新春特別企画

LibreOffice/Apache OpenOfficeの2016年振り返りと2017年

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新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

LibreOfficeの2016年は,相変わらずアグレッシブに開発が進み,見えるところ,見えないところでさまざまな変化がありました。

また昨年は,久しぶりに(悪い理由で)Apache OpenOfficeが話題に登ったので,今回は詳細に解説することにしました。もちろんメインはLibreOfficeであることはいつもと変わりありません。

それでは,今年もしばしお付き合いください。

注意
本稿で記述している日付はJSTであったりUTCであったり,はたまたほかのタイムゾーンであったりするため,最大で1日程度の差があることをご了承ください。また多数リンクがありますが,中にはご覧になっている時点でリンク切れのものもありえます。こちらもあらかじめご了承ください。そのほか,行き交うメールの量が膨大すぎて全部に目を通せないため,見落としているものもあるかもしれません。何かお気づきの点があればコメントいただけますと幸いです。

2016年のLibreOffice

まずは,2016年のLibreOfficeについて振り返ってみます。

リリース状況

LibreOfficeは昨年もたくさんのリリースが行われました。以下が一覧です。開発版は含んでおらず,あくまでリリース版のみです。

リリース日 バージョン
2月10日 5.1.0
2月16日 5.0.5
3月10日 5.1.1
4月7日 5.1.2
5月12日 5.1.3
6月23日 5.1.4
8月3日 5.1.5
8月3日 5.2.0
9月7日 5.2.1
9月29日 5.2.2
10月27日 5.1.6
11月3日 5.2.3
12月22日 5.2.4

合計13回と昨年の15回より減っていますが,単純にX.Y.7がリリースされなくなったからです。

5.1系列は既にサポート切れですが,Ubuntu 16.04 LTSのLibreOffice 5.1系列は2016年4月より5年間サポートが継続します。あるLibreOfficeのバージョンを長く使いたい場合は,このようにサポート期間の長いLinuxディストリビューションを使用するか,サポートサービスを購入する手があります。

John McCreeshさん死去

The Document Foundation(以下TDF)の設立メンバーであり,『Next Decade Manifesto』(次の10年のマニフェスト)の著者であるJohn McCreeshさんが1月16日に亡くなりました

筆者はこのマニフェストを読んでLibreOfficeの成功を確信したので,あらためて読み直したいところです※1)。少なくとも6年間はこのマニフェストのとおりに進んできたことは,誇りに思うべきことでしょう。

※1
一応日本語訳もあるのですが,母語と母国語を誤訳しているという非常に残念なものとなっています。

大きな変更点

昨年,LibreOfficeに起きた大きな変更点や出来事を見ていきます。

CommonSalLayout

LibreOfficeは言うまでもなくマルチプラットフォームなアプリケーションですが,実はテキストレイアウトに関してはプラットフォームによって差異がありました。これを統一するように開発が進み,5.3からはその仕組みが取り入れられました。CommonSalLayoutというクラス名が使用されているため,ここではこの機能をそう呼びます。

CommonSalLayoutのメリットは,前述のとおりプラットフォームごとにテキストレイアウトの表示の差異がなくなること,プラットフォームごとに修正する必要がなくなり,メンテナンスが容易になることが考えられます。デメリットとしては,既存のドキュメントのレイアウトが崩れる可能性があること,使用できなくなるフォントがあることが考えられます。

少なくとも5.3では,環境変数SAL_NO_COMMON_LAYOUTの値に何かを指定することで,従来のレイアウトも使用できます。しかし,将来的にはソースコードから削除される予定のため,5.3がサポートされている今年中にはお使いのドキュメントの点検が必要でしょう。また,Windowsでこの機能をフル活用するにはWindows XPサポートを切る必要があるため,早ければ次のバージョン(5.4?)からWindows XPでは動作しなくなることもありえます。

新旧どちらのレイアウトエンジンを使用しているかは,[ヘルプ][LibreOfficeについて]で確認できます図1図2)。

図1 “Layout Engine: newの文字列が表示されている

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図2 “Layout Engine: oldの文字列が表示されている。ちなみに図1と図2でもレイアウトは異なっており,例えば筆者の名前の一部であるAWAが,図2だと文字が詰まっていて見にくい

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OpenOffice.orgの呪縛から解き放たれ,メンテナンスが容易になる上に読みやすくなるので,歓迎すべき変化といえるでしょう。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。

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