護業界再編を目指して
- 05 業務改善に関わるビジネス
介護業界に「生産性向上」の視点を
- 06 介護サービスの質の評価
「サービス」の質を第三者が評価する
- 07 フランチャイズビジネス
フランチャイズで介護事業を起業する
- 08 介護サービス事業者の広報・広告
介護サービス事業の理念や内容を伝える
Chapter 10 介護ビジネスのリスクマネジメント
- 01 リスクマネジメント
介護事業におけるリスク
- 02 感染症対策
介護サービスにおける感染症対策
- 03 自然災害と高齢者
自然災害とBCP(事業継続計画)
- 04 介護労働における労働災害
介護職員の多くが抱える腰痛のリスク
- 05 従業員が受けるリスク
利用者やその家族からのハラスメント
- 06 情報のリスク
個人情報漏えいのリスク
- 07 苦情対応
利用者や家族からの苦情リスク
Chapter 11 介護業界・介護ビジネスの未来
- 01 超高齢社会の近未来
近未来の介護サービス事業
- 02 認知症高齢者の増加
全国の自治体に広がる認知症条例
- 03 民間の介護保険
民間介護保険と認知症保険
- 04 介護離職に関する支援ビジネス
企業の介護離職を防ぐ支援ビジネスも
- 05 エイジレス社会
介護が必要な高齢者は約2割
- 06 高齢者の就労
働きたい高齢者のためのビジネス
- 07 どうする? 介護費用
注目される「リバースモーゲージ」
- 08 高齢者とモビリティの問題
どうする? 高齢者の移動手段
- 09 高齢者にやさしいまちづくり
歩いて暮らせるコンパクトシティ
- 10 ICT技術でサービス変革を
介護現場に広がるDX
- 11 介護用ロボットの可能性
介護用ロボット開発の未来
- 12 日本の介護を海外へ
アジア諸国に対する介護サービスの輸出