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シンプルな運用管理を実現する『WebSAM』  NEC 吉羽幹夫氏

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NECの『WebSAM』は,複雑化するITシステムをシンプルに運用管理する全体統制型システムです。また,大規模環境向けのWebSAM以外にも,小規模向けの『WebSAMオフィス』という系列の製品も販売しており,中小規模向けシステムに利用されています。さらには,米国のEMC社との協業も発表され,今後はEMCの製品であるSmartsとの相互供給を行うことで製品の強化が図られていくものと思われます。

NEC第一システムソフトウェア事業部エンジニアリングマネージャーの吉羽幹夫氏は,1994年にNEC入社,ワークステーションEWS 4800上のUNIX OSの開発を皮切りに,OSやミドルウェアの開発,企画,プロモーションなどを担当し,2006年からWebSAMの開発やマーケティングに携わっています。今回,ご多忙な吉羽氏にお話を伺う機会を得ましたので,WebSAMの特長であるシンプルな運用管理とは具体的にどういうことなのか語っていただきました。


シンプルに可視化,判断,改善

編集部:では,まずWebSAMの製品概要について説明をお願いします。

NEC第一システムソフトウェア事業部
吉羽幹夫氏

NEC第一システムソフトウェア事業部 吉羽幹夫氏

吉羽氏:今年の3月にWebSAMのバージョン7を出荷しましたが,キーワードはシンプル運用管理というものです。というのも最近のITシステムはやれ仮想化だ集中化だといって,かえって複雑化してきていて,中がどうなっているのかが見えにくくなってしまっています。ブラックボックスの部分が多いため,システムを管理している担当者は運用面でトラブルに直面することが多いのです。WebSAMは,システムの中で今何が起こっているのか,それによってシステム全体にどう影響するのか,そしてどういった対処を施すべきかを,簡単に可視化でき,判断でき,そして対処できるのです。簡単に言うと,複雑化するITをシンプルにする製品です。

編集部:製品はどんな構成なのですか?

吉羽氏:大きく分けて,統合管理や資産管理などを行う「コーポレート・マネジメント」,ジョブ管理やソフトウェア配布,バックアップなどを行う「オペレーション・マネジメント」,サーバ管理,ネットワーク管理,アプリケーション管理を行う「システム・マネジメント」から構成されています。

編集部:運用管理システムというのはいつごろから出始めたものなのでしょうか?

吉羽氏:2000年ちょっと前ぐらいから各社から出荷され始めました。ただ,こうした製品は機能をどんどん追加していくため,機能同士の連携がとれなくなってしまう傾向にあります。この機能を使っているときに,他の機能も使おうとすると,もう1台別のモニタが必要になってしまうといった問題が起こるのです。これが各社の悩みの種でした。そこでWebSAMでは機能間の横のつながりがきちんとできるように土台からもう一度作り直し,WebSAMフレームワークという基盤を構築し,情報をシンプルに一元管理して,あらゆる機能が連携をとれるようにしました。

編集部:トラブル発生時の対処がシンプルかつ適切に行えるそうですが。

吉羽氏:問題が起きたとき,エラーメッセージとエラー番号がポンと出てきて,なんのエラーかよくわからず,結局は分厚いマニュアルを紐解くしかないなどといったことは,ソフトウェアの開発に携わった人であれば誰しも経験していると思います。WebSAMはあらかじめ対処方法が技術されたファイルをインポートしておくことで,障害時には何のトラブルなのかを 適切に判断し,対処方法のメッセージを出力することで迅速かつ確実に対処できるようにしています。NECでは,これをナレッジと呼んでいるのですが,対処履歴をその都度登録,蓄積していくことができるので,ナレッジはどんどん成長し,運用ノウハウの資産と生かせます。このナレッジは非常に注目されていて,自分のところのシステムにナレッジを入れたいというパートナーの要望がかなりあります。

小規模向けのWebSAMオフィス

編集部:WebSAMを導入するのはサーバが50台も100台もあるような大規模な会社だと思いますが,小規模のシステム向けのWebSAMオフィスという製品もあるそうですね。

吉羽氏:WebSAMほど多くの機能はいらない,これとこれだけあれば十分というニーズもありますので,導入しやすい低価格な製品としてWebSAMオフィスを昨年の11月から販売しています。インストールや設定が簡単なので,すぐにでも運用できます。必要な機能に絞って購入すれば,初期導入は10万円からスタートできます。

編集部:数台,それこそ1台のサーバで十分事足りているような小さな会社向けに販売しているわけですね。

吉羽氏:もちろんそうですが,それよりもそういった会社のシステム業務を請け負っているソフトハウスの方からご好評をいただいています。ちょっとしたトラブルでいちいち呼び出されていたらかなわないということで,WebSAMオフィスを顧客に導入して,リモートで管理したりしているようです。

編集部:なるほど。つまりプロが使っているわけですね。

吉羽氏:WebSAMオフィスを使うような小規模な会社では,なかなか専任のシステム担当者などを社員の中から割くことはできないのが現状だと思います。そこまでITに詳しい人がいるとは限りませんから。私は最近,SaaS(Software as a Service)というものに注目しています。こういうサービスビジネスのあり方は,WebSAMだけではなく他のミドルウェアにとっても重要なのではないのかと感じています。ソフトウェア製品を販売するだけではなく,今後は運用やメンテナンスなども含めたトータルなサービスを提供し,展開していくということが重要になっていくのではと思います。

米国EMCとの協業でさらなる発展

編集部:米国のEMC社との協業を発表しましたが,このことでWebSAMには何か変化があるのでしょうか?

吉羽氏:EMCにSmartsという製品がありますが,今後は両社の製品の優れた機能を双方向に供給していきます。すでに今回WebSAMのバージョン7ではSmartsの分析エンジンを組み込んでいます。来年には,両方のフレームワークの共同開発や相互供給,またNECからはWebSAMのアプリケーション監視機能などのモジュールをEMCへ供給することが決まっています。

編集部:Smartsの技術の中で特に秀でているところはなんでしょう。

吉羽氏:Smartsのネットワーク分析機能は,フィルタリングや分析ルールを登録することなしに,依存関係から障害の発生箇所を特定するというオンリーワンの技術です。

編集部:両社の相互供給によって製品がより強化されるわけですね。

吉羽氏:日本国内のベンダーで米国の製品にソフトウェアを提供するというのはたぶん初めてのことで,これは画期的な出来事です。今後,NECがワールドワイドで展開していくための足がかりとしていきたいと思っています。

編集部:本日はお忙しい中,どうもありがとうございました。

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