Ubuntu Weekly Recipe

第697回 AMD Ryzen 7 5800Xで学ぶ,Ubuntuにおけるシステムの動作確認

この記事を読むのに必要な時間:およそ 12 分

家族向けに「つよつよPC」を用意する必要があったため,AMD Ryzen 7 5800Xを購入してみました。今年最後の連載では,年末年始にPCを新調する読者に向けて, Windowsをインストールする前の動作確認も兼ねたUbuntuでシステム情報を収集したり,動作確認を行う方法を学んでみます。

久しぶりの自作PC

家族向けのPCはもともと2015年ぐらいに購入したIntel Core i7-6700ベースのSkylake世代のマシンでした。2,3年前には「そろそろ買い替えかな」という状況ではあったものの,家庭の事情やら半導体の事情やらでリプレースが繰り延べになっていたのです。

そして今回自作したPCの主なスペックは次のとおりです。リプレースを数年延期していたこともあったため,ほんのちょっとだけ豪華な構成にしてみました。

機能 メーカー 型番 備考
CPU AMD Ryzen 7 5800X 8C/16T 105W
CPUクーラー NZXT Kraken X53 水冷
メモリー Crucial CT2K32G4DFD832A DDR4-3200 32GBx2
M/B ASRock B550 Steel Legend ATX
ストレージ Western Digital SN750 SE M.2 NVMe 1TB PCIe 4.0x4
GPU 玄人志向 GeForce GTX 1050Ti GF-GTX1050Ti-E4GB/SF/P2
電源 Fractal Design Ion Gold 850W
ケース Fractal Design Define 7 Black Solid

どれも定番みたいな構成ですね。GPUだけ「GeForce GTX 1050Ti」と,2016年ごろのだいぶ古い型番です。そもそも全体的に予算オーバー気味で「GPUは型落ちのものを」という想定でした。しかしながらいざ調べてみると,型落ち品自体がほぼ市場に存在せず,新しい型番のものも軒並みすごい高くなっていたために,苦肉の策で見つけた製品です※1⁠。

※1
ちなみに製品自体は2021年に新規に発売されたものらしいです。つまり5年前・2世代前のGPUを型番を変えて,なおかつ定価を5割増にして販売してもそれなりに需要があると見込める状況だと思われます。

なお家族のPCの使い方を考えると,GPUはそこまで強いものである必要はなく,要件としてはリトルウィッチノベタがプレイできればいいという話でした。よって1050Tiでも問題はないものと考えています。

というわけでこのマシンにWindowsをインストールする前に実施した,各種動作確認のための方法を紹介していきましょう。ちなみにストレージのテストやベンチマーク以外の「情報収集」に関しては,Live環境でも動くはずです。よってWindowsインストール済みのマシンであっても,USBスティック経由でUbuntuを起動し,ちょっとした動作確認やデバイスの情報収集ぐらいは可能だと思ってください。

Ubuntuをインストールしたらやるべきこと

さてPCを組み立てたら,実際に使い始める前にいろいろな動作確認が必要です。本連載ではこれまでにもさまざまなPCにUbuntuをインストールしてきました。直近のものをリストアップするだけでも,次のような記事が見つかります。

実際のところいわゆる「PC」と呼ばれることが多い,amd64アーキテクチャーのCPUが搭載されてたマシンなら,Ubuntuが動かないことはまずありません。使い勝手が良いかどうかは別にして「とりあえず起動する」ぐらいまではたどり着けることでしょう。

よって確認すべきは「きちんと動いているか」⁠きちんと性能がでているか」⁠周辺機器はどうか」といった部分になります。⁠最低限問題はないよね?」という意味においては第628回のPCの初期動作を確認するがよくまとまっています。

まずはこの記事を元に,テストを行うと良いでしょう。少なくともメモリーテストだけは実施するようにしておきましょう。それだけで「よくわからないけどたまにPCが落ちる」みたいな症状の多くを回避できます※2⁠。

※2
「メモリーの特定の領域が怪しい」ケースだと,カーネルの起動パラメーターにmemtest=64とか指定すると,起動時にカーネルがメモリーテストを行ってくれます。テストエラーが発生した場合は「Bad RAM detected」と表示し,その領域を予約領域として除外してくれますので,⁠とりあえず怪しいところを除外して動かしたい」という用途なら使えるかもしれません。ただしその手のメモリーは,だいたい他のところもおかしくなることですし,そもそもカーネルのコードがロードされた領域はテストできません。あくまで緊急回避的な方法と考えておきましょう。

また今回は紹介しませんが,第696回のUbuntuでもWi-Fi 6を使用するでは,ネットワークのベンチマーク方法が紹介されています。最近のOSはネットワーク機能も重要なので,Ubuntuが起動したらネットワークテストをまず初めて見ると良いかもしれません。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。